投稿日 2022/01/18

人気の 「無添加泡の石けんボディソープ」 に学ぶ、差別化から価値をつくる方法


今回のテーマは、お客さんへの価値のつくり方です。

✓ この記事でわかること
  • 事例は 「無添加泡の石けんボディソープ」 から
  • 強みと実現理由 (源泉) からのヒット理由分析
  • マーケティングに学べること
  • 強みの実現理由の理解からの価値提供

今回は 「強みをどうつくるか」 と 「差異化からの価値提供の方法」 という視点で、人気商品を例にマーケティングに学べることを解説しています。

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

マックスの無添加泡の石けんボディソープ


まずは日経新聞の記事からの引用です。

1905年に創業した老舗せっけんメーカーのマックス (大阪府八尾市) が手掛ける 「無添加生活」 シリーズが人気を集めている。

ボディーソープやシャンプーなどの商品群は洗浄成分を独自で配合し、肌への低刺激を追求した。パッケージデザインには人気アニメキャラクターなどを起用し、子育て世帯からの支持を広げている。

無添加生活のブランド全体の好調をけん引するのは、2010年に発売した 「無添加泡の石けんボディソープ」 で、日経の記事によれば、2020年度の売上高は2018年度比 48% 増とのことです。

出典: LIPS

無添加泡の石けんボディソープは、香料や着色料、防腐剤を添加しない敏感肌の人を対象にしたボディーソープです。手でなでるだけで汚れが落ちるような泡立ちの良さ特徴もです。


マーケティングでの 「強み」 の掘り下げ


今回のテーマとして、深掘りをしたいのは 「強み」 と 「強みを実現する理由」 です。

強みとは、他にはない価値のことで、別の表現をすれば 「お客さんから選ばれる理由」 です。

ポイントは、お客から見て価値があることです。それがあるから 「他ではなくこれがいい」 と選んでもらえる要因が強みです。

では次に 「強みの実現理由」 についてです。

実現理由とは、何を持っているから・何をやっているから、お客への価値提供ができるのかです。強みという 「提供価値」 「お客から選ばれる理由」 の源泉に当たるのが実現理由です。

それではここまでの話を、今回の事例である 「無添加泡の石けんボディソープ」 に当てはめて見ていきましょう。


無添加泡の石けんボディソープの 「強み」 と 「実現理由」 とは


業界では珍しい独自製法


無添加泡の石けんボディソープは、業界では珍しい独自製法がされています。

先ほどの日経新聞から引用すると、

 「業界では既に配合された原料を仕入れ、水分と融合してボディーソープを生産するケースも多い」 (マックスの担当者) 。

一方、同社はラウリン酸やミリスチン酸、パルミチン酸などの原料の仕入れから独自で手掛ける。配合量を組み替え、洗浄力と泡立ちのよさを両立させた。

他社ではやっていないことをやるからこそ、差別化につながります。

そして大事なのは差別化が 「単に他と違うだけ」 で終わらず、価値になっていることです。無添加泡の石けんボディソープは、洗浄力や泡立ちの良さに加えて肌に優しいという価値を消費者にもたらしています。

人気キャラクターのボトルデザイン


もう1つ、選ばれる理由だと見たのはボトルデザインです。ボトルに子どもに人気のキャラクターを使っているのも、人気の要因です。

出典: LIPS

日経の記事によれば、

ボトルデザインもターゲット層の心を捉えた。

16年から 「あらいぐまラスカル」 のイラストを採用。子どもに人気のキャラクターを使うのは 「アレルギーなどを持つ子どもには、肌へ低刺激のボディーソープの需要が高く、子育て世帯にも安心して使ってもらいたい」 (担当者) からだ。

リニューアルが功を奏し、30 ~ 40 代の育児中の女性層を中心に支持を広げた。

あらいぐまラスカルはブランドの方向性やイメージと相性が良いです。

キャラクターライセンスの使用ができるという資産が 「強みの実現理由」 になり、なじみのあるキャラクターだから手に取りやすく、子どもも喜ぶという価値につながっています。


学べること


では最後に、「無添加泡の石けんボディソープ」 から学べることを整理してみましょう。

一言で表現すれば、学びは 「自分たちの提供価値の理由まで理解しよう」 です。

別の表現をすれば、お客への価値はどういう仕組みで実現されているのか、持っているものとやっていることからの価値転換と、価値提供メカニズムを把握する重要性です。

もう一歩踏み込んで考えたいのは、理解した価値の実現理由は他社にマネされにくいかです。他のプレーヤーにも簡単にできてしまうと、持続的な価値提供にはなりません。

もしマネされにくいとして、相手はそもそも知らないからなのか、それとも分かっていてやろうとしてもそれでもできないのかです。この2つの違いは大きいです。

ここまでを自分たちの価値提供の仕組みとして理解しておくと良いです。


まとめ


今回は無添加泡の石けんボディソープから、差別化された価値をどうやってつくるかについて見てきました。

最後にまとめです。

強み
  • 強みとは、他にはない価値のこと。別の表現をすれば 「お客さんから選ばれる理由」 。お客から見て価値があり、「他ではなくこれがいい」 と選んでもらえる要因
  • 強みの実現理由は、強みという 「提供価値」 「お客から選ばれる理由」 の源泉

学べること
  • 自分たちの提供価値の理由まで理解すると良い
  • お客への価値を実現する仕組み (持っているもの・やっていることからの価値転換と価値提供メカニズム) を把握することが大事
  • 価値の実現理由は他社にマネされにくいかまでを掘り下げておこう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。