今回のテーマは、マーケティングです。
✓ この記事でわかること
- マーケティングの本質
- マーケティングで大切にしたいこと
- マーケティング力とは?
- マーケターの役割
- 「7つの習慣」 に見るマーケターの姿勢
マーケティングとは何か、マーケターとしてありたい姿をまとめました。
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
マーケティングの本質
最初に、そもそもの 「マーケティングとは何か」 を考えてみましょう。
マーケティングの定義は、様々な方が色々な表現をされています。ここでは私のマーケティングの定義を紹介させてください。
一言の定義は、マーケティングとは 「顧客から選ばれる理由をつくる活動全般」 です。活動全般と言っているようにマーケティングを広く捉えています。
お客さんに選ばれるとは、買ってもらえる、使ってもらえる、来店してくれる、指名されることです。商品やサービスは、顧客から選ばれ続けることによって生き残っていけます。自分たちのビジネスも存続できます。
お客さんから選ばれるのを偶然に頼るのではなく、意図的に選ばれる確率を高めるためにマーケティングがあります。
マーケティングで大切なこと
では、マーケティングで大切なことを掘り下げていきましょう。
結論は、次の5つです。
✓ マーケティングで大切なこと
- マーケティングとは 「選ばれる理由」 をつくること
- 他にはない価値があるから選ばれる
- 価値は顧客が決める
- マーケターは御用聞きではない
- マーケターは顧客の幸せに誰よりもコミットする人
それぞれについて順番に解説しますね。
マーケティングとは 「選ばれる理由」 をつくること
先ほど見たように、マーケティングとは 「顧客から選ばれる理由をつくる活動全般」 です。
選ばれる理由は大きく2つあり、初めての新規顧客が選ぶ理由と、継続して選ばれるリピート理由です。
前者の新規購入では知って興味をもってもらい、初めて選ばれます。一度選ばれた後も、長く選ばれる理由を見出してもらえることが大事です。
他にはない価値があるから選ばれる
顧客から選ばれるのは、提供する商品やサービスに他にはない価値があるからです。
価値は大きく二種類あります。機能的価値と情緒的価値です。それぞれを別の表現をすれば、「役に立つ」 と 「 (自分にとって) 意味がある」 です。
他にはない価値を提供し、選ばれる理由をアップデートし続けることが重要です。
価値は顧客が決める
価値かどうかは、売り手である提供者が決めるものではありません。
価値を認識し感じるのは顧客です。提供者側が価値だと思っても顧客がそうは思わなければ、それは価値ではないのです。
顧客との価値の認識ギャップを埋めるためには、顧客理解が不可欠です。
すでに顕在化しているニーズだけではなく、奥にあり顧客自身も自覚していない気持ちをどこまで深く掘り下げられるかです。
奥にある気持ちとは、マーケティングの専門用語で 「顧客インサイト」 と言います。顧客インサイトは 「人を動かす隠れた気持ち」 です。
顧客理解はどこまでいっても終わりがありません。環境や生活スタイルの変化からお客さんは変わり続けるからです。この意味で、マーケティングとは 「終わりなき顧客理解の旅」 です。
では、マーケターは顧客ニーズやインサイトにどのように向き合えばいいのでしょうか?
マーケターは御用聞きではない
顧客が欲しいと言っていることに応えるだけでは、マーケターの役割を十分に果たしていません。
マーケターは顧客の単なる御用聞きではなってはいけないのです。時には、顧客の期待を良い意味で裏切ります。
インサイドアウトで自ら主体的に新しい価値を提案します。顧客の想像を超える価値提供が、新しい市場を創っていきます。
マーケターは顧客の幸せに誰よりもコミットする人
顧客が商品やサービスにお金を支払うのはなぜでしょうか?
