投稿日 2022/05/30

思わず買ってしまう 「からだおだやか茶 W」 の CM 。ターゲットをドキッとさせるマーケティング


今回は、おもしろいと思った CM を取り上げ、マーケティングで重要な 「顧客インサイト」 について学べることを見ていきます。

✓ この記事でわかること
  • からだおだやか茶 W の CM
  • 課題感を生み、価値提案につなげる CM ストーリー
  • ターゲット顧客のインサイト
  • お客さんに響くマーケティングをする方法

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

からだおだやか茶 W の CM


今回ご紹介したいのは、からだおだやか茶 W の CM です。からだおだやか茶 W はコカ・コーラから出ています。


CM のストーリーを簡単にご紹介すると、主役は山田孝之さんが演じる中年サラリーマンです。

立ち寄ったコンビニで、男性は 「からだおだやか茶 W」 を目にします。棚にあった 「記憶力にも、血圧にも」 という文字に注目するものの、「いやいやまだ大丈夫でしょう」 と素通りしようとします。

しかし、ここであるシーンを思い出します。CM は回想シーンに切り替わり、妻に頼まれてスーパーへの買い物に行き、帰った後に妻から 「あれ、卵は?」 と買い忘れを指摘され、男性が 「あ、卵…!」 と悔やむシーンです。

その後 CM は再びコンビニの売場に戻り、「気になりだしたら、はじめどき」 というナレーションが入ります。最後は、男性が 「からだおだやか茶 W」 を飲んで終わるという CM です。


買う理由の呼び起こし


からだおだやか茶 W の CM は、15秒の中で的確に訴求をしています。商品の特徴だけではなく、ターゲットとなる中年男性が抱えがちな悩みを描写し、当てはまる人にドキッとさせる指摘があります。

それが CM の途中に出てくる回想シーンです。妻から頼まれた買い物で、1つだけ買い忘れるという日常生活でよくありそうな、ちょっとした物忘れです。

程度は低いかもしれませんが、昔の自分には無かったことで、なんとなく心の中にある悩みです。自分自身の加齢を感じるので、受け入れたくない・認めたくない気持ちも相まって、普段は意識しないようにしている奥にある本音です。

このような悩みが CM を見ている人の課題感としてあらためて認識され、からだおだやか茶 W を買う理由として呼び起こしているのです。

こうした買う理由につながった隠れた不満や望みを、マーケティングの専門用語で 「顧客インサイト」 と言います。


顧客インサイトへの価値提案


顧客インサイトとは、「人を動かす隠れた気持ち」 です。

普段は意識していなくても、それが起こった時や、直接関係なくても何かのきっかけでふと思い出すと、買うなどの行動につながる奥にある本音です。マーケティングでは、顧客インサイトのことを 「心のツボ」 や 「心のホットボタン」 と言ったりします。

からだおだやか茶 W の CM が良いと思うのは、顧客インサイトが基点になっていることです。

ターゲットとなる中年男性の顧客インサイトをつかみ、インサイト (普段は隠れている悩みや望み) を呼び起こし、解決手段としての商品を価値 (記憶力にも血圧への効用期待) とともに提案しています。


学べること


では最後に、からだおだやか茶 W の CM から学べることを整理してみましょう。

一言で表現すれば、学びは 「お客さんの顧客インサイトを理解し、インサイトを満たす打ち手をしよう」 です。ここで言う打ち手とは、CM のようなコミュニケーションだけではなく、商品開発、パッケージ、ネーミングなど多岐に渡ります。

常に意識しておきたいのは、

  • 顧客インサイトとは何か
  • どうやって満たすか (インサイトにもとづく解決策) 
  • インサイトと解決方法 (提供価値) をどのように伝えるか

という、顧客インサイトをベースにしたマーケティングや商品開発です。


まとめ


今回は、からだおだやか茶 W の CM を取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。

最後にまとめです。

顧客インサイト
  • 顧客インサイトとは、「人を動かす隠れた気持ち」 。「心のツボ」 や 「心のホットボタン」 と呼んだりする
  • 普段は意識していなくても、ふとした何かのきっかけで思い出すと、買うなどの行動につながる奥にある本音

インサイトからの価値提案
  • お客さんの顧客インサイトを理解し、インサイトを満たす打ち手 (マーケティング施策や商品開発) をしよう
  • 顧客インサイトとは何か、どうやって満たすか、インサイトと解決方法 (提供価値) をどう伝えるかは常に意識しておくといい


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。