投稿日 2022/01/25

世の中の流れに逆行する3つの商品に学ぶ、意識高いマーケターが 「井の中の蛙」 にならない方法


今回は、おもしろいと思った商品やサービスに学ぶ、生活者ニーズの捉え方です。

✓ この記事でわかること
  • 最近の気になった商品やサービス3つ
  • 3つの共通点
  • 意識の高いマーケターが見逃しやすいニーズとは?
  • マーケターへの教訓

おもしろいと思った3つの商品・サービスをご紹介し、マーケティングや商品開発に学べること、得られる教訓を解説しています。

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

気になった商品やサービス


ここ最近で読んだニュース記事から、個人的に気になった商品やサービスが次の3つです。

✓ 気になった商品・サービス
  • スマホ用 CD レコーダーの 「ラクレコ」
  • 電子ファイルを紙で印刷して指定相手に郵送してくれる 「Web レター」
  • シニア向けの 「あんしんスマホ」

順番に簡単にご紹介していきますね。

ラクレコ


スマホ用 CD レコーダーの 「ラクレコ」 です。バッファローから、価格は9900円です (公式サイトはこちら) 。

出典: ITmedia

ラクレコの特徴は、CD の楽曲をスマホに直接取り込めることです。

CD 1枚 (60分) の取り込みにかかる時間は5分ほどで、取り込んだ曲は専用アプリで管理でき、スマホで再生して楽しめます。取り込んだ曲名、アーティスト名、ジャケット写真をネットから自動的にアプリ内で反映されます。

Web レター


もう1つ、こんなサービスが人気あるんだと思ったのがこちらです。

請求書などの電子ファイルを専用 Web ページでデータ入稿をすれば、印刷物を指定の相手に郵送してくれる 「Web レター」 です。日本郵便が提供するサービスです (公式サイトはこちら) 。

出典: ITmedia

デジタル化が進んでいるとはいえ、むしろ進んだからこそ、もし請求書などの送ったデータを先方から 「紙でほしい」 と言われた時に便利そうなサービスです。

わざわざファイルを紙で印刷し、封筒と切手を用意し、相手の住所と宛名を手書き、ポストに投函する…、なんて考えただけでもお金以上に面倒ですよね。これを、代行してくれます。

世の中のデジタル化の流れとは逆行するサービスですが、こんなところに取りこぼされた 「お金を払ってでも手間や面倒を解消したい利用者の不がある」 という発見でした。

あんしんスマホ


3つ目に気になった商品は、シニア向けの 「あんしんスマホ」 です (公式サイトはこちら) 。

出典: ITmedia

ドコモから2022年2月に発売予定で、60歳以上のシニア向け 5G 対応スマホです。

2026年にドコモは 3G 停波を控えており、フィーチャーフォンからの乗り換え需要への受け皿になるスマホです。


学べること


では、ここまでご紹介した 「ラクレコ」 「Web レター」 「あんしんスマホ」 について、共通することを掘り下げてみましょう。

3つの共通点


結論から言えば、共通点は 「最先端ではないところに残っている取りこぼしたニーズ」 に狭く深く刺さる商品やサービスです。

ラクレコは、YouTube 、Spotify や Amazon Music などの音楽ストリーミングサービスで聞くことが主流になった中で、昔の自分のお気に入りの曲を CD で聴きたいという人に向けた商品です。

Web レターは、DX が言われデジタル化が進んでいる状況でも、一部の会社や部門で根強く残る紙でのやり取りや保管をしたいニーズに応えるサービスです。

あんしんスマホは、多くの人がスマホを持っていてもまだガラケーを使っていて、これからスマホに移行する人への商品です。

社会の隅にあるニーズ


ここまで見てきたニーズには、「今さらそれが必要なのか」 と思ってしまうかもしれません。

とりわけ良い意味で意識が高く、最新事例のアンテナ感度の高いマーケターの方には注目されにくいニーズです。

3つの事例に共通する 「社会の隅っこ」 にあるような不満や不便さ、望みは見逃されやすく、本人も諦めていたり我慢をして仕方なく使っているのが現状でしょう。

ご紹介した3つの商品・サービスは、世の中の流れに逆行しているように見えますが、生活者の 「不」 として残っていたニーズに応えているのです。

マーケターへの教訓


では最後に、今回の話からマーケティングや商品開発に学べることを整理してみましょう。

一言で言えば、教訓は 「ニーズへの “井の中の蛙” にならないようにしよう」 です。

自分が仕事や普段の生活で見聞きすることは、世の中の一部にすぎません。限定された範囲にもかかわらず自分が見ていることが全てだと思ってしまうと、まだまだ残っている社会や人々のニーズを取りこぼしてしまいます。

マーケターとして持っておきたいのは、「自分には見えていない領域がある」 「まだ自分の知らないことがある」 という自覚です。

視野を広くし 「無知の知」 を持ち続けることが、今回ご紹介したような 「ありそうでなかった商品やサービス」 のアイデアにつながります。


まとめ


今回は、最近気になった商品やサービスから、教訓として学べることを見てきました。

最後にまとめです。

社会の隅にあるニーズ
  • 社会の隅っこにあるような不満や不便さ、望みは見逃されやすく、本人も諦めていたり我慢をして仕方なく使っている
  • こうしたニーズは、意識が高く最新事例のアンテナ感度の高いマーケターの方には注目されにくい

ニーズへの “井の中の蛙” にならないようにしよう
  • 自分が見聞きすることは世の中の一部。全てだと思ってしまうと、まだまだ残っている社会や人々のニーズを取りこぼしてしまう
  • マーケターは 「自分には見えていない領域がある」 「まだ自分の知らないことがある」 という自覚を持っておきたい
  • 視野を広くし 「無知の知」 を持てれば、「ありそうでなかった商品やサービス」 のアイデアにつながる


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。