出典: FRONTROW
今回は、マーケティングや商品開発でのターゲット設定についてです。
「誰の何の問題を解決するのか」 を明確にすることの重要性を、具体的な商品事例から解説していきます。
おもしろいと思ったプロテイン飲料を取り上げ、マーケティングや商品開発に学べることを見ていきましょう。
✓ この記事でわかること
- プロテイン飲料の KOREDAKE が、新しく個包装タイプを発売
- 個包装タイプのマーケティング観点での意味合いとは?
- ライトユーザーの 「不」 を解消する打ち手
- マーケティングでは 「誰の何の問題を解決するのか」 を明確にしよう
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
個包装タイプのプロテイン飲料
女性向けのプロテイン 「KOREDAKE」 が、新しく飲み切りサイズの個包装タイプを発売しました。
出典: no-ma
以下は、KOREDAKE (メーカー名は 「メップル」 ) を取り上げた日経新聞の記事からの引用です。
女性向けのプロテインを手掛けるメップル (東京・渋谷) が、個包装タイプのプロテインを発売した。容器に直接水を入れて混ぜるためシェーカーがいらず、外出先でも飲みやすい。
プロテインは美容や健康など筋肉増強以外の目的で飲む習慣が広がり、市場規模が拡大している。参入企業も増え、持ち運びやすさやデザインなど競争軸が多様化してきた。
メップルは2018年設立のスタートアップで、20年3月に女性向けプロテイン 「KOREDAKE」 を発売した。たんぱく質のほか食物繊維や葉酸などを配合し、栄養素を補給しやすいという。ピーチやアーモンドなど飲みやすい味わいも特徴だ。
これまで15食分の750グラムの商品 (6300円) を販売していたが、新たに1食分の個包装タイプを追加した。プロテインの粉が入った袋に水を入れ、10回ほど上下に振って混ぜ合わせ、同封されているストローで飲む。4食と8食のセットがあり、1食分の価格は700円ほどだ。
マーケティングからの考察
KOREDAKE の個包装タイプのプロテイン飲料について、マーケティングの観点から掘り下げてみましょう。
背景 (市場拡大とライトユーザー (初心者) )
背景はプロテイン食品の市場が拡大していることです。
一般的に、市場が拡大する状況ではライトユーザーが増えます。
ライトユーザーとはプロテイン市場に当てはめれば、美容や健康のために手軽にプロテインを取りたいと思う人たちです。従来の筋肉の増強を目的とする以外に、美容や健康のためにプロテインを摂取する習慣が広がっているわけです。
こうした文脈を踏まえると、個包装タイプを出す意味合いは、ライトユーザー (初心者) の 「不」 を解消する打ち手です。
ライトユーザーの 「不」 の解消
ここで言う 「ライトユーザーの不」 とは何かについて、先ほどの日経の記事から見てみましょう。
開発のきっかけは、21年夏にメップルの社員がプロテインを袋に小分けして携帯していたことだった。粉タイプのプロテインは大きい袋の商品ばかり。さらにシェーカーが必要なため、外出先で飲むハードルが高い。
約800人の利用者にアンケートを実施すると、「持ち運びにくい」 「手に粉がつくのが面倒」 といった声が多く、既存ユーザーには簡単に飲める個包装のニーズがあると判断した。アンケートでは 「色々な味を試したい」 「月に数回だけ飲みたい」 との需要も多かった。使い切りサイズを投入することで新しいユーザーを獲得する狙いもある。
「KOREDAKE のターゲットはもともとプロテインになじみのない人」 (鈴木友樹・最高経営責任者) で、パッケージもシンプルなデザインとした。持ち運びやすさやデザイン性で新たな競争軸を立て、プロテインの利用者を増やしたい考えだ。
KOREDAKE は個包装タイプという使いきりサイズの商品を新しく投入し、プロテインになじみのない人、少量を手間をかけずに飲みたいニーズに応えているのです。
学べること
KOREDAKE のプロテイン飲料の個包装タイプの話から、マーケティングに学べることを整理してみましょう。
一言で表現をすれば、「誰の何の問題を解決するのか」 を明確にする重要性です。
解決する問題の設定
KOREDAKE の個包装タイプに当てはめれば、使い切りタイプを出すのはライトユーザーのためでした。
大容量タイプを常にストックし、シェーカーを使い自分でプロテインの粉末を溶かすのは、筋肉増強目的のヘビーユーザーには自然なことです。しかし慣れていないライトユーザーには大容量タイプは使いにくいでしょう。
そこでライトユーザー向けに個包装タイプを出したわけです。
ターゲット顧客とターゲット問題
最後に学びとして残しておきたいメッセージは、「ターゲット顧客だけではなく、ターゲット問題も設定しよう」 です。
商品開発やマーケティングでは、ターゲット顧客を設定することはよく言われ、実際にされているでしょう。ここで終わらずに、「ターゲット問題」 を明確にするといいです。
商品開発やマーケティングでは 「誰の何の問題を解決するのか」 を常に意識しておく。この重要性が KOREDAKE の個包装タイプから学べることです。
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