今回は、マーケティングや販売でのデータ活用というテーマです。
✓ この記事でわかること
- アパレルでの O2O 事例
- EC と店舗がつながっている顧客体験
- 顧客データからの体験価値 (メリット) 創出
- 学べること
おもしろいと思った O2O の事例をご紹介し、顧客データ活用という視点でマーケティングと販売に学べることを解説しています。
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
あるアパレルでの O2O 事例
日経新聞のある記事を読みました。
記事のリード文を引用すると、
TSI ホールディングス (HD) は電子商取引 (EC) 支援ソフトのプレイドと組み、EC の閲覧履歴などをもとに、店舗で個人にあった情報を提供する実証実験を始めた。
「ナノ・ユニバース」 の店頭で客がスマートフォンを機械にかざすと、EC でお気に入りに登録している商品のその店舗での在庫やコーディネート案を表示する。まず首都圏の3店舗で開始し、効果を検証する。
具体的にどういう仕組みかと言うと、
店頭にチェックイン用の機械を設置する。来店した客がスマホをかざすと、その人に合わせたコンテンツがアプリに配信される仕組みだ。
店頭でスマホアプリからのチェックイン (出典: 日経)
情報はオンラインストアやアプリでの閲覧履歴やお気に入りの登録データをもとにし、個人ごとに変える。例えば EC で閲覧した商品やお気に入り登録商品、チェックインした店舗の在庫情報をベースに、お薦めのコーディネートを提案する。
EC でお気に入りに登録している商品の在庫がその店にあるかや、売れ筋商品の情報なども提供する。
シームレスな買いもの体験
これまでは一般的には、お店と EC では顧客体験は断絶していました。
しかしご紹介した事例は、リアルとネットがシームレスにつながっている体験設計で興味深いです。
EC での閲覧履歴やお気に入り登録情報は、その人の好みが表れます。お客さんの1人ひとりを理解するのに貴重な情報です。
EC での行動データ (閲覧履歴, お気に入り登録) を、EC サイトの改善や商品企画・アイデアに使うだけではありません。データを、店舗と EC のトータルでの顧客体験の向上に活用しているのです。
来店時のメリット創出
O2O の文脈で捉えると、お客さんのお気に入り情報などをリアルの店舗でも活かすことは、お客がお店に足を運ぶ動機につながっています。
お店の入口でスマホアプリからチェックインするという一手間はありますが、お気に入り登録した商品の在庫があれば手に取ったり試着をしてみたり、自分の好みに合ったコーディネートが提示されるのは、来店するメリットになります。
Online to Offline というネットからリアルへの導線が、ユーザーメリットとともにうまく設計されています。
学べること
では最後に、アパレルの O2O 事例から学べることを整理してみましょう。
学びとして残しておきたいのは、「収集したデータをお客さんへの価値提供につなげよう」 です。
ご紹介したアパレルの事例に当てはめれば、収集データとは EC での行動データで、閲覧履歴やお気に入り登録です。
具体的な活用は、来店時にお気に入り商品の在庫情報が確認され、お客一人ひとりに合ったおすすめコーディネートを表示します。これによりお客さんの来店のきっかけを作り、店頭での顧客体験をより良いものにできます。
データは収集しても、保有しているだけでは価値を生んでいません。データを活用し、何よりも価値につなげてこそ意味があります。データ収集、お客への価値転換と提供、ビジネスへの成長までと、少しでもデータから実現していくことが大事です。
まとめ
今回はアパレルでの O2O 事例からデータ活用という視点でマーケティングや販売に学べることを見てきました。
最後にまとめです。
顧客データからお客への価値提供
- データは収集しても保有しているだけでは価値を生んでいない。データを活用し価値につなげてこそ意味がある
- データ収集、お客への価値提供、ビジネスへの成長までをデータから実現していこう
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