投稿日 2020/04/22

TikTok 広告効果調査に学ぶ、コミュニケーションと提案の技術




今回は、TikTok 広告から考えるコミュニケーション技術です。


この記事でわかること


  • TikTok 広告効果調査の結果と示唆
  • 示唆の本質
  • ビジネスへの応用 (提案やコミュニケーションの技術)


記事の前半は TikTok の広告効果調査の結果と示唆をご紹介しています。後半では、示唆の本質から考えるビジネスでの提案とコミュニケーション方法への応用です。

ぜひ記事を最後まで読んでいただき、お仕事での参考にしてみてください。


TikTok の広告効果調査


日本の TikTok Ads チームが実施し公表した、自社広告効果調査結果を読みました。

TikTok Ads初のクリエイティブリサーチ 高い広告効果を生む、4つの法則とは!?|TikTok Ads Japan


4つの調査テーマのうち、特に興味深いと思ったのは、広告内の 「商品紹介のタイミング」 です。

動画広告の3秒以内に広告商品が出るかどうかで、広告効果が異なったという結果です。認知への効き方と、行動意向への効き方で、異なる結果が出ました。


広告認知とブランド認知


広告認知やブランド認知では、商品・サービスを3秒以降に紹介する広告のほうが、3秒以内に出す広告よりも効果が高い結果でした。


引用: TikTok Ads初のクリエイティブリサーチ 高い広告効果を生む、4つの法則とは!?|TikTok Ads Japan


購入・利用意向


一方の購入や利用意向では、逆でした。

商品・サービスを3秒以内に紹介する広告のほうが、3秒以降の広告よりも高い効果を示しました。


引用: TikTok Ads初のクリエイティブリサーチ 高い広告効果を生む、4つの法則とは!?|TikTok Ads Japan


以上の調査結果から、どんな示唆が得られるでしょうか?


広告調査からの示唆


TikTok 広告が始めの3秒に分岐点があるのはおもしろいです。

さらに、広告から期待する態度変容によって、3秒以内なのか3秒以降のどちらに商品が出すかを変えたほうがいいのは興味深いです。


広告調査からの示唆
  • 広告認知やブランド認知を高めるためには、動画の冒頭から商品・サービスを前面に出さないことが有効
  • 購入や利用意向を高めるには、(広告視聴者に興味を持ってもらっている) 動画の冒頭で商品を見せることが効果的


もう少し、示唆の掘り下げをしてみます。


[示唆の掘り下げ 1] 認知


広告の目的を認知 (知ってもらうこと) にするなら、いきなり商品ではなく、まずは広告に目をとめてもらうことが重要です。

まだ知らない人に最初から商品を出すのは唐突感があり、自分には関係ないと思われるのでしょう。商品や見たはずの広告自体も記憶には残りにくくなってしまいます。

まずは商品そのものではなく、関心を持ってもらう情報を見せる。その後に商品を登場させます。


[示唆の掘り下げ 2] 意向


広告の位置づけを購入や利用意向にする場合は、早めに商品を出します。

広告を見る人はすでに広告商品を知っている前提で入ってよく、商品を出した後に買いたくなる・利用したくなる情報を続けて出していくのです。


では、以上の示唆を一般化すると、私たちは何が学べるでしょうか?


示唆の本質


本質を掘り下げるために、コース料理にたとえてみます。


示唆の本質 (コース料理でのたとえ)
  • 料理をおいしく食べて思い出に残すには順番が大事。いきなりメインディッシュを出さない (まずは食前酒や前菜から)
  • 前菜かメインディッシュかは、相手の立場や状況から決める
  • 前菜とメインのボリューム配分にも配慮する


広告とは、顧客へのコミュニケーションであり、提案です。

TikTok 広告効果調査結果の示唆は、ビジネスの実務でのコミュニケーション技術、提案スキルとして応用できます。


相手目線で 「前菜」 か 「メインディッシュ」 を決める


コース料理でたとえた前菜とは、相手にとっての既知情報や合意できているなどの、受け入れやすい内容です (いきなり提示しても唐突感のないもの) 。

メインディッシュとは、こちらにとって相手に最も使えたい内容です。

コミュニケーションでは、送り手と受け手での情報格差があります。送り手である伝える側は、相手よりも前提知識が多くあります。

自分にはわかりきっていることも、受け手はそうとは限りません。送り手には前菜でも、受け手にはメインディッシュと見えるわけです。

前菜とメインの順番が大事であり、その順番は受け手の目線で決めます


ビジネスへの応用


営業での商談や企画提案に当てはめてみましょう。

相手がすでに知っている・合意内容という 「既知情報」 を先に出し布石にし、場をあたためてから、こちらが通したい内容という相手にとっての 「新規情報」 を出すのです。

既知と新規 (本題) の順番は、ビジネスで汎用的に使えるアプローチです。

マーケティングコミュニケーション、プレゼン、企画提案、営業商談、交渉の場で活かせます。


まとめ


今回は、TikTok の広告効果調査と、応用としてコミュニケーションや提案の方法をご紹介しました。

最後に今回の記事のまとめです。


1.
広告調査からの示唆
  • 広告認知やブランド認知を高めるためには、動画の冒頭から商品・サービスを前面に出さないことが有効
  • 購入や利用意向を高めるには、(広告視聴者に興味を持ってもらっている) 動画の冒頭で商品を見せることが効果的


2.
示唆の本質 (コース料理でのたとえ)
  • 料理をおいしく食べて思い出に残すには、順番が大事。いきなりメインディッシュを出さない (まずは食前酒や前菜から)
  • 前菜かメインディッシュかは、相手の立場や状況から決める
  • 前菜とメインのボリューム配分にも配慮する


3.
相手目線で 「前菜」 か 「メインディッシュ」 を決める。
前菜とは、相手にとっての既知情報や合意できている受け入れやすい内容 (いきなり提示しても唐突感のないもの) 。メインディッシュとは、こちらにとって相手に最も使えたい内容。


4.
営業での商談や企画提案に当てはめれば、相手がすでに知っている・合意内容という 「既知情報」 を先に出し布石にする。場をあたためてから通したい相手にとっての 「新規情報」 を出す。
既知と新規 (本題) の順番はビジネスで汎用的に使える。マーケティングコミュニケーション、プレゼン、企画提案、営業商談、交渉。

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。