投稿日 2022/01/08

災害用女性下着 「レスキューランジェリー」 に学ぶ、「あって良かった」 と喜ばれる商品のつくり方

出典: FANCTION inc

今回のテーマは、商品開発やマーケティングです。

✓ この記事でわかること
  • 災害用の女性下着 「レスキューランジェリー」 とは?
  • 商品開発のきっかけ
  • 学べること2つ
  • ① 「そうなって初めて気づく不」 を先回りした商品開発
  • ② 売上の増やし方 (利用用途の広げ方)

おもしろいと思った商品を取り上げ、開発ストーリーをご紹介し、商品開発やマーケティングに学べることを解説しています。

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

災害用の女性下着 「レスキューランジェリー」


今回ご紹介したいのは、災害用女性下着の 「レスキューランジェリー」 です (公式サイトはこちら) 。

出典: Wonder FLY

以下は、日経新聞の記事からの引用です。

自然災害に備えて食糧や水などを備蓄している家庭は多い。ただ長期間避難する際に必要な下着の準備までは意外と気が回らないものだ。

そこで注目を集めるのが災害用下着 「レスキューランジェリー」 だ。下着のほか洗濯用バッグなどをセットにした。下着を干す際はバッグを使って隠すことができる。災害時の女性の悩みに向き合って生まれた商品だ。

レスキューランジェリーは女性の生活の質を高める商品を企画・開発するファンクション (東京・港) が手掛ける。災害時にすぐに家から持ち出せるように、下着 (タンクトップとパンツ) や洗剤、洗濯用バッグなどを集めてパッケージ化した。

 (中略)

バッグは下着を干す際の覆いにもなるため、洗濯から乾燥までの一連の工程で下着を人目にさらすことがないようになっている。

以下の動画は、レスキューランジェリーの使い方のイメージです。


* * *

ではここからは、レスキューランジェリーの開発にフォーカスを当てて掘り下げていきます。


開発のきっかけ


レスキューランジェリーの開発ストーリーが興味深かったです。

先ほどの日経新聞からの引用です。

ファンクションの本間麻衣社長はもともと女性用の下着の販売会社を運営していた。東日本大震災や毎年のように起きる大雨など自然災害が頻発するようになり、「何か助けになりたい」 との思いがレスキューランジェリーの開発につながった。

水道や電気、ガスなどのライフラインが断たれると入浴も難しくなる。「被災者に話を聞くと、臭いなどを気にして避難場所で人と接しづらく感じる女性が多いことが分かった」 (本間氏) という。

 「災害時には心の安寧も大切だ。周りから自分がどのように思われているか考えるだけで余計なストレスがたまってしまう」 (本間氏) といい、突然の災害に向けて下着を備蓄する発想が生まれた。2014年にファンクションを立ち上げ、最初のレスキューランジェリーを発売した。

マーケティング視点での開発ポイント


レスキューランジェリーの開発について、マーケティングの観点からポイントを掘り下げていきましょう。

一言出言えば、開発での本質は 「利用者 (お客) がそうなって初めて気づく不便や不満を先回りしての商品化」 です。

ここで言う 「そうなって初めて気づく不便や不満」 とは、普段は起こらない非常時ならではの衣服にまつわる不便さや不満、ストレスです。具体的には、水道や電気、ガスなどのライフラインが断たれてしまい、入浴や洗濯ができないこと、衣服や身体からの臭いを気にして避難場所で人と接しづらく感じることです。

こうした不都合な状況やストレスは平時では想定しにくく、非常時用の備えとして下着までは準備されないわけです。

経験した人にしかわからない 「不」 を先回りして商品化し、非常時に 「あって良かった」 と思われる。これがレスキューランジェリーなのです。


利用シーンの拡大


もう1つ、レスキューランジェリーからマーケティングの視点で学べることがあります。

日経の記事には、「最近はキャンプなどアウトドアでレスキューランジェリーを使う女性も増えている」 と書かれていました。

ここに学びがあるのは、最初は絞った利用シーンを後から広げ、ビジネスを拡大していることです。

レスキューランジェリーは災害用に使うことを想定して開発がされました。その後に災害などの非常時以外にも、キャンプなどのアウトドアや旅行向けに用途を広げています。

災害という普段とは全く違う非常時ではなくても、旅行などのシーンで災害用の商品設計は便利で、価値につながっているのです。価値は具体的には、コンパクトなバッグに下着と洗濯セットが入っていて持ち運びやすい、旅行先でも洗濯し干せることです。

始めは利用シーンを災害時用というかなり絞り、その後に他の求められるニーズがある利用用途に広げていったアプローチは、商品開発やマーケティングの参考になります。


学べること (まとめ)


では最後に今回のまとめとして、レスキューランジェリーから学べることを整理してみましょう。

2つのことが学べました。

✓ レスキューランジェリーから学べること
  • そうなって初めて気づく不便や不満を先回りしての商品開発
  • 始めは利用シーンを絞り、求められるニーズが他にもある利用用途へ拡大

今回の内容は、災害用下着で異業種の話題だったかもしれませんが、他の業界やカテゴリーの成功事例は本質まで掘り下げると、自分たちの業界のヒントになります。

レスキューランジェリーからの学びが、何か少しでも参考になればうれしいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。