今回は広告とコミュニケーション方法についてです。
✓ この記事でわかること
- 優れた広告コピーとは
- 常識と芸術の間
- 「そうだ 京都、行こう」 を例に解説
- 既知と新規のバランス (コミュニケーションへの応用)
今回の内容は、優れた広告コピーに学ぶビジネスコミュニケーションの方法です。
広告コピーには私たちビジネスパーソンに示唆があります。ぜひ最後まで読んでいただき、お仕事での参考になればうれしいです。
優れた広告コピーとは
ある本に書かれていた、優れた広告コピーの条件が興味深かったのでご紹介します。
本のタイトルは、広告コピーってこう書くんだ!読本 (谷山雅計) です。
この本で印象的だったことの1つは、「優れた広告コピーは "常識" と "芸術" の間にある」 です。
常識と芸術の間
ここで言う 「常識」 とは聞いても当たり前と思うこと、「芸術」 とは聞いてもわからないことです。
優れた広告コピーとは見たり聞いたりした時に、「それは当たり前」 でもなく、「何を言っているのかわからない」 でもなく、ちょうどその中間にあるというわけです。広告コピーを見た時に、「そういえばそうだね」 と思えるものなんです。
✓ 常識と芸術の間
- それは当たり前 [常識]
- そういえばそうかも [広告コピー]
- わからない [芸術]
広告コピーの役割は、それを見た時に相手に気づきを与えることです。言われて初めて、普段は意識の下に眠っているものが呼び起こされます。
* * *
ではここまでの話を、具体例に当てはめて見ていきましょう。
「そうだ 京都、行こう」
例として取り上げたいのは 「そうだ 京都、行こう」 です。
このキャンペーンは1993年の秋から展開されています。
「そうだ 京都、行こう」 のコピーは、常識と芸術の間がまさに当てはまります。
常識すぎず、芸術でもない
京都へ行くことは多くの人にとっては当たり前のことではありません。
一部の人、例えば京都に住んでいる方や実家が京都の人以外は、京都へ行くことは非日常的です。つまり大多数の人にとっては京都に行くことは 「常識」 ではないのです。
一方で 「京都へ行こう」 と言われて、その意味が全くわからないことはないでしょう。京都は多くの人にとって一度は行ったことがある、行ったことがなくても日本人の誰もが知っています。
「そうだ 京都、行こう」 と見たり聞いて、「そういえば前に京都に行ったのはいつだったかな?」 「確かに京都に行ってみたいかも」 と思わせる影響があります。
ちなみに個人的に思う 「そうだ 京都、行こう」 のコピーのポイントは、はじめに 「そうだ」 と一言が入っていることです。自分の心を代弁してくれ、次に続く 「京都、行こう」 が自分ごとになるんですよね。
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コミュニケーションへの応用
優れた広告コピーは 「常識と芸術の間にある」 という考え方は、ビジネスでのコミュニケーションに活かせます。
常識と芸術の間を別の捉え方をすれば、既に知っている既存情報の中にどれだけ新しい新規情報を入れるかの重要性です。
コミュニケーションで、相手への情報提供の中に既知情報ばかりだと、相手には当たり前なだけです。これは 「常識」 です。
しかし新規情報が多すぎると、受け手は頭の中で情報処理が追いつけません。これでは 「芸術」 になってしまっています。
既存と新規のバランス
コミュニケーションでも 「常識と芸術の間」 は大事です。相手に伝えるためには、既存情報の中にどれだけバランス良く (相手にとっての) 新規情報を入れられるかです。
コミュニケーションギャップが起こるのは、話し手にとっては既知でも聞き手には新規なことによる情報格差からです。ギャップを少しでも埋めるためにも、「常識と芸術の間」 はコミュニケーションで意識してみると良いです。
まとめ
今回は優れた広告コピー、コミュニケーションへの応用でした。
最後に記事のまとめです。
優れた広告コピーは 「常識と芸術の間」 にある
- それは当たり前 [常識]
- そういえばそうかも [広告コピー]
- わからない [芸術]
「そうだ 京都、行こう」
- 多くの人にとって京都へ行くことは当たり前ではなく非日常 (常識ではない)
- 京都は一度は行ったことがある、行ったことがなくても知っている (芸術でもない)
- はじめに 「そうだ」 と一言が入っていることが秀逸。自分の心を代弁してくれ、次に続く 「京都、行こう」 が自分ごとになる
コミュニケーションへの応用
- 話し手にとっては既知でも、聞き手には新規だとコミュニケーションギャップが起こる
- 既に知っている既知情報の中に、どれだけ (相手にとっての) 新規情報を入れるかのバランスが大事
- コミュニケーションで 「常識と芸術の間」 を意識してみよう