2020/01/03

「プロダクトアウト vs マーケットイン」 への持論。プロダクトアウトに注目したい理由




今回は、マーケティングについてです。

  • プロダクトアウトとマーケットインの違いは?
  • マーケットインがうまく機能しないケース
  • プロダクトアウトを成功させる方法 (Google のマーケティングからのヒント)

こんな疑問に答える内容を書きました。


この記事でわかること


この記事でわかるのは、プロダクトアウトとマーケットインについてです。

具体的には、
  • 2つの違いは何か
  • マーケットインが良いと言われるが、本当か?
  • プロダクトアウトの重要性と成功させる方法
を書いています。

ぜひ記事を最後まで読んでいただき、お仕事での参考にしてみてください。


プロダクトアウトとマーケットイン


マーケティングには、プロダクトアウトとマーケットインという考え方があります。

この2つは何が違うと思いますか?

それぞれを簡単にご説明すると、次のようになります。


プロダクトアウト
  • 自分たちがつくりたい・つくれるものを基準に商品開発をする
  • つくったものを売る
  • 能動的


マーケットイン
  • 顧客の声やニーズから商品開発をする
  • 売れそうなものをつくる
  • 受動的


一般的には、プロダクトアウトよりも顧客が欲しいものからつくっていくマーケットインが良いとされます。

しかし、この考え方は本当でしょうか?


マーケットインが機能しない時


確かに、マーケットインのやり方は顧客のニーズを汲み取って商品をつくるので、理に適っているように見えます。

しかし、マーケットインは常にうまくいくとは限りません。では、どういう時にマーケットインは機能しないのでしょうか?

具体的には、顧客が自分のニーズを明確にわかっていない場合です。これまでの過去の延長ではなく、全く新しい商品・サービス、それによる今までになかったユーザー体験が提供されるケースです。

こういう状況では顧客に聞いても本当に知りたいニーズは出てきません。

例を1つご紹介します。


携帯電話への価値観の変化


携帯電話へのニーズ・要望は、顧客の声だけをそのまま取り入れていたとしたら、今のようなスマートフォンへの進化はなかったでしょう。

こんなツイートを見かけました。




街頭インタビューでは、次のような声 (不満やニーズ) がありました。

  • 携帯はボタンがあるほうが使いやすい
  • 画面に指紋がつく。タッチパネルは絶対いらない
  • iPod があるのでスマホは不要
  • スマホにはワンセグがない


携帯電話への価値観だけでも、時代とともに変わっていくのです。


プロダクトアウトと 「未来の当たり前」


過去の延長上にはないユーザー体験を提供するには、プロダクトアウトが適しています。

消費者や顧客には見えていなくても、つくり手の側には見えている 「未来の当たり前」 を先回りして提示できるからです。

先ほどの携帯電話で当てはめると、人々が携帯電話で映像コンテンツを見るために 「ワンセグ」 というニーズに応えるのではありません。YouTube や TikTok の動画を電車内でも当たり前のように見ている世界です。

さらに未来になると、スマホのような端末を手に持って見るのではなく、グラス型のウェアラブル端末で見るようになるユーザー体験になるでしょう。

5G 回線が普及すれば通信量制限がなくなるはずで (いわゆる 「ギガが足りない」 が起こらない) 、今よりももっと動画や音声コンテンツが当たり前になります。

それでは、どうすればプロダクトアウトからのアプローチを成功させられるでしょうか?


プロダクトアウトを成功させる方法


プロダクトアウトで誤解しないようにしたいのは、ユーザーのニーズを全く無視していいわけではないことです。

最初はプロダクトアウトから入っても、どこかでマーケットインの発想が必要になります。プロダクトアウトを成功させるために大事なのは、プロダクトとマーケット (消費者や顧客) をつなげる存在です。

ヒントになるのは、私の前職である Google のマーケティングの考え方です。


Google のマーケティング


Google のマーケティングの考え方に、”Knowing the user, knowing the magic, and connecting the two.” というものがあります。

マーケティングとは、「knowing the user と knowing the magic の2つをつなげるものである」 と。


Knowing the user


生活者やユーザーの理解です。

何を望んでいるのか、理解する過程で得られた発見やインサイトは何か、そして、彼ら彼女らに対して自分たちがどう役に立つかを理解します。


Knowing the magic


生活者やユーザーに提供する自分たちのサービスや商品を深く知ります。

単に商品やサービスのことを知るだけではありません。商品やサービスをつくる人たちの思いまで理解します。なぜその商品やサービスがつくられたかまでです。


Connecting the two


2つをつなげるとは、生活者と商品・サービスを結びつけることです。

この意味で、マーケターとは2つの間を取り持つ仲人のような存在です。顧客を知り、提供する商品・サービスの特性や作り手の思いまで深く理解した上で、両者をつなげるのです。


プロダクトアウトも、マーケットインも


そろそろ、今回の記事の結論に入りましょう。

ここまで考えてきた内容をまとめると、
  • マーケットインはいつも正しいわけではない (機能しないケースがある)
  • プロダクトアウトがうまくいく場合
  • どうすればプロダクトアウトを成功させられるか
でした。

言いたいことは、マーケットインとプロダクトアウトの両方が重要ということです。

どちらか一方ではなく、2つの視点を持ちます。そして大事なのはプロダクトとマーケットをつなげることです。

プロダクトアウトから入っても、マーケットインから始めても、最後は両方のアプローチを入れ 「Connecting the two」 を実現するのです。


まとめ


今回は、マーケティングの話でした。プロダクトアウトとマーケットインについて掘り下げたことを書きました。

最後に今回の記事のまとめです。



プロダクトアウトとマーケットイン
  • プロダクトアウト: 自分たちがつくりたいものを基準に商品開発をする
  • マーケットイン: 顧客の声やニーズから商品開発をする


マーケットインが機能しないのは、顧客が自分のニーズを明確にわかっていない場合。過去の延長ではなく、全く新しい商品・サービス、今までになかったユーザー体験が提供されるケース。


過去の延長上にはないユーザー体験を提供するには、プロダクトアウトが適している。消費者や顧客には見えていなくても、つくり手の側には見えている 「未来の当たり前」 を先回りして提示できるから。


プロダクトアウトかマーケットインのどちらで始めても、最後は両方のアプローチを入れる。提供する商品・サービスの特性や作り手の思いまで深く理解し、顧客を知り、両者をつなげる。

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。