2020/03/04

圧倒的 No.1 音声翻訳機ポケトークに学ぶ、マーケティングファースト組織のつくり方




今回は、ポケトークから学ぶマーケティングです。

  • ポケトークが圧倒的 No.1 な理由
  • マーケティングの観点で紐解くと?

こんな疑問に答える内容を書きました。


この記事でわかること


この記事でわかるのは、音声翻訳機 「ポケトーク」 のマーケティングについてです。

ポケトークへのインタビュー記事を読み解き、マーケティングの視点で学べることをご紹介します。

マーケティングのものの見方や考え方、スキルはビジネスで汎用的に使えます。ぜひ記事を最後まで読んでいただき、お仕事での参考にしてみてください。


音声翻訳機ポケトーク


ポケトークのインタビュー記事を読みました。

ポケトークが売れ続ける理由とは?累計出荷台数世界一!国内シェア9割超え音声翻訳機の秘密|Marketing Native


マーケティングの観点から興味深く読めた記事でした。

今回はポケトークからマーケティングを学ぶ記事内容です。




引用: ポケトークが売れ続ける理由とは?累計出荷台数世界一!国内シェア9割超え音声翻訳機の秘密|Marketing Native



圧倒的 No.1 シェア


ポケトークは、日本国内の音声翻訳機市場で独占しています。

株式会社 BCN のランキングデータを見ると、2020年1月時点ではポケトークの金額シェアは 97.4% 、販売台数シェアが 94.8% です。




引用: ポケトークが売れ続ける理由とは?累計出荷台数世界一!国内シェア9割超え音声翻訳機の秘密|Marketing Native



ポケトークの圧倒的な No.1 シェアの秘密は何でしょうか?

ここからは、インタビュー記事からマーケティングの視点で興味深いと思ったことを取り上げます。


ポケトーク人気の理由


インタビューで興味深いと思ったのは、次の4つです。


ポケトークで興味深かったこと
  • 社長も含めた全社員が店頭に立つ
  • 売り場での気づきを顧客コミュニケーションに反映
  • 顧客目線での用途提案
  • 社員全員がマーケターになる仕組みと文化


以下、それぞれについて順番にご説明していきます。


[学び 1] 社長も含めた全社員が店頭に立つ


印象的だったのは、松田社長をはじめ、全社員が直接、家電量販店の売り場に販売応援に入っていることです。

営業部門、製品開発や企画部門のお客と近い部署だけではなく、直接商品と関係のない総務・管理部門やシステム部門も含めてです。

直接、お客と話をする機会になっています。全社員がマーケティングに関する知識や感度を鍛えるためです。

買ってくれた人だけではなく、買うのを見送った人を観察したり直接話すことによって、現場でしかわからない発見があります。お客はどのように店頭で選ぶのか、買うことを決めた理由、手に取ったものの最終的には買わなかった理由です。

全社員が店頭に立つことの意味は、売り場という顧客接点をそれだけ重視していることです。

ちなみに P&G は FMOT という 「真実の瞬間 (First Moment of Truth) 」 という概念を提唱しました。ポケトークでは全社員が FMOT を体験しているのです。


[学び 2] 売場での気づきを顧客コミュニケーションに反映


全社員が店頭に立つことによって、様々な気づきが顧客と売り場から得られます。

ソースネクスト社では、売り場の発見を顧客コミュニケーションに活かしています。POP やパンフレットなどの販促、商品説明のよくある質問です。

顧客不在の机上の想像ではなく、具体的な実在するお客の生の声からです。売り場という直接の顧客接点を重視しているからこそ実現できます。

一人の顧客を深く理解することによって、プロダクトへのアイデア、コミュニケーションアイデアをつくっていくアプローチはです。これは、書籍 たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング に書かれている 「N1 分析」 に通じます。