顧客にとっては、商品・サービスは自分の状況が良くなるための手段です。では、目的は何かと言うと、目的は、突き詰めれば幸せになることです。ここにマーケターの存在意義があります。
マーケターは誰よりも、時には顧客以上に顧客の幸せを願い、そのために行動する人です。顧客の幸せに誰よりもコミットするのがマーケターです。
パート 2 のまとめ
ではここまでをまとめておきますね。
✓ マーケティングで大切なこと
- マーケティングとは 「選ばれる理由」 をつくること
- 他にはない価値があるから選ばれる
- 価値は顧客が決める
- マーケターは御用聞きではない
- マーケターは顧客の幸せに誰よりもコミットする人
* * *
マーケティング力とは
では次に、「マーケティング力とは何か」 を考えてみます。
分解すると次の5つの力です。
✓ マーケティング力
- 目的を設定する力
- 顧客を理解する力
- 戦略をつくる力
- 実行する力
- 評価する力
順番に見ていきましょう。
目的を設定する力
マーケティングを展開するにあたって、目的は何か、ゴールは何かを設定する能力です。
ゴールとは、目的を達成した時の具体的な状態です。ゴール設定が具体的であれば、目的を達成したかどうかをわかりやすく判断できます。
目的とゴールは、マーケティング活動の前提にあたります。
顧客を理解する力
マーケティングの定義は 「顧客から選ばれる理由をつくる活動全般」 でした。
選ぶという行為の主体者は顧客です。自分たちの商品やサービスがなぜ選ばれるのかを理解しなければ、有効なマーケティング施策を実施できません。
だからこそ、マーケティングで重要なのは顧客理解です。
マーケターに問われるのは、人間の活動や内面の気持ち、さらに奥にある価値観まで、どれだけ人に興味を持ち探求できるかです。マーケティングの顧客理解には終わりはありません。
戦略をつくる力
マーケティング力の3つ目は、上位に設定した目的を達成するために、マーケティング戦略をつくる力です。
マーケティング戦略とは、顧客に選ばれるために何をやるか・やらないかの活動方針です。自分たちが持つ限りあるリソースをどう配分するかの指針になります。
マーケティング戦略の要素は、以下になります。
✓ マーケティング戦略
- ターゲット顧客の設定
- 競合や市場環境の把握 (競合とはターゲット顧客の頭で思い浮かぶ (自分たち以外の) 選択肢)
- 自分たちの強み (選ばれる理由) の明確化
- 選ばれる確率を高めるための方針策定
実行する力
戦略は、実行して初めて価値があります。裏を返せば、実行されない戦略は絵に描いた餅にすぎません。
マーケティング力の4つ目は、つくった戦略を実行可能なプランにし、実行することです。
戦略とは何をやるか・やらないかの活動方針でした。戦略からマーケティング施策に落とし込み、現場が動けるように具体化します。
マーケティングのフレームには 4P があります。以下の [ ] 内の説明は、顧客から見たそれぞれの P の意味合い (価値) です。
✓ マーケティングの 4P
- Product 売り物 [価値を体感するもの]
- Place お店 [価値を手に入れる場所]
- Price 価格 [価値への対価]
- Promotion 広告や販促 [価値を知る情報]
これらの4つそれぞれで、「選ばれる理由と一貫性があるか」 がポイントです。実行プランに問われるのは、一貫性と具体性です。
また、実行プランの作成で重要なことは、後から評価できるように数字の指標をつくることです。これが5つ目のマーケティング力につながります。
評価する力
マーケティング力の5つ目は、実行したマーケティング施策を振り返り、評価する力です。
実行はやりっ放しではいけません。
実行内容と結果を振り返り、総括として目的を達成したかどうかを見ます。事前に設定したゴール (目的を達成した時の具体的な状態) から、目的が達成されたか未達なのかを判断します。
実行プランの各指標から、施策の何が成功し、何がうまくいかなかったかを評価します。うまくいかなかったことは、何が要因なのかを見極めます。
✓ うまくいかなかったことの要因は?
