#DX #プロジェクト
なぜうちの会社の DX は、いつまで経っても現場に浸透しないんだろう…。そんな状況に心当たりはないでしょうか?
経営層が DX への抽象的なスローガンを掲げるだけで、現場での具体的な変化や活動に落とし込めずに終わることは少なくありません。では、現場と経営が一体となって DX を成功に導くにはどうすれば良いのでしょうか?
今回は、DX を推進し、成果を出すための具体的なアプローチを考えます。ぜひ一緒に DX への考察を深めていきましょう。
現場と経営が一体となって取り組む DX 推進
少なくない企業において、経営層が掲げる DX (デジタルトランスフォーメーション) の推進が現場にまで浸透せず、掛け声倒れに終わるケースがあるのではないでしょうか。
経営の掛け声が現場で実行されない…
たとえばのケースとして流通企業の場合に当てはめて、具体的に考えてみましょう。
経営層が掲げる DX の目標が、 「顧客満足度の向上」 や 「効率化」 といった抽象度の高いスローガンにとどまり、DX 推進をほぼ現場への丸投げ状態になっている場合、現場では何をどう変えればよいのか分からないままです。
この状態では、例えば在庫管理や店舗間の連携にデジタルツールが導入されたとしても、使い方が明確でない、効果が見えない、結局従来の手作業に戻ってしまうという問題が生じやすくなります。
そこで重要なのは、経営層の DX へのビジョンが、なぜ現場で機能していないかの実情を把握することです。経営や現場の双方とコミュニケーションを図る必要があります。現場では何が課題で、経営層が掲げる DX 方針がなぜ機能していないのかの根本原因を探るのです。
問題を解決するための掘り下げと関係構築
流通企業における DX 推進において、営業担当者は現場の課題を把握し、経営層の DX ビジョンとの乖離を埋めるために、次に行うべきことは課題設定です。
例えば、流通業界で在庫管理を見ると、現場では 「入荷と在庫の追跡が複雑で、現場作業が煩雑化している」 、「在庫データがリアルタイムで把握できないため、無駄な在庫が生じやすい」 など具体的な問題が存在します。
そこで、対処すべき課題を設定するため、各店舗における具体的な在庫管理の状況を調査し、データや情報の収集をします。
具体的には、以下のような情報収集をします。
- 各店舗の在庫管理の現状 (手作業, システムの有無, 課題)
- データの収集からリアルタイム反映に至るまでのプロセス
- 物流拠点と店舗間での在庫移動がスムーズに行われているか
情報収集を通して、具体的な課題に沿った DX の実現につなげます。
価値創出の明確化
DX によって、どのように利益向上につながるかを明確にすることが大事です。具体的な利益向上の例として、在庫管理の DX 化によって、在庫の無駄が減り、適正在庫を維持することでコスト削減が可能となります。
リアルタイムの在庫管理を導入することで、店舗ごとの需要に応じた在庫補充が可能になり、過剰在庫のリスクを減らし、欠品も防ぐことができます。
また、商品がスムーズに顧客に届く仕組みが実現できれば、配送の遅延を減らし、顧客の期待に応えることができるため、顧客満足度の向上も見込めます。流通企業において、物流システムをデジタル化することで、商品の配送状況を顧客にリアルタイムで提供することができ、顧客の信頼感を高められるでしょう。
さらに、店舗スタッフの作業効率が向上することによって、顧客対応に割ける時間が増え、サービスの品質向上にも寄与します。
このように、DX の導入により、在庫管理の最適化、物流の改善、顧客対応の効率化といった具体的な施策を通じて、利益と顧客価値の両方を向上させることが可能です。
課題を絞り込んだスモールアクション
現場からのフィードバックを得ながら、PDCA (計画・実行・評価・改善) サイクルを小さく回し、効果的な DX を実現するために、小規模からスタートすることが重要です。
まずは1店舗で実験的に在庫管理のリアルタイム化を導入し、その結果をもとに他の店舗へ拡大していく、といった形で進めます。こうした小さい成功体験を積み重ねることで、現場の理解と協力を得やすくし、全体の導入をスムーズに進めることができます。また、現場の従業員も DX の効果を実感し、導入に対する抵抗を減らすことにもつながります。
特定の店舗で 「在庫管理のリアルタイム化」 をテスト導入し、その成果を定期的に評価します。このときのポイントは、週1回の15分くらいなどの短時間の定例ミーティングを活用することです。短い時間で定期的に進捗状況や課題を共有することにより、即座に改善点を見つけ、迅速に対策を講じられます。
また、これにより現場の関係者が案件に対する意識を維持しやすくなり、結果としてプロジェクト全体のスピードアップにつながります。
関係者を巻き込んだ取り組みの推進
流通企業の店舗や拠点ごとに個別のニーズが異なるため、情報システム部門やデータ管理部門を巻き込み、関係者が協力できる体制を作り上げることも重要です。
店舗ごとに異なる在庫管理の方法や顧客サービスの手順を統一するには、情報システム部門と連携し、各店舗の担当者に対する具体的なサポートを行います。
この際、現場での負担が軽減される具体的な DX ツールの提供やトレーニングの実施も必要になるでしょう。在庫管理システムを導入する際には、現場スタッフがその使い方を容易に理解できるよう、簡潔なマニュアルや操作トレーニングを提供します。
また、現場のスタッフが実際の運用で不明点を抱えないように、導入初期にはサポート担当者が定期的に現場を訪問し、フィードバックを集めて改善を行うことも効果的です。
さらに、店舗の状況に応じてカスタマイズ可能なツールを提供することで、個々のニーズに対応した柔軟な DX 施策を実現します。例えば、大型店舗ではリアルタイムで在庫情報を把握できるタブレットを導入し、小規模店舗では簡易的な在庫管理アプリを提供するなど、各店舗の特性に応じた対応を行います。
このように、経営層のビジョンと現場の具体的な課題をつなぐ役割を果たし、現場の負担を軽減しながら、実効性のある DX 施策を導入することで、経営と現場が一致した形で DX 推進が実現できます。
以上のアプローチにより、DX は掛け声に終わらず、企業の課題解決や顧客価値の創出に貢献する変化へと発展します。
まとめ
今回は DX を社内で推進し実現するためには、どうすればいいかを考えました。
最後にポイントをまとめておきます。
- 経営層からの DX の号令や指示が抽象的だと現場に浸透せず、丸投げ状態となる。経営と現場の間で課題を共有し、協力体制をつくり、実行可能な目標設定と打ち手まで落とし込むを行うことが大事
- そのためにはまず現場の課題を把握し、具体的な情報収集を行い、経営のビジョンと現場の実情のギャップを埋める
- 業務オペレーションの DX 化により、コスト削減や顧客満足度向上が期待できる。DX を掛け声だけにとどめず、DX による具体的な利益や便益を示すことで現場での協力を得やすくなり、経営目標と一致した DX が進む
- DX は小規模な実験的導入から始めることで、現場での理解と協力を得やすく、成功体験を積み重ねるといい。早い PDCA を続けることで、DX の効果が組織全体に波及していくことを目指す
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