投稿日 2022/01/05

カルビー 「ポテりこカー」 に見る、ブランドの本質とブランドをつくる方法

出典: まちさが

今回は、マーケティングのブランドについてです。

✓ この記事でわかること
  • カルビーの移動車販売 「ポテりこカー」 とは?
  • ポテりこカーの提供価値
  • マーケティングからの掘り下げ
  • ポテりこ体験からのブランディング
  • マーケティングに学べること

カルビーのユニークな D2C の取り組みをご紹介し、マーケティングのブランドについて学べることを解説しています。ブランドとは何か、ブランドをつくる方法がわかる内容です。

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

カルビーの移動車販売


今回ご紹介したいのは、カルビーの 「ポテりこカー」 です。

出典: CREATORS

以下は日経新聞の記事からの引用です。

カルビーは、アンテナショップ 「カルビープラス」 の一部店舗で取り扱う、揚げたてポテトスナック 「ポテりこ」 について、キッチンカーによる販売を始めた。

カルビープラスの10周年を記念して立ち上がった企画で、今夏から商業施設 「三井ショッピングパークららぽーと横浜」 (横浜市) などに出店。大型ショッピングモールなどへの出店を重ねている。

移動者販売の狙い


ポテりこカーを始めた狙いは、現状への危機感からでした。

もう一度、記事から引用します。

コロナ禍で外出が減り、既存店の販売も落ち込んでいた。「店頭で来客を待つだけでは厳しい」 。セールス & マーケティングカンパニー、ダイレクトカスタマーマーケティング事業部の北村恵美子部長はそう考えて、発想を転換することにした。

そこで 「会いに行きます。」 をテーマに掲げ、キッチンカーをレンタルして出張販売を実施することにした。「見た人にわくわくして欲しい」 (北村部長) と、キッチンカーは遠くからでも目を引く派手なデザインに塗装した。

キッチンカーは 「ポテりこカー」 と名付け、ポテりこはサラダ味とチーズ味の2種類の味わいを用意した。

カップ1杯の価格は310円で、ファミリー層や学生のグループなどが買い求める。期間中に複数回来店する顧客も多く、1日1000個を超える販売となった日もあったという。ポテりこのほか、産地や製法などにこだわったスナック菓子なども取り扱う。

 「ポテりこカー」 の提供価値


出典: まちさが

移動車販売の 「ポテりこカー」 がやっていることは、メーカーから消費者への直販です。今っぽい言い方をすれば D2C (Direct to Consumer) です。

消費者にとっての意味合いは、普段は買えず食べる機会がないできたてのお菓子を楽しめる 「コト」 にあります。

コンビニやスーパーの買い物にはない、そこでしかできない体験が消費者にとっての価値です。表面的にはカルビーは移動車で 「ポテりこ」 というお菓子 (モノ) を売っていますが、本質は 「できたてのお菓子を食べる楽しさ」 というコトを提供しているのです


マーケティングからの掘り下げ


では、ここまで見てきた 「モノではなく体験というコトを売っている」 というのを、マーケティングの観点で紐解いてみましょう。マーケティングの中でもブランドの視点で見ていきます。

そもそものブランドとは何かですが、これは私の一言の定義があり、ブランドとは 「顧客からの望ましい感情が伴った商品やサービス」 です。

望ましい感情とは、好き、共感、満足している、誇り、憧れ、応援したい気持ちです。こうした感情が深いほど強いブランドです。

ブランドは数式で表現でき、「商品 + 感情 = ブランド」 です。


 「ポテりこカー」 からのブランディング


ここでカルビーの 「ポテりこ」 に話をつなげます。

ブランドとは 「顧客からの望ましい感情が伴った商品」 でした。

ポテりこカーという特別感のある移動車販売で、まるでお祭りの屋台で食べるようにカルビーのできたてのスナック菓子をその場で楽しめます。そこでしかできない体験から、おいしかった、楽しかったという感情移入と、良い記憶が消費者の頭の中に残ります。

つまり、「体験 → 感情移入 → 価値イメージ形成」 という流れでブランドができるのです

カルビーのポテりこカーの取り組みは D2C という売り方だけではなく、マーケティングのブランドの観点からも興味深いです。


学べること (まとめ)


では最後にカルビーの 「ポテりこカー」 から、マーケティングに学べることを整理しておきましょう。

今回の学びは、マーケティングでのブランディング (ブランド構築) です。

✓ ブランドの本質
  • 顧客からの望ましい感情が伴った商品やサービス
  • 望ましい感情とは、好き, 共感, 満足している, 誇り, 憧れ, 応援したい気持ち。こうした感情が深いほど強いブランド
  • ブランドはお客の頭の中にある商品・サービスへの価値イメージや信頼

✓ ブランドができるプロセス
  • 他にはない体験をする
  • 望ましい感情移入がされる
  • 価値イメージとともに良い記憶が残る
  • 他とは独自化された存在になる (ブランド)


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。