- そもそもの目的
- ターゲット設定
- 強み (選ばれる理由)
- 実行プラン
これらそれぞれについて、実行前の想定で何が違っていたかです。原因がわかれば、次への学びになり、活かすことができます。
パート 3 のまとめ
ではこのパートの 「マーケティング力とは何か」 をまとめます。
✓ マーケティング力
- 目的を設定する力
- 顧客を理解する力
- 戦略をつくる力
- 実行する力
- 評価する力
* * *
マーケターの役割
ここまでが、今回のちょうど半分くらいです。
マーケティングとは何かを見てきたので、次に、マーケターの役割を掘り下げてみましょう。
結論は次の5つです。
✓ マーケターの役割
- 顧客理解
- ソリューションの具体化
- コミュニケーションからの自分ごと化
- ブランド構築とコアファン化
- 顧客の成功や幸せの実現
ではそれぞれについて、順番にご説明しますね。
[役割 1] 顧客理解
マーケターに求められる1つ目の役割は、顧客が求めていること、時には顧客自身も自覚できていない気持ちを見極めます。
明確な 「欲しい」 というニーズであれば分かりやすいですが、そうではない場合です。そうと気づかされて初めて 「これが欲しかった」 と思う顧客の奥にある気持ちの理解です。
自分のことでも本当の気持ちや欲求を理解するのは難しいですが、マーケターはお客さんという赤の他人のことを本人以上に理解することが求められます。
[役割 2] ソリューションの具体化
2つ目の役割は顧客へのソリューションです。
顧客理解が仮にできたとして、気持ちや隠れた欲求を満たす方法を自分たちが実現しないといけません。顧客の無自覚な奥の気持ちを叶えるために、ソリューションという方針を商品やサービスに具体化します。
そして、戦略を具体化したマーケティング施策をつくるのもマーケターの役割です。
[役割 3] コミュニケーションからの自分ごと化
顧客理解をしてソリューションを実現できたとしても、まだ道半ばです。 お客さんにそもそもの自社商品・サービスの存在を知ってもらわなければ、買ってもらったり利用されることはありません。
コミュニケーションを通じて、顧客に自分たちが提供する商品やサービスのことを知ってもらいます。単に名前を認知されているだけではなく、商品やサービスの特徴を理解してもらいます。
認知と興味喚起、理解促進から自分ごと化され、買いたい気持ちを生み、実際に買って使ってもらうのです。このように認知から利用までのいくつものハードルを越える必要があります。
[役割 4] ブランド構築とコアファン化
顧客にソリューションを提供するのは自社だけではありません。
他社から競合商品やサービスが存在する中で、自分たちの比較優位を見出し、顧客に認識を持ってもらいます。顧客の頭の中にある商品・サービスへの認識がポジショニングです。
認識が表面的なものではなく、商品やサービスを使ってのユーザー体験から感情移入がされれば、商品・サービスはブランドになります。
この意味で、マーケティングでのブランドの私の定義は 「ブランドとは顧客からの望ましい感情が伴った商品やサービス」 です。望ましい感情とは、好き・共感・満足・誇り・憧れです。ブランドとは顧客の頭の中にある知覚です。
ブランドになると、コアなファンがつきます。ファンな人ほど商品・サービスを選んでくれます。
一度使って終わりではなく、二度や三度と飽きることなく顧客であり続けてもらいます。過去と同じことをただやっているだけでは、いずれはお客さんは飽きてしまいます。
ここまで見てきたマーケターの役割である 「顧客理解」 「ソリューション」 「コミュニケーション」 から提供価値を上げ続け、商品やサービスをブランドにし、その結果としてファンであり続けてもらえるのです。
[役割 5] 顧客の成功や幸せの実現
マーケターの役割の5つ目は、顧客の成功を実現させることです。
BtoB ビジネスのマーケティングでは 「顧客のビジネスの成功」 、BtoC のマーケティングは 「生活者の生活をより良くする」 「少しでも幸せになってもらう」 ことを目指します。
マーケティングは、もっと言えばどんなビジネスも顧客がいて初めて成立します。ビジネスが存続できるのも、お客さんから自分たちが選ばれ続けるからです。
お客が選ぶのは、価値があるからです。価値が得られると、お客さんはその商品やサービスがなければできない 「望み」 が叶い、「困りごと」 が解消されます。つまり、お客の成功や幸せにつながるわけです。
マーケターの存在意義は、突き詰めると 「お客の成功や幸せの実現」 なのです。
言うは易く行うは難し
ここまでマーケターの役割を5つに整理してご紹介しました。
✓ マーケターの役割
- 顧客理解
- ソリューションの具体化
- コミュニケーションからの自分ごと化
- ブランド構築とコアファン化
- 顧客の成功や幸せの実現
1つ1つだけでも簡単なことではありません。言葉にするとできそうに見えるかもしれませんが、実現するのは 「行うは難し」 です。
簡単ではないからこそ、世の中にはほんの一部のヒット商品やロングセラーが存在する一方で、その裏では大半の新しい商品・サービスが日の目を見ることなく消えていくのです。
結果を出すマーケターの分岐点
この現実をネガティブに思うか、それとも挑戦しがいがあり困難へのチャレンジをおもしろいと思えるかです。