[学び 3] 顧客目線での用途提案


ポケトークが想定していた当初の使い方は、海外旅行でした。「旅行以外での使い方がわからない」 というお客がいる一方で、学習用途で購入しているお客も一定数いました。

そこで、旅行以外の用途が思いつかないから購入しないというお客の声を拾い、学習用の用途を提案したそうです。




引用: ポケトークが売れ続ける理由とは?累計出荷台数世界一!国内シェア9割超え音声翻訳機の秘密|Marketing Native



興味深いと思うのは、プロダクト主語ではなくユーザーを主語にした具体的な用途提案なところです。

プロダクト主語というのは、機能や性能の主張で終わっている伝え方です。これだと、お客からすると具体的に自分にとって何が価値になるのかがイメージしにくいです。お客か自分で価値を見い出す必要があります。

一方の顧客主語の用途提案は、お客にとってわかりやすい訴求です。

顧客目線での用途提案が意味するのは、新しい市場創造です。

マーケティングで重要なのは、市場を新しく生み出すことです。市場創造は、新しいユーザーを増やす、または新しい利用シーンからです。そこに新しい価値が生まれます。


[学び 4] 社員全員がマーケターになる仕組みと文化


ポケトークのソースネクスト社が、マーケティングを重視していることがよくわかるのが、「MI (マーケティング・イノベーター) 制度」 です。


全員がマーケターになる文化


社員が毎日メールで送る日報の中に、その日に思いついたマーケティングやイノベーションについてアイデアを出す欄を設けているそうです。対象は全社員です。

全員が自分ごととしてアイデアを毎日考える仕組みです。例えば、「この製品にこういう機能を付けたらいいのではないか」 というプロダクトアイデア、「こういう YouTuber を採用するのはどうか」 というプロモーションのアイデアです。

アイデアは提出して終わりではありません。

日報の提出先である自分の上長、社長も自ら全てのアイデアに目を通しているそうです。良いアイデアがあれば、社長から 「これいいですね」 「さっそくやりましょう」 とフィードバックがあり、すぐ実行に移すとのことです。

8年以上も続いている取り組みで、全員がマーケターになる文化になっているのです。


顧客を向いたマーケティング活動


私の持論は、マーケティングとは 「マーケティング担当者に限らず会社全体で皆が持つもの」 です。

というのは、私のマーケティングの一言の定義は 「顧客から選ばれる理由をつくる活動全般」 で、あらゆる企業活動はマーケティングにつながるからです。

これを体現する仕組みがソースネクスト社にはあり、8年以上も続き文化として根付いています。私はここに、ポケトークの人気の秘密を見ました。


まとめ


今回は、ポケトークのインタビュー記事から、マーケティングの視点でポケトークを紐解きました。

最後に今回の記事のまとめです。


ポケトークで興味深かったこと
  • 社長も含めた全社員が店頭に立つ
  • 売り場での気づきを顧客コミュニケーションに反映
  • 顧客目線での用途提案
  • 社員全員がマーケターになる仕組みと文化


社長も含めた全社員が店頭に立つ
全社員が店頭に立つことの意味は、売り場という顧客接点の重視。買ってくれた人だけではなく、買うのを見送った人を観察したり直接話すことによって、現場でしかわからない発見がある。


売場での気づきを顧客コミュニケーションに反映
顧客不在の机上の想像ではなく、具体的な実在するお客の生の声を活用。一人の顧客を深く理解することによって、プロダクトへのアイデア、コミュニケーションアイデアをつくる。


顧客目線での用途提案
顧客目線での用途提案が意味するのは、新しい市場創造。マーケティングで重要なのは市場を新しく生み出すこと。新しいユーザーを増やす、または新しい利用シーンをつくり、新しい価値が生まれる。


社員全員がマーケターになる仕組みと文化
マーケティングのアイデアを全社員が毎日出し、良いアイデアをすぐに実行する制度が8年以上続いている。マーケティングとは 「顧客から選ばれる理由をつくる活動全般」 。これを体現する仕組みがソースネクスト社にある。

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書いている人 (多田 翼)

ベンチャーから一部上場企業の経営・事業戦略を支援。マーケティング、コンサルティング・アドバイザー・メンター、プロダクトマネジメント。前職は Google でシニアマーケティングリサーチマネージャー、現在は独立 (詳細は LinkedIn または Facebook をご覧ください) 。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。