投稿日 2022/01/04

アルマーニのリアルとデジタル融合店舗から考える、デジタルの効率第一とは違うこれからのマーケティング


今回のテーマは、デジタルとリアルという話です。

✓ この記事でわかること
  • アルマーニのリアルとデジタルの融合店舗
  • デジタル接点の広がり
  • リアルならではの価値
  • 効率一辺倒ではなく、非効率から生まれる愛着のある世界へ

おもしろいと思ったアルマーニの店舗を取り上げ、ビジネスでの 「リアル」 と 「デジタル」 について掘り下げています。

DX が進む中、「デジタルの中にリアルならではの良さ・価値をどう残すか」 というテーマで一緒に考えていきましょう。

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

アルマーニの次世代店舗


最初にご紹介したいのは、アルマーニの店舗 「AX アルマーニ エクスチェンジ」 です (公式サイトはこちら) 。


AX アルマーニ エクスチェンジは、リアルとデジタルの機能を融合させた店舗です。

特徴の1つは、ネットで注文した商品を受け取れるショーケース型のロッカーです。商品をネット注文したお客さんは都合の良いタイミングで店舗を訪れ、ロッカーに設置されている端末に QR コードをかざすとロックが解除され、商品を受け取れます。

ロッカーは自分のクローゼットボックスを持つような感覚で楽しめる (出典: アルマーニ)

もう1つの 「AX アルマーニ エクスチェンジ」 の特徴は、店内に設置された大型スクリーンの 「デジタルウォール」 です。スタッフの着こなしを参考に商品を選ぶことができます。

気になるアイテム画像をタッチし商品の詳細情報チェックや、QR コードからその場で購入できる (出典: アルマーニ)


デジタル接点の広がり


アルマーニはアパレルの話でしたが、他にも目を向けると様々な業界でデジタル接点が増えています。

例えば、以下は日経新聞の記事からの引用を見てみましょう。

自動車やマンション、キッチン――。ショールームやモデルルームを何度も見て購入するのが一般的だったものを、オンライン上で販売する動きが出てきた。消費者は繰り返し足を運ばずに購入でき、ビジネスモデル変革につながる可能性がある。コロナ下で進んだ電子商取引 (EC) シフトは、暮らしに関わる高額品にも浸透するか。

 「自宅にいても購入手続きができるのはありがたい」 。東京都の40代女性会社員はこのほど、都内にある 1LDK タイプのマンション (約3500万円) の購入手続きをスマホ経由ですませた。

女性が利用したのは、日鉄興和不動産の 「sumune」 (スムネ) 。オンライン上で物件探しから見積もり、契約まで完結できるサービスだ。購入したい物件が決まったら、クレジットカード情報などを打ち込んで手続きを進める。本人確認のために身分証明書を撮影して送る機能も付いている。

物件のイメージが湧かないと購入を決められない人のためにリアルの簡易型モデルルームも用意している。モデルルームを見ずにオンラインだけで契約を完結させた人もいるという。

この日経の記事では、次のような図でオンライン接客の広がりがまとめられていました。

出典: 日経


リアルならではの価値


今の話を大きな流れで俯瞰すると、デジタルで可能なことが増えてきています。場合によってはデジタルだけで完結することもあります。

これまでのリアルでされていたことが、デジタルに置き換わっているわけです。

では、リアルの存在価値はどうなるのでしょうか?リアルならではの価値は何でしょうか?

一言で表現すれば、リアルの価値は 「リアルの場でしか味わえない、そこにしかない体験の提供」 です。

これを最初に見た 「AX アルマーニ エクスチェンジ」 に当てはめて見ていきましょう。


アルマーニの店舗体験


アルマーニの店舗内に設置されたデジタルウォール (大型スクリーン) がそれです。


大型スクリーンでは、おすすめの着こなしなどから、新しい服やファッションアイテムとの出会いが生まれます。

お店には店員さんもいるので詳しく話を聞いたり、自分が服を着るシチュエーション、他に持っている服と合わせ方も知ることができます。

アルマーニの服が欲しいと思えば、その場で買えたり、店舗在庫が無ければ取り寄せもできます。


効率第一から非効率での愛着へ


こうした店舗体験はネットやアプリだけでも可能ですが、1人で全てをやると 「作業」 のようになってしまいます。

ですが店舗で店員さんと一緒にやれば、コミュニケーションから人と人との心が通った体験になります。ここにリアルならではの価値を見い出すヒントがあります。

つまりデジタルでの効率一辺倒とは違う、非効率だけれども人やモノへの愛着が生まれる世界です。


パーソナライズ化される受け取りロッカー


最後に例えばの例として、おもしろいと思った事例を1つご紹介しておきますね。

Z 世代の消費動向を捉えたフルーツオレ専門店 「The Label Fruit (ラベルフルーツ) 」 が東京の原宿に登場しました (ニュースリリースはこちら) 。

出典: Showcase Gig

モバイルオーダーをしたフルーツオレを店内のスマートロッカーで受け取れるのですが、ここにリアルならではの体験が工夫されています。

パーソナライズシステムにより、お客さんごとに受取時のスマートロッカー上で 「自分だけのデジタルアート演出」 を楽しむことができます。

出典: PR TIMES

ロッカーで商品を取り出すだけなので、効率さだけを考えればこうしたパーソナライズは必ずしも必要はないでしょう。しかしここにあえて非効率な仕組みと演出を入れることで、お客さんにとっては商品を取り出す瞬間は 「自分だけのためのロッカー」 になるのです。

今のビジネスでの潮流は DX です。しかし、何から何まで全てをデジタルにすべきなのかは立ち止まって考えてみたい問いかけです。ここにリアルとデジタルの融合のヒントがあります。

デジタルを取り入れつつ、あえて非効率な 「余白」 を意図的につくり、リアル体験から愛着を持ってもらうのが大事です。


まとめ


今回はアルマーニの新しい店舗を取り上げ、リアルとデジタルについて掘り下げてきました。

最後にまとめです。

リアルならではの価値
  • リアルの価値は、リアルの場でしか味わえない、そこにしかない体験

非効率での愛着が生まれる世界
  • 今のビジネスでの潮流は DX だが、全てをデジタルにすべきとは思わない
  • デジタルでの効率一辺倒とは違う、非効率だが人やモノへの愛着が生まれる世界に、リアルとデジタルの融合のヒントがある
  • デジタルを取り入れつつ、あえて非効率な 「余白」 を意図的につくり、リアル体験から愛着を持ってもらうのが大事


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。