ここに私は、結果を出し続けるマーケターの分岐点を見ます。マーケティングの仕事は一見すると華やかに見えるかもしれません。しかし実際は考えたりやっていることは、地味で泥臭いことばかりです。
それでも 「結果を出し続けるマーケターを目指すか?」 が、あらためて1人のマーケターとして問われます。今の私の答えは Yes です。
パート 4 のまとめ
✓ マーケターの役割
- 顧客理解
- ソリューションの具体化
- コミュニケーションからの自分ごと化
- ブランド構築とコアファン化
- 顧客の成功や幸せの実現
* * *
「7つの習慣」 に学ぶマーケターの姿勢
これが最後のパートです。
自己啓発の世界的なベストセラーに 7つの習慣 があります。
✓ 7つの習慣
- 主体的である
- 終わりを描くことから始める
- 重要事項を優先する
- Win-Win を考える
- 理解してから理解される
- 相乗効果を発揮する
- 刃を研ぐ
この7つは、私がマーケターとしてありたい姿と重なります。
ではマーケターとして目指したい姿勢を、「7つの習慣」 に当てはめて見ていきましょう。
主体的である
マーケターの原動力として持っておきたいのは、顧客が成功したり幸せになってほしい想いです。
誰かに言われたからマーケティングの仕事を受け身でやるのではなく、マーケターとして自らの意思でマーケティング活動を進めたいです。社内外の関係者に主体的に働きかけ、巻き込んでいきます。
終わりを描くことから始める
第2の習慣から教えられるのは、目的の重要性です。
マーケティングではそもそもの目的を明確にし、目的から戦略をつくり、マーケティング施策に落とし込みます。
ここで注意が必要なのはマーケティング施策という How に目が行き過ぎることです。How の前に Why, Who, What があり、それぞれ 「目的」 「顧客」 「顧客への提供価値」 です。これらから 「終わり」 を描き、施策を実行します。
重要事項を優先する
マーケターがやるべきことは多岐にわたります。
だからこそ大事なのは、多くのやることの中から本当に大事なことの見極めです。具体的には、戦略立案、顧客理解、提供価値の磨き込み、現場を見ることです。
短期的な視点だけにならず、中長期で重要事項は何かを考えることも大事です。
Win-Win を考える
マーケティングでの Win-Win とは、顧客と自分 (たち) の両方の成功です。
マーケティングは顧客の成功につなげ、少しでも顧客を幸せにするためにあります。顧客の成功が巡り巡って自分たちに返ってきます。
決して自分たち都合だけのマーケティングをしない、別の表現をすれば 「顧客不在のマーケティング」 をやらないようにします。顧客の Win があってこその自分たちの Win です。
理解してから理解される
マーケティングでも 「理解してから理解される」 の順番が当てはまります。
まずは顧客理解です。顧客のことを理解しているからこそマーケティング施策がつくれるという順番です。マーケティングを通じて顧客に商品やサービスのことを理解してもらいます。順番は顧客理解からです。
相乗効果を発揮する
マーケターは、顧客の成功を顧客と一緒に実現していくパートナーのような存在です。
マーケターは顧客が幸せになることを支援し、マーケターは顧客と向き合う中で成長していきます。目指したい関係は、顧客とマーケターの双方がより良くなっていく相乗効果が起きることです。
刃を研ぐ
第7の習慣の 「刃を研ぐ」 とは、自分を磨き続けることです。
マーケティングには終わりはありません。例えば顧客理解には、顧客は変わり続けるのでマーケティングとは 「終わりなき顧客理解の旅」 です。
他にはマーケターはスキルや最新情報・トレンドを知るなど、常に自分を磨くことが求められます。
パート 5 のまとめ
最後のパートでは、「7つの習慣」 に学ぶ、私がマーケターとして目指したい姿をご紹介しました。
✓ マーケターとして高みを目指すために
- 顧客の成功や幸せの実現のために自ら動く [主体的である]
- 目的と戦略からマーケティング施策をつくる [終わりを描くことから始める]
- 多くのやることの中から本当に大事なことを見極める [重要事項を優先する]
- 顧客の成功が巡り巡って自分たちに返ってくる [Win-Win を考える]
- 顧客理解からマーケティングをし、商品・サービスを顧客に理解してもらう [理解してから理解される]
- マーケターは 「顧客の成功や幸せの実現」 に向き合う中で成長する [相乗効果を発揮する]
- 自分を磨き続ける [刃を研ぐ]
以上のようにマーケティングに焦点を当てはめましたが、営業や製造、企画、研究開発、経理や総務、人事などのバックオフィス業務にも、7つの習慣からはヒントが得られると思います。
まとめ
今回はマーケティングについて、これからも1人のマーケターとして大切にしたいことでした。
内容は次の通りでした。これからも自分を律するためにも意識いたいです。
- マーケティングの本質
- マーケティングで大切なこと
- マーケティング力とは
- マーケターの役割
- マーケターの 「7つの習慣」
ニュースレターのご紹介
マーケティングのニュースレターを配信しています。
気になる商品や新サービスのヒット理由がわかり、マーケティングや戦略を学べるレターです。
マーケティングのことがおもしろいと思え、今日から活かせる学びを毎週お届けします。
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