投稿日 2022/01/17

チロルチョコのロングセラーの秘訣に学ぶ、ブレない軸からのブランド戦略


今回のテーマは、ブランド戦略です。

✓ この記事でわかること
  • チロルチョコのブランド戦略とは?
  • ロングセラーの秘訣は、「変えないこと」 があるから 「変えられる」
  • プロダクトアウトとマーケットインのバランス
  • チロルチョコから学べること

今回は、チロルチョコのブランド戦略を掘り下げ、チロルチョコのロングセラーの秘訣に迫ります。

マーケティングやブランド戦略の視点で、チロルチョコから学べることを解説しています。よかったら最後までぜひ読んでみてください。

チロルチョコのブランド戦略


日経クロストレンドの記事を読みました。記事のテーマは、「攻めの姿勢を崩さないチロルチョコのブランド戦略」 でした。

 「そこに楽しさはあるのか?」 チロルチョコ ロングヒットの哲学|日経クロストレンド


この記事は、チロルチョコ社長の松尾裕二氏へのインタビューが基になっています。

記事から特に印象的だったのは、チロルチョコが重視していることでした。ここにロングセラーの秘訣があると見ました。

抜粋して引用すると、

決してブレてはいけないチロルの本質を聞くと、松尾氏はこう答えた。

 「おいしさはもちろんのこと、何よりも『楽しさ』と『面白さ』です。商品開発で重視するのも、『そこに楽しさはあるのか?』。チロルって最近、順当なものしか出さないよね、と思われてはいけません。楽しさを追求する姿勢が根底にあれば、顧客が大きく離れることはないと思っています」

 (中略)

商品ラインアップに関して松尾氏は、「自分たちが出したいものと、ファンの要望に応えるものが入り乱れているのが理想的」 と話す。

そう説明すると堅苦しくなるが、つまるところ 「さすがチロル、面白いことやるねー」 が最高の賛辞。その言葉を聞くために、今日もブランドに磨きをかける。

興味深かったのは、引用した中にあった 「重視しているのは “楽しさ” と “おもしろさ” 」 「そこに楽しさはあるか」 です。楽しさを追求する姿勢が根底にあれば、顧客が大きく離れることはない、と。

楽しさやおもしろさというブレない方針において、チロルチョコは様々な取り組みをやっています。


チロルチョコの取り組み


通常のコンビニ等で20円で売っているサイズ (フレーバーによっては30円や40円もある) の他に、大袋のチロルがあります。

大袋商品を強化している。ハロウィン仕様, ミニミルク, ミニビスなど (出典: 日経クロストレンド)

他には、チロルチョコ専門店があるのはご存知でしょうか?

東京の秋葉原に 「Shop チロルチョコ」 という専門店を出店しています。

東京・秋葉原のチロル専門店 「Shop チロルチョコ」 (出典: J-CAST ニュース)


ブレない軸


これらの色々な取り組みや新しい挑戦ができるのは、チロルチョコの根幹に 「ブレない軸」 があるからです。

ブレない軸とは、チロルの 「楽しさ」 「おもしろさ」 という共通の世界観です。これらがチロルチョコらしさという、他にはない独自のブランドをつくっています。

意思として 「これは変えない」 という軸が中心に通っているからこそ、それ以外のことは変えられるのです


プロダクトアウトとマーケットインのバランス


もう1つ、先ほどの記事の引用で興味深かったことがあります。

商品ラインアップに関して松尾氏は、「自分たちが出したいものと、ファンの要望に応えるものが入り乱れているのが理想的」 と話す。

そう説明すると堅苦しくなるが、つまるところ 「さすがチロル、面白いことやるねー」 が最高の賛辞。その言葉を聞くために、今日もブランドに磨きをかける。

松尾社長の 「自分たちが出したいものと、ファンの要望に応えるものが入り乱れているのが理想的」 について、マーケティングの視点で捉えると前者の 「自分たちが出したいもの」 はプロダクトアウト、後者の 「ファンの要望に応えるもの」 はマーケットインです。

2つが 「入り乱れている」 という表現が印象的でした。

きっちりと設計したというより、どちらかに偏りすぎないように注意をしながら、「入り乱れているという」 言葉の使い方からは、結果的にそうなったと解釈しました。


学べること


では最後に、チロルチョコのブランド戦略から学べることを整理してみましょう。

一言で表現するなら、学びは 「ブレない軸を持っておく重要性」 です。

軸とはチロルチョコの場合は 「楽しさ」 「おもしろさ」 でした。ブレずに持ち続けているからこそ、「チロルチョコはおもしろいことをやっている」 という共通イメージができるわけです。

ブレない軸とは、志や信念、大切にしたい価値観です。これらは企業やブランドだけではなく、個人のレベルにも当てはまります、

軸が中心にしっかりと通っていれば、安定した動作や回転ができます。これが意味するのは、簡単には変わらない軸があれば、それ以外のことは思い切って変えられるということです。

最後に、今回の記事で残しておきたいメッセージは、「ブレない軸を持ち、新しい挑戦をやり続けよう」 です。


まとめ


今回は、チロルチョコのブランド戦略とロングセラーの秘訣から、学べることについて見てきました。

最後にまとめです。

チロルチョコのブランド戦略
  • ブレてはいけないチロルの本質は 「楽しさ」 「おもしろさ」 。商品開発では 「そこに楽しさはあるのか?」 を重視している
  • 楽しさを追求する姿勢が根底にあれば、顧客が大きく離れることはない
  • 意思として 「これは変えない」 という軸があるから、それ以外のことは変えられる

学べること
  • 企業やブランドだけではなく個人でも 「ブレない軸」 を持っておく重要性。軸とは志や信念、大切にしたい価値観
  • 簡単には変わらない軸があれば、それ以外のことは思い切って変えられる
  • ブレない軸を持ち、新しい挑戦をやり続けよう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。