今回は、ノウハウ自体からの収益化、信頼獲得の方法についてです。
おもしろいと思った飲食店向けのアプリを取り上げ、学べることを見ていきます。
✓ この記事でわかること
- 飲食店の食材調達と仕込みを外注できるアプリ 「シコメル」 とは?
- アプリ内でレシピ情報を公開しての収益化
- 外部公開のメリットとデメリット
- ノウハウからの稼ぎ方と信頼を得る方法
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
食材調達と仕込みの外注アプリ 「シコメル」
今回ご紹介したいのは 「シコメル」 という、飲食店向けのアプリです (公式サイトはこちら) 。
出典: PR TIMES
シコメルでできること
以下は、日経新聞の記事からの引用です。
シコメルは、シコメルフードテック (東京・渋谷) が開発したアプリだ。
飲食店はまず希望する仕込みについて、使う材料や調理方法などのレシピを、シコメルフードテックと共有する。レシピに沿って工場で調理したサンプルを飲食店に送り、見た目や味などを確認する流れだ。
現在は80以上の食品工場と提携。和食や洋食に加えて中華や韓国料理にも対応している。鶏そぼろやミートソース、プルコギなど登録商品数は約2900に上るという。
飲食店はメニューごとに決められた料金を、注文した数量だけ払う。シコメルフードテックはその一部を手数料として受け取る。
シコメルストアに出ているメニューは、例えば次のような料理です。
出典: PR TIMES
レシピを外部公開できる 「シコメルストア」
2022年2月に、新しく 「シコメルストア」 がリリースされました。
シコメルストアは、 飲食店がレシピ外部公開に同意すれば、アプリ会員がレシピ情報を購入できるサービスです。
先ほどの日経から引用すると、
利用店舗を増やすため、アプリ機能をさらに拡充している。従来はシコメルフードテックと外注するレシピを共有した飲食店だけがサービスを利用できた。2月からはレシピを持つ飲食店が同意したメニューについては、アプリ会員も購入できるサービス 「シコメルストア」 を始めた。
これによりメニューを開発する時間やノウハウが乏しい飲食店でも、店舗で提供するメニューの幅を広げることができるようになる。レシピの公開に同意した飲食店には、収益の一部が還元される。
左が 「シコメルストア」 のホーム画面 (出典: PR TIMES)
おもしろいと思ったのは、引用の最後にあった 「レシピを外部公開した飲食店には、収益の一部が還元されること」 です。ここを掘り下げていきましょう。
レシピ外部公開の意味合い
自分の店で使っているレシピを公開し、他店がレシピを買った売上の一部を収益として得られるというのは、ノウハウの外部公開による収益化 (マネタイズ) です。
一般的にはレシピの中身は店の外には出さない情報です。他の店でも同じ料理メニューがあり、もし自分たちのメニューよりも同じものが安い値段だと、お客さんはそちらに流れてしまうでしょう。
シコメルストアが興味深いのは、門外不出であるようなレシピをアプリ内に公開できるようにしていることです。
外部公開し、他のお店がレシピを買えば収益の一部が還元されますが、これをどう捉えるかです。
ポジティブに見れば、新たな収益源が得られます。しかしネガティブに捉えれば、せっかく工夫して作ったレシピがライバル店に知られてしまうとすると、競争優位性の低下につながります。
学べること
今回の記事では、今のポジティブとネガティブの捉え方において、ポジティブな側面に注目をします。
シコメルストアから学べるのは、ノウハウを有効活用できないかという発想になってみる重要性です。
一般的にはノウハウを持っているとは、その道の専門家なわけです。通常はノウハウは、商品やサービスを提供しお客さんへの価値を生み出す源泉です。ノウハウの別の有効活用として、ノウハウからの直接の収益化、またはお金を稼げなかったとしても、相手からの信頼獲得につなげるのです。
これは組織や企業だけではなく、個人のレベルでも当てはまります。
- 自分 (たち) が持っているノウハウは何か
- ノウハウはどのようなプロセスで価値を生み出しているか
- ノウハウ自体を売り物にできないか、あるいは信頼を得られないか
このような発想をしてみると、ビジネスや仕事でのヒントになります。
まとめ
今回は飲食店向けのアプリ 「シコメル」 を取り上げ、学べることを見てきました。
最後にまとめです。
レシピ外部公開からの収益化
- シコメルストアは、 飲食店がレシピ外部公開に同意すれば、アプリ会員がレシピ情報を購入できるサービス。レシピを外部公開した飲食店には収益の一部が還元される
- ポジティブに見れば、飲食店はレシビ外部公開で新たな収益源になる
- ネガティブに捉えれば、レシピをライバル店に知られてしまうことになりかねない (競争優位性の低下)
ノウハウの有効活用
- ノウハウは、商品やサービスを提供しお客さんへの価値を生み出す源泉
- 別の有効活用として、ノウハウからの直接の収益化、またはお金を稼げなかったとしても相手からの信頼獲得につなげよう
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