投稿日 2022/01/06

神は細部に宿る 「東武ワールドスクウェア」 に学ぶ、お客さんを魅了する方法

出典: 栃ナビ

今回のテーマは、マーケティングでの 「お客さんへの価値提供」 です。

✓ この記事でわかること
  • 東武ワールドスクウェアの魅力とは?
  • ミニチュアからの提供価値の本質
  • マーケティングに学べること

東武ワールドスクウェア


今回ご紹介するのは、栃木県日光市にある 「東武ワールドスクウェア」 です。

世界中の 100 件を超える有名建築をミニチュアで再現しているテーマパークです。ミニチュアは建築物や人、乗り物などを全て 25 分の 1 のサイズで精巧に作られています。

アブシンベル大宮殿 (出典: 東武ワールドスクウェア)

サグラダ・ファミリア (出典: 東武ワールドスクウェア)

高雄龍虎塔 (台湾) (出典: 東武ワールドスクウェア)

鹿苑寺金閣 (出典: 東武ワールドスクウェア)



提供価値


ではここからは、東武ワールドスクウェアの提供価値を掘り下げていきます。

東武ワールドスクウェアの価値は、そこでしかできない 「擬似的な旅行体験」 です。

擬似的な旅行体験とは


以下は、東武ワールドスクウェアを取り上げた日経新聞の記事からの引用です。

友人と2人で写真撮影していた都内の大学に通う20代の女子学生は、「ここに来れば世界中を見て回れる」 と表情をほころばせた。卒業旅行は海外に行きたかったという。

広島の 「厳島神社」 を囲む水面に映る台湾の超高層ビル 「台北101」 など、現実では見られないユニークな風景を写真に収めることができる。園内には SNS (交流サイト) 映えをねらった撮影台が設置されており、スタッフが撮影方法などを案内する。

 (中略)

春には桜や梅の花が咲き、秋は紅葉が見ものだ。このほか冬は雪化粧したスフィンクスが見られるなど、季節による変化も楽しい。

疑似体験をもう少し掘り下げると、東武ワールドスクウェアが提供しているのは 「 (外国などの旅行先での) 現地でのリアルとデジタルの中間にある体験価値」 です。

リアルとデジタルの中間


東武ワールドスクウェアにあるのは、あくまでミニチュア模型です。とても精巧に作られてはいますが、迫力や偉大さという意味では旅行先の現地での実際の建築物には敵いません。

一方で、Instagram や YouTube 、グーグルマップなどでのアプリやネットで現地の映像や写真を見ることはできます。しかし、これらに比べると東武ワールドスクウェアでの体験は充実したものになります。

以上の捉え方をすれば、東武ワールドスクウェアの価値は 「現地でのリアルとデジタルの中間にある、世界中を見て回れる旅行体験」 です。他にはできないユニークな体験価値を東武ワールドスクウェアは提供しているのです。


学べること


では、ここまでの内容を踏まえて、東武ワールドスクウェアからマーケティングに学べることを見ていきましょう。

学びを一言で表現すれば、お客さんへの提供価値についての定義の重要性です。「どんな価値を提供しているのか」 「自分たちは何者か」 という存在意義への問いかけです。

東武ワールドスクウェアは細部にまでこだわり、来園者が気づくこととないレベルまで作り込んでいます。

先ほどの日経の記事からの引用です。

人形は服装や小物など細部にもこだわっている。映画などの映像作品のワンシーンを再現していたり、有名キャラクターとコラボしていたりする。じっくり見たい人向けには双眼鏡を貸し出している。

国内はコロナの感染拡大が落ち着きつつある。その中で11月6日からイルミネーションが楽しめる夜間営業が始まる。12月は京都の 「清水寺」 で、その年の世相を表した 「今年の漢字」 を入れ替えたり、高所作業車で大掃除したりするなど、年末にかけて集客の取り組みに余念が無い。

東武ワールドスクウェアは、全体として完成度の高いリアルなミニチュアパークになっています。世界中の建造物を一堂に集めた類を見ないテーマパークです。

東武ワールドスクウェアのお客への提供価値は、「現地でのリアルとデジタルの中間にある、世界中を見て回れる旅行体験」 でした。

この体験は他ではなく東武ワールドスクウェアでしかできないものです。価値があると思うから、人は遠くからでも来てくれ、お金を払ってきてくれるわけです。


まとめ


最後に今回のまとめとして、東武ワールドスクウェアから学べることは次の通りです。

✓ 東武ワールドスクウェアからの学び (自分たちへの問いかけ)
  • お客への提供価値は何か (価値の定義)
  • その価値提供は他のプレーヤーはやっていない / できないことか
  • 自分たちが普段からやっていることは定義した価値につながっているか

理想はこうした1つ1つの問いから掘り下げることによって、価値の全体の流れ (提供価値ストーリー) を構造化と可視化し、皆が共通に言葉で語れるようになることです。


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。