
今回は、マーケティングと仕事の進め方です。2つのテーマをかけ合わせた記事です。
- 顧客ロイヤリティを上げる 「エフォートレス」 とは?
- エフォートレスの本質
- 本質の 「仕事への進め方」 への応用
こんな疑問に答える内容を書きました。
この記事でわかること
- 顧客ロイヤリティに直結するエフォートレス
- エフォートレスの本質から考える仕事の進め方
ぜひ記事を最後まで読んでいただき、お仕事での参考にしてみてください。
顧客ロイヤリティとエフォートレス
最初にご紹介したい本があります。
おもてなし幻想 - デジタル時代の顧客満足と収益の関係 という本です。
この本の一言の結論は、顧客ロイヤリティを上げるためには、顧客努力をなるべくなくすです。
ここで言う顧客努力とは、顧客がやらなければいけない作業などの手間、精神的な面倒さ、心理的な負担です。いずれも共通するのは、顧客にとってできればやりたくないことです。
これらの顧客努力をなくすことを、本書ではエフォートレス (effortless) と表現しています。
この本で興味深いのは、エフォートレスの中でも、顧客ロイヤリティへの影響が大きいのは実際の物理的な顧客努力よりも、精神的な面倒くささです。心理的に負担だと思うほど、顧客ロイヤリティが下がるのです。
では、顧客努力には具体的にどのようなものがあるのでしょうか?
顧客努力の例
身近な例で顧客努力を当てはめると、商品やサービスの問い合わせがあります。
お客窓口はどの会社も用意していますが、問い合わせプロセスが面倒に感じる時はないでしょうか?
LINE のようなチャット形式であれば1分もかからずに解決しそうなことが、電話をしなければいけないようなパターンです。
他にも利用者登録の変更です。例えば支払いのクレジット情報を更新したい場合です。申請フォームをネットで手配して、紙で送られてきた申請書に手書きをして郵送するという、手間と時間がお互いにかかる顧客努力です。
確かに実際の作業は何時間もかかるわけではありませんが、心理的な面倒さを感じてしまいます。この積み重ねが、その商品やサービスをこれからも使い続けたいと思う気持ちを下げます。顧客ロイヤリティがなくなっていくのです。
エフォートレスの本質
もう少しエフォートレスについて掘り下げてみましょう。エフォートレスの本質は何でしょうか?
エフォートレスとは、ユーザー体験をマイナスからゼロにすることです。
顧客ロイヤリティを向上させるためには、一般的に捉えられているのは 「ゼロをプラスにするユーザー体験」 です。日本語の 「おもてなし」 です。
一方のエフォートレスは、不満に直結するような顧客努力をなるべくなくすアプローチなのです。
仕事への応用
エフォートレスの考え方は、個人のレベルにも当てはまります。例えば、仕事の進め方です。
仕事での顧客を、一緒に働く相手と見立てます。例えば、同僚・上司・他部署の関係者です。営業の方であれば、直接やりとりをしているお客さんが文字通りの顧客です。
エフォートレスから学べる、仕事への応用とはどんなものでしょうか?
それは、顧客の手間や負担をなるべくかけさせない仕事の進め方です。相手への気配りや配慮、面倒なことはこちらで先にやっておくという姿勢です。
では、仕事におけるエフォートレスの具体例を見てみましょう。
仕事でのエフォートレスの具体例
エフォートレスの具体例は、次のようなものです。
仕事でのエフォートレスの具体例
- 言われる前に自分から提案などの行動をする
- 問題提起だけではなく解決策仮説もセットで出す (できれば複数案)
- 議論のたたき台となるアウトプットはこちらで用意する (論点と仮説)
- コミュニケーションを取りやすくする (レスは早めに, 簡潔に返す)
- 会議設定などの一手間を惜しまずにこちらでやる
エフォートレスと 「ワーク体験」
こうした積み重ねから、相手にとっての作業的な手間、精神的な面倒さをなるべくなくします。
先ほど、エフォートレスの本質はユーザー体験としましたが、仕事に当てはめるとワーク体験の向上です。ワーク体験のマイナスをゼロにするような仕事の進め方です。
一緒に働く人 (= 自分にとっての顧客) が、こちらのことを働きやすいと思ってもらえ、長く一緒に仕事ができる関係を目指します。
まとめ
今回は、エフォートレスについてでした。
聞き馴染みのない表現ですが、顧客が精神的に面倒だと思う手間をなくすことです。日本語では一言がないので、エフォートレスという言葉によって、顧客努力をなくすという意識を持つことができます。
エフォートレスは、マーケティングだけに限らず、後半で見たように個人の仕事にも応用ができます。ぜひ、ご自身のお仕事でエフォートレスな仕事の進め方を実践してみてください。
最後に今回の記事のまとめです。
1.
顧客ロイヤリティを上げるためには、顧客努力をなるべくなくす。顧客努力とは、顧客がやらなければいけない作業などの手間、精神的な面倒さ、心理的な負担。
2.
エフォートレスとは、顧客努力をなくすこと。エフォートレスの中でも顧客ロイヤリティへの影響が大きいのは、実際の物理的な顧客努力よりも、精神的な面倒さ・心理的な負担。
エフォートレスの本質は、ユーザー体験のマイナスからゼロにすること。
3.
エフォートレスの考え方は、個人のレベルにも当てはまる。
仕事でのエフォートレスの具体例は、
- 言われる前に自分から提案などの行動をする
- 問題提起と解決策仮説もセットで出す (できれば複数案)
- アウトプットはこちらで用意する
- コミュニケーションを取りやすくする (レスは早めに, 簡潔に返す)
4.
エフォートレスを仕事に当てはめると 「ワーク体験」 の向上。ワーク体験のマイナスをゼロにするような仕事の進め方。
一緒に働く人 (= 自分にとっての顧客) が、働きやすいと思ってもらえ、長く一緒に仕事ができる関係を目指す。