2020/01/20

3つの差別化領域から考える、これからのイノベーションとマーケティング




今回は、イノベーションとマーケティングについてです。

  • 差別化の3つの領域とは?
  • イノベーションの2つの方向性
  • これからのマーケティングへの示唆とは?

こんな疑問に答える内容を書きました。


この記事でわかること


この記事で試みているのは、イノベーションとマーケティングの視野を広げることです。

始めに差別化の3つの領域をご紹介し、そこからイノベーションとマーケティングに当てはめて見えてくるものを紐解きます。

ぜひ記事を最後まで読んでいただき、お仕事での参考にしてみてください。


差別化の3つの領域


まず最初にご紹介したいのは、差別化の3つの領域です。

書籍 SHIFT - イノベーションの作法 に書かれています。





差別化の3つの領域
  • 機能
  • デザイン
  • ストーリー


SHIFT で指摘しているのは、機能だけの差別化は難しくなり、デザインと合わせて差異を出そうとしている流れです。そして、機能とデザインだけではなく、さらにストーリー (意味づけ) でいかに独自性を出すかの勝負になってきています。

デザインや機能は目に見えてわかりやすいです。しかし、ストーリーは意味合いなので、ストーリー単体では本質的には役には立ちません。

そこにあるのは意味合いです (今回の記事のポイントです) 。

従って、ストーリーでの差別化は、機能とデザインの差別化とは異なるアプローチになります。


3つの差別化領域とイノベーション


3つの差別化領域を、イノベーションの文脈に当てはめるとどうなるでしょうか?

以前は、イノベーションの日本語訳は 「技術革新」 とされているのを見かけました (最近は目にしなくなったような気がします) 。これは、3つの差別化領域で言えば、機能のイノベーションです。

ここにデザインが加わり、機能とデザインによるトータルでのユーザー体験 (UX) を目指すのが、今のイノベーションの主流でしょう。

ここまでは、より便利になる、より役に立つという方向のイノベーションです。

では、差別化領域の3つ目の 「ストーリー」 をイノベーションに当てはめると、何が見えてくるでしょうか?


意味のイノベーション


ストーリーの領域でイノベーションをするとは、どういうことでしょうか?

これは 「意味のイノベーション (Innovation of meaning) 」 と言われるものです。実際のモノは同じでも、使い方や位置づけが変わることによって、意味するものが異なります。

意味のイノベーションの例でよく使われるのは、ロウソクです。

昔、ロウソクの価値は夜でも明るくしてくれることでした。その後、電気による明かりが登場し、ロウソクはその役割を終えます。

しかし現在は、ロウソクは違う目的で使用されています。レストランやバーなどの店内、アロマキャンドルとしてなど、あえて薄暗い雰囲気を楽しむためのものになりました。

ロウソクの機能やデザインはイノベーションと呼べるほどは変わっていませんが、使われ方が変化したことによる 「意味合い (ストーリー) 」 が変わったのです。

意味のイノベーションは、機能やデザインのイノベーションとは中身が質的に異なります。


マーケティングへの示唆


3つの差別化領域である、「機能」 「デザイン」 「ストーリー」 は、マーケティングにも示唆があります。

機能やデザインを重視するマーケティングでは、不満の解消、より便利になったことを、消費者や企業にわかりやすくメリットとして提示していました。

一方、ストーリーが重視される世界では、このアプローチでは足りません。

機能やデザインによるメリット訴求から、意味合いを訴求するマーケティングです。


意味のマーケティング


では、「意味のマーケティング」 では、何がポイントになるのでしょうか?

不満解消や利便性向上が、どんな意味があるのかを掘り下げることになります。あるいは、先ほどのロウソクの例のように、一見すると機能やデザインは大きくは変わっていなくても、ストーリーを変えて訴求するやり方もあるでしょう。

ポイントは、相手 (客) が自分ごと化できるストーリーの提示です。

ストーリーからの意味合いを触媒にし、相手から共感される、愛着を持ってもらえるかです。これができなければ、つまり単に機能やデザインだけにとどまる訴求では、相手に 「欲しい」 と思ってもらえることが難しくなるでしょう。

機能やデザインを訴求するマーケティングは 「いかに役に立つか」 です。一方のストーリーを訴求するマーケティングは 「どんな意味があるか」 です。

機能やデザインは目に見えてわかりやすい一方で、意味合いは実態はなく精神的なものです。ロジックだけではなく感性も必要になり、サイエンスとアートの両方です。


まとめ


今回は、イノベーションとマーケティングを3つの差別化領域から掘り下げました。

最後に今回の記事のまとめです。



差別化の3つの領域
  • 機能
  • デザイン
  • ストーリー
デザインや機能や目に見えてわかりやすいが、ストーリーは機能とデザインの差別化とは異なるアプローチになる。


以前は機能のイノベーションだった。
次が機能とデザインによるトータルでのユーザー体験 (UX) で、より便利・役に立つ方向。
そして意味のイノベーションは、機能やデザインのイノベーションとは中身が質的に異なる。


機能やデザインを重視するマーケティングでは、不満の解消、より便利になったメリットを、消費者や企業にわかりやすく提示する。
意味のマーケティングでは、相手 (客) が自分ごと化できるストーリーを提示し意味合いが触媒になり、相手から共感される、愛着を持ってもらう。


機能やデザインを訴求するマーケティングは 「いかに役に立つか」 。一方のストーリーを訴求するマーケティングは 「どんな意味があるか」 。





SHIFT - イノベーションの作法 (濱口秀司)

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。