出典: PR TIMES
今回は、ヒット商品に学ぶ 「強みをつくる方法」 です。
✓ この記事でわかること
- ホテルの訳ありの 「おかずケーキ」 が人気商品になった事例
- 本質は弱みが強みになったこと
- 強みに変わった要因は?
- マーケティングに学べること
おもしろいと思ったホテルの人気商品を取り上げ、ヒットの理由を掘り下げます。そこから着想を広げ、マーケティングに学べることを解説しています。
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
ホテルの訳ありケーキ
以下は、日経新聞の記事からの引用です。
スーパーやデパートの青果売り場に並ぶ色とりどりの美しい野菜たち。対して、味や鮮度に問題がなくても、太さが数ミリ足りない、色にむらがあるなどの理由で規格外となった野菜がある。
これらの "ふぞろいの食材たち" が、高級ホテルやレストランとのコラボや、名付けの工夫によるリブランディングなどで変身し、注目を集めている。
この記事で紹介されていた、パレスホテル東京の人気ケーキ 「ケーク サレ」 の話が興味深かったです。ケークサレは 「おかずケーキ」 です。
出典: PR TIMES
引用を続けます。
東京・丸の内、皇居のお堀を眺める優美な景観が特徴のパレスホテル東京。「インスタで見ました」 。ビジネスマンや中高年のマダムたちの憩いの場所に訪れた20代の女性のお目当ては、今流行のアフタヌーンティーではない。
地下のペストリーショップ 「スイーツ & デリ」 で9月から発売された 「ケーク サレ」 (850円) だ。流通規格に合わないために農家で廃棄される予定だったブロッコリーやパプリカなど、その時々のロス食材を使ってホテルのシェフが毎日厨房で一つ一つ丁寧に焼き上げる。
生地にたっぷりのチーズやベーコン、オリーブなどを練り込み、「どんな野菜とも相性は抜群」 (パレスホテル) と自信を見せる。キッシュのような味わいなので温めて朝食として楽しんだり、サワークリームを添えてワインのお供にしたり、楽しみ方も色々だ。
ホテルの商品としては価格設定が手ごろなこともあり、近隣の会社員だけでなく、目的買いの若い世代も多く午前中に売り切れてしまうこともしばしばあるという。
不揃いの食材という価値
人気の要因は、ホテルのシェフが毎回工夫をこらし、1つ1つを丁寧に焼き上げていることに加え、あえて不揃いな食材や、一般的な流通には乗らない 「形や色での規格外の食材」 を使っていることも人気の秘密です。
傷があったり、出荷できずに余ってしまったりしたイチゴをソースなどに活用。「ホテルクオリティーの品質で、楽しみながらフードロス削減に貢献できるというのが、お客様への新しい体験価値の提供につながっている」 とパレスホテル東京総支配人の渡部勝氏は指摘する。
パレスホテルのこうした取り組みを支えるのが、食材を提案するフードロスバンク (東京・港) だ。高級ホテルやアルマーニ、ブルガリなどのレストランに、高品質のふぞろい食材を提案。規格外食材の活用に尽力する。
「『規格外品を使うなんてブランドに傷がつく』と大手企業から一蹴されたこともある」 と山田早輝子社長は振り返る。ただ、「品質やブランド管理のプロフェッショナルであるホテルやブランドがいち早く参入してくれたことで風向きは大きく変わってきた」 (山田氏) という。
弱みが強みに
では、ここまでの 「ケーク サレ」 の話について、本質は何かを掘り下げてみましょう。
一言で言えば、人々の認識が変わり、かつての弱みが強みになったことです。
強みと弱みについて、マーケティングの観点から意味合いを整理すると次のようになります。
✓ 強みと弱み
- 強み: 他よりも価値があること, 選ばれる理由
- 弱み: 選ばれない理由, 強み (選ばれる理由) を打ち消してしまうもの
ではなぜ、かつての弱みが一転して強みになれたのでしょうか?
弱みが強みになった要因は、世間の見方、つまり人々の認識 (パーセプション) が変わったからです。
パーセプションの変化
ご紹介している 「ケーク サレ」 を例にすれば、パーセプションの変化とは不揃いな食材への捉え方です。大きな潮流は SDGs です。
これまでは、訳ありとは 「安かろう悪かろう」 なイメージでした。このイメージはパレスホテル東京のような格式高いところには合わなかったわけです。
しかし、SDGs という持続的な社会への意識の高まりが、形が不揃いであったり、規格外の食材という捨てられるであろう物を無駄にせず使っていることを魅力的にしました。
つまり、人々の価値に対するイメージ (知覚価値, パーセプション) が変化し、訳ありというかつての弱み (選ばれにくい理由) が、強みという積極的に選ばれる理由に変わったのです。
学べること
では、最後に今回の内容から学べることを整理してみましょう。
一言で表現すれば、学びは 「強みの要因になる “人々 (お客) の価値認識” を理解しよう」 です。
パレスホテル東京のケークサレの例では、世の中の SDGs 機運の高まりによって、かつての弱みだったことをむしろ強みとして打ち出せるようになりました。
ここで大事なのは、強みや弱みとはあくまで相対的であることです。
相対的とは、誰が何と比べるかによって変わるということです。同じ人でも比べる時の状況によって、強みになることもあれば、そうはならないこともあります。
ポイントは強みかどうか、つまり価値だと思い、欲しいと感じたり買いたいと思うかは、お客さんが決めるということです。
だからこそ大事なのが顧客理解です。既存顧客や見込み客はどういう捉え方をしているのか、何に価値を感じるかなど、お客の感情に注目するといいです。
まとめ
今回は 「ケーク サレ」 を事例に、強みと弱みという観点からヒット商品をつくるためのお客の認識理解の重要性について見てきました。
最後にまとめです。
強みと弱み
- 強み: 他よりも価値があること, 選ばれる理由
- 弱み: 選ばれない理由, 強み (選ばれる理由) を打ち消してしまうもの
マーケティングに学べること
- 人々の価値に対するイメージ (知覚価値, パーセプション) が変化すると、かつての弱み (選ばれにくい理由) が、強み (積極的に選ばれる理由) に変わる
- 強みかどうか、価値だと感じ欲しいと思うかはお客さんが決める
- 大事なのは顧客理解。強みの要因になる 「人々 (お客) の価値認識」 を理解しよう
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