
今回は、「分かる」 とはそもそも何かです。分解の本質を掘り下げます。
この記事でわかること
- 分けられるから分かる
- 売上の分解
- STP と顧客セグメンテーション
- 分けることの本質
今回は、物事を 「分けられるから分かる」 という話です。
分けることの本質を、売上の分解、STP 、顧客セグメンテーションを例に掘り下げています。
ぜひ記事を最後まで読んでいただき、お仕事での参考になれば嬉しいです。
分けられるから分かる
物事を因数分解して分けられると、より理解することができます。
解像度が高くなり、抽象的だったものが具体的になるからです。
では、分けることによって理解が進む例をいくつかご紹介します。まずは売上の分解から見ていきましょう。
売上の分解
皆さんはもし、「売上をどのように分解できるか」 と聞かれれば、どう答えるでしょうか?
まず大きくは、売上は客数と客単価に分けられます (売上 = 客数 × 客単価) 。さらに客数と客単価は、それぞれ次のように分解ができます。
客数の分解例 1
- 見込み客数 × 来店率 × 購入率 (買上率)
客数の分解例 2
- 新規顧客
- 既存顧客
客数の分解例 3
- ヘビーユーザー
- ミドルユーザー
- ライトユーザー
- 休眠・離脱ユーザー
客単価の分解
- 買上点数 (1回の買いものあたり平均購入個数)
- 一個あたりの平均金額
- 購入頻度
以上のように売上を分解していくと、単に売上が増えたか減ったかだけではなく、その要因もわかるようになります。
要因がわかれば、打ち手や対策も見えてきます。
では次に、マーケティング戦略から 「分ける」 を見てみましょう。
マーケティング戦略と STP
マーケティング戦略のベースになるのは STP です。STP とはセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの三つの頭文字からです。
STP
- 市場を分ける (セグメンテーション)
- どこを狙うかを決める (ターゲティング)
- そこでどんな存在になるかを設計する (ポジショニング)
今回の文脈で言えば、STP の最初のセグメンテーションが 「分ける」 になります。市場を特定の切り口で分け、市場特性を理解することができます。
STP のプロセスで最初にして難関なのは、セグメンテーションです。
市場の分解方法に唯一の正解はありません。STP の難しさと醍醐味です。ここにマーケターのセンスが問われます。
それでは次に、顧客セグメンテーションについて分解を見ていきましょう。
顧客セグメンテーション
例えばの顧客セグメンテーションのイメージは、次のような9セグメンテーションです。

引用: 1人の顧客からアイデアを得て広げる N1 分析とは?『実践 顧客起点マーケティング』セミナーレポート|MarkeZine
9セグメンテーションの特徴は、横軸をユーザーの 「行動」 、縦軸は 「気持ち」 からユーザーを分けます。
横軸の行動は、利用や購入頻度を使います。右にいくほど多くなります。縦軸の気持ちとは、次も選びたいなどの選好度合いや、ロイヤルティー度合いです。
では、顧客セグメンテーションから何が分かるのでしょうか?
顧客セグメンテーションで分かること
- 顧客の分布 (量的理解)
- 各グループごとの特徴 (質的理解)
- どのセルに注力をするか
- マーケティング施策の方針とアクション
- 施策後の効果
ここまで、売上の分解、STP 、顧客セグメンテーションから分解の例を見てきました。では、分けることの本質とは何でしょうか?
分けることの本質
分解とは、分けて比較をして理解をするためにあります。分けるとは手段です。
分けて、それによってどれだけ理解し、何を選ぶかです。
選ぶとは本質的には 「何を捨てるか」 を決めます。顧客セグメンテーションの例では、注力しないグループを選ぶ、つまりこの顧客グループは相対的に重要ではないと決断をします。
分解した要素を 「あれもこれも」 と全てやろうとするのではなく、「あれかこれか」 と本当に大事なことに注力するのです。
まとめ
今回は、「分けられるからこそ分かる」 という話でした。
いかがだったでしょうか?
最後に今回の記事のまとめです。
売上の分解
客数と客単価に分けられ、さらに分解ができる。
売上 = [見込み客数 × 来店率 × 購入率] × [買上点数 × 一個あたりの平均金額 × 購入頻度]
STP
- 市場を分ける (セグメンテーション)
- どこを狙うかを決める (ターゲティング)
- そこでどんな存在になるかを設計する (ポジショニング)
分けることの本質
物事を因数分解すると解像度が高くなり、より理解することができる (分けられるから分かる) 。
分けるとは手段。分けて理解し、選ぶ。分解した要素を 「あれもこれも」 と全てやろうとするのではなく、「あれかこれか」 と本当に大事なことに注力する。