投稿日 2021/06/04

伝わるコミュニケーションのために、抽象具体ピラミッドを持っておこう


今回はビジネスでのコミュニケーションです。

✓ この記事でわかること
  • 伝わるコミュニケーションとは?
  • 抽象と具体を意識しよう
  • 上司と部下の会話例 (マーケティング施策の件) 
  • 「抽象具体ピラミッド」 を持っておこう

今回は、ビジネスで相手に伝わるコミュニケーション方法をご紹介しています。ポイントは抽象と具体のコントロールです。

ぜひ最後まで読んでいただき、お仕事での参考になればうれしいです。

伝わるコミュニケーションとは



ビジネスでのコミュニケーションで意識したいことは、伝える内容の抽象レベル (具体レベル) を相手に合わせることです。

相手と背景や前提知識がそろっていれば、抽象的な言い方でも意思疎通ができます。しかし、相手との情報ギャップがあれば、例えば自分は詳しいが相手は背景情報が少なければ、相手に配慮して丁寧なコミュニケーションが必要になります。

コミュニケーションで大事なのは、伝える内容の抽象と具体を相手に合わせることです

では、具体的なビジネスシーンで当てはめてみましょう。

上司と部下の会話例


例えば上司と部下が、こんな会話をしていたとします。

上司: 「あれどうなった?」 

部下: 「ばっちりです!」 

上司: 「よし、次のあれをやろう」 

いかがでしょうか?

2人の間ではこれだけでコミュニケーションは成立しています。しかし第三者には、つまり背景情報を持っていない人にとってはなんの話かわからないですよね。

では、この会話を具体的な言い方にすると、次のようになります。

上司: 「新規顧客へのマーケティング施策を開始して、消費者の反応はどう?」 

部下: 「KPI の商品認知率が目標としている 40% を上回り、45% で推移しています」 

上司: 「わかった。では次に計画している商品の理解促進へのマーケティング施策を、今週の木曜から始めよう」 

抽象レベルを相手に合わせる


2つの会話の例は、やや極端にしてみました。

どちらかで唯一の正解はなく、ポイントは伝える側が意識したいのは抽象レベルを相手に合わせることです。

あなたがもし上司の立場であれば、部下との情報共有が既にできている場合は前者の 「あれどうなった?」 で会話は成立します。しかし、部下との情報ギャップが大きければ、後者の 「新規顧客へのマーケティング施策を開始して消費者の反応はどう?」 と丁寧に訊く必要があります。


具体的すぎることの弊害



伝える内容を具体レベルまで落とし込むと確かにわかりやすいです。

しかし、いちいちそこまで言わなくても相手に 「あれ」 や 「例の件」 で伝わるのであれば、コミュニケーションは楽にできます。むしろ 「あれ」 で済む相手に、わざわざ具体まで詳しく伝えすぎるとコミュニケーションには逆効果です。

では、抽象レベルを適切にするためにはどうすればいいでしょうか?


適切な抽象レベル


相手に伝える内容が抽象的すぎると、いわばアートのような情報になってしまいます。一方で具体的すぎれば相手には当たり前になり、ともすると関心を持って聞いてもらえなくなります。

コミュニケーションの落とし所は、相手にとって芸術 (抽象的) すぎず、かつ当たり前すぎないことです。芸術と当たり前の中間に最適解があります。

ここで重要なのは、答えを決めるのは相手です


抽象具体ピラミッド


伝わるコミュニケーションのために持っておくと良いのが、「抽象具体ピラミッド」 です。

次のようなイメージです。


ピラミッドの上にある情報ほど抽象度が高く (濃い青) 、下に行けば具体的な情報です (薄い青) 。

このピラミッドを頭の中にイメージしておき、相手に合わせてどこまでの情報を伝えるかを見極めます

先ほどの上司と部下の例で言えば、背景情報が十分に共有できていればピラミッドの頂上だけで済みます。「あれ、どうなった?」 です。

一方の前提を詳しく言うのであれば、ピラミッドの二段目や三段目までの情報も伝えるようにします。

繰り返しになりますが、適切な抽象レベルを決めるのはコミュニケーション相手です。抽象と具体をコントロールしていくと良いです。


まとめ


今回はビジネスでのコミュニケーションについてでした。

最後に記事のまとめです。

伝わるコミュニケーション
  • ビジネスでのコミュニケーションでは、伝える内容の抽象レベル (具体レベル) を相手に合わせる
  • 相手と背景や前提知識がそろっていれば、抽象的な言い方でも意思疎通ができる
  • しかし相手との情報ギャップがあれば、相手に合わせて丁寧なコミュニケーションが必要

抽象レベルを相手に合わせる
  • 適切な抽象レベルを決めるのは相手
  • コミュニケーションの落とし所は、相手にとって抽象的すぎず、かつ当たり前すぎないこと

抽象具体ピラミッド
  • 持っておくと良いのが 「抽象具体ピラミッド」 
  • ピラミッドの上にある情報ほど抽象度が高く、下に行けば具体的な情報
  • 頭の中にピラミッドをイメージしておき、相手に合わせてどこまでの情報を伝えるかを見極めよう

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。