投稿日 2022/01/21

ヒット商品 TOFU BAR に学ぶ、斬新なアイデアの生み出し方


今回は、ヒット商品の開発に学ぶアイデアのつくり方です。

✓ この記事でわかること
  • TOFU BAR の開発ストーリー
  • 開発アイデアは 「外の世界から見た不思議」 から
  • 斬新なアイデアを生む方法
  • 意図的に 「外の世界からの目」 を持ち、違和感を大切にしよう

ヒット商品の TOFU BAR を取り上げ、開発ストーリーを紐解きます。商品開発やマーケティングに学べることとして、アイデアのつくり方を見ていきます。

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

TOFU BAR とは


今回の記事でご紹介したいのは TOFU BAR です。

出典: Asahico

TOFU BAR の開発担当者の方を取り上げた記事が、日経クロストレンドにありました。

セブンの 「TOFU BAR」 がヒット 仕掛け人が語る商品開発法は?|日経クロストレンド 

以下は、記事からの引用です。

サラダチキンのように低糖質で、ワンハンドで食べられるスティックタイプの豆腐。2020年11月にセブン-イレブン専売品として発売したアサヒコ 「TOFU BAR」 は、従来の豆腐のイメージを覆す形状を採用し、たんぱく質10グラムを効率よく摂取できるコンセプトが受け、1年で約890万本を販売するヒットとなった。

アイデアの着想から商品化までの一連のプロジェクトを率いたのが、プラントフォワード事業事業部長の池田未央氏だ。

特徴は ① たんぱく質がとれる, ② 片手で食べられる, ③ 固く液だれしない (出典: 日経クロストレンド)


開発ストーリー


この記事で興味深かったのは、TOFU BAR の開発のきっかけでした。

お菓子業界から見た豆腐の不思議


開発のヒントになったのは、 「豆腐業界への不思議」 でした。

池田氏は20年近く菓子業界で、国内・海外メーカーのブランドマネジャーを歴任。のどあめの担当だった際には、マスカットなどのフルーツ味を春夏商品として他社に先駆けて開発。「味はハーブ風、売れるのは風邪をひきやすい冬場。そんな当時の常識を覆し、多彩なのどあめが年中買える素地をつくったのは自分だとの自負がある」 (池田氏、以下コメント同じ)

18年にアサヒコに転職。次は、食品のジャンルで何か健康に役立つ商品を生み出してみたいと考え、土地勘のない豆腐の世界へ飛び込んだ。

転職したばかりの池田氏の目に映る豆腐市場は、実に不思議なものだった。コンビニやスーパーに必ず並ぶポピュラーな食材であり、食卓に並ぶ機会も多い。その割に、ほとんどの人が強い関心を寄せずになんとなく買っているからだ。

人それぞれお気に入りのお菓子があり、メーカーが毎回新商品づくりに知恵を絞るお菓子業界とは様相が違っていた。

 「ただ逆に、そこにチャンスが眠っていると感じた。広い視野で全く新しい発想の商品を提案できれば、豆腐をあまり食べてこなかった人にも手を伸ばしてもらえるはず」

アメリカの TOFU


TOFU BAR のもう1つのヒントは、アメリカ視察からでした。

再び記事から引用します。

新商品のヒントは、意外に早く見つかった。入社して3カ月目に、視察で訪れた米国のスーパーで目にした、海外産の豆腐だ。

パッケージにはアルファベットで TOFU と書かれているが日本の豆腐とは別物。スムージーなどには柔らめの SILKEN 、ステーキ用には固めの EXTRA FIRM といった具合に、料理の種類別に固さが選べたのだ。よく見るとたんぱく質含有量も全部に書いてあり、健康意識の高い食材として現地消費者は捉えていた。

米国人の豆腐の食べ方は多彩で、ナゲットのように揚げてバーベキューソースを付けて食べる人もいれば、細かくしてサラダにトッピングして総菜の具材に使う人もいる。

一方日本人はと言えば、冷ややっこや味噌汁の具材の用途が多く、「実は日本人こそ、豆腐が持つ魅力を食事で生かし切れていないことに気付いた」

新しいアイデアのつくり方


ここまで見てきた TOFU BAR の開発からは、新しいアイデアを生むための学びがあります。

結論を言えば、学べることは 「アイデアは遠いところから着想を得よう」 です。

ここで言う 「遠いところ」 とは、TOFU BAR の場合は異業種と海外です。日本の豆腐業界から見れば遠い存在である 「お菓子業界」 と 「アメリカ」 です。この2つの遠いところから新しい豆腐商品 TOFU BAR のアイデアが生まれたのです。

異業種の常識との比較


お菓子業界の 「多様な新商品」 や 「消費者はお気に入り商品がある」 、アメリカでの 「バラエティのある豆腐の売られ方」 「豆腐は健康食品という捉え方」 は、菓子業界やアメリカでは常識的なことでした。こうした異業種では当たり前のことも、自分たちの業界 (豆腐業界) は違っていたわけです。

この 「よそはよそ」 ではなく、違和感を見逃さず、むしろ積極的に取り入れたことが TOFU BAR という独自商品につながりました

外の世界の体験からの着想


TOFU BAR の開発担当者の方は、かつてはお菓子業界で働き、アサヒコ入社後にアメリカに実際に足を運んで視察しました。

2つに共通するのは、自分で体験したことです。人からの伝聞やネットで調べたりしただけではなく、自分の目で見たわけです。ここにもアイデアは遠いところから着想を得るためのヒントがあります。

外の目からの違和感を持とう


学びとして最後に強調したいのが、外の目からの違和感を持つことの重要性です。

自分の業界、あるいは1つの会社や同じ部署に長くいると、その世界での常識に良くも悪くも染まってしまいます。ここには弊害もあり、新しい発想になりにくいことです。

そうならないために、外からの目を持つことを意識してやりたいです。視野を広げ、異業種の成功事例を掘り下げたり、畑違いの場所に訪れてみるのはどうでしょうか。意図的に外の世界から自分のいる環境を眺めて、ちょっとした違和感を大切にするといいです


まとめ


今回はヒット商品 TOFU BAR の開発ストーリーから、商品開発やマーケティングに学べることとして、新しいアイデアを生む方法について見てきました

最後にまとめです。

新しいアイデアのつくり方
  • アイデアは遠いところから着想を得よう。例えば、異業種の常識との比較、外の世界の体験から
  • 視野を広げ異業種の成功事例を掘り下げたり、意識して畑違いの場所に訪れてみよう
  • 外の目からの違和感を大切にするといい


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。