今回のテーマは、ビジネスを立ち上げ広げていく方法です。
✓ この記事でわかること
- ライオンの AI を活用した健康診断
- 20年分のデータを活用した予測システム
- 学べること2つ
- ① 眠れるデータの有効活用
- ② ビジネスの広げ方
おもしろいと思った健康診断を取り上げ、新しいビジネスを立ち上げに学べることを見ていきます。
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
ライオンの健康状態の予測システム
今回は、ライオンのリリースを読んだことが背景です (リリースはこちら) 。
AI で5項目を分析
以下はニュースイッチの記事からの引用です。
ライオンは国内グループ全社員を対象に医科と歯科の両健康診断データをもとに将来の健康リスクを予測するシステムを2022年春に導入する。
独自の人工知能 (AI) を使うなど健康経営にデジタル変革 (DX) を採り入れて情報を可視化。歯ブラシなどを主力商品に予防歯科の習慣を提唱する企業として、まず社内の健康行動を変えるきっかけにする。得られた知見を活用し、将来の新たなビジネスにもつなげる。
導入するのは 「個人別健康情報システム」 。医科と歯科の両健診データを統合し、AI を使って血糖、血圧、肥満、虫歯、歯周病の5項目を分析。現在の生活習慣を続けた場合、血糖、血圧、肥満は3年後に、虫歯・歯周病は1年後にどう変化するか予想確率を数値で示す。国内のライオングループ社員約4000人を対象とする。
20年分のデータから予測
興味深いと思ったのは、20年分のデータを活用していることです。
別の記事ですが、日経新聞からの引用です。
ライオンの過去20年分の従業員向けの歯科検診のデータを活用し、年齢を重ねるにつれて歯の状態などがどのように変化したかを AI に機械学習させた。
この AI が独自のアルゴリズムで従業員一人ひとりの歯科検診の結果を分析し、虫歯の発症リスクを算出する。虫歯のほか歯周病のリスクも導き出す。
虫歯の場合は 「1年後に虫歯になる確率」 、歯周病では 「1年後に初期の歯周病の兆候が表れる確率」 が、「天気予報の降水確率のように分かる」 (DX 推進部の黒川博史部長) という。
学べること
では、ライオンの健康状態の予測システムから、学べることを見ていきましょう。
2つあります。
✓ 学べること
- 眠れるデータの有効活用
- 新しいビジネスの広げ方
眠れるデータの有効活用
ライオンの話は、社内に使われないまま保存されていたデータを再び有効活用する事例として興味深いです。
毎年の検診データはその時々で診断結果に使われますが、それ以降は通常は使われません。
しかしライオンはここに目を付けました。20年分のデータという遊休資産を AI に機械学習をさせ、独自アルゴリズムを構築し、未来予測に活かしたのです。
歯磨き粉や歯ブラシなどのオーラルケア商品を扱っているライオンならではの着眼点から、従業員向けに眠っていたデータを価値に転換しています。20年分のデータを 「金の卵を産むニワトリ」 にしていくのです。
新しいビジネスの広げ方
2つ目に学べるのは、ビジネス拡大の進め方です。
現状は国内のライオングループの従業員向けとのですが、これだけでは終わらず、他社へサービス提供するビジネスとして発展させていくでしょう。
いきなり全方位に展開していくよりも、提供先を限定しまずはテスト的に始めるはずです。ベータ版の位置付けで、市場性があるか、ビジネスモデルが成立するかを検証します。ビジネスとして拡大できる見通しが立てば、本格的に広げていくでしょう。
以上のように、次の3つのステップでビジネスを展開していくと見ました。
✓ 新しいビジネスの広げ方
- 自社内でまずは使ってみる ← ライオンはここ
- 社外への提供先を限定しベータ版でテスト運用
- 市場性があるなら正式リリースで本格展開
これが今回のまとめとして残しておきたい、ビジネスを立ち上げ広げていく方法です。
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