2020/07/08

「リサーチで企画するな」 。自分の信念から企画をつくっていく方法




今回は、仕事での企画方法とマーケティングリサーチについてです。


この記事でわかること


  • 「リサーチで企画するな」 とは
  • 企画のプロダクトアウトとマーケットイン
  • 内側から始める企画方法
  • 信じる目、批判する目


今回は、マーケティングのリサーチの役割と、企画方法について書いています。

ある経営者との対談本から、どのように仕事の企画を進めていくかを掘り下げています。

ぜひ最後まで記事を読んでいただき、仕事での参考にしてみてください。


 「リサーチで企画するな」


最初に取り上げたい本があります。「好き嫌い」 と経営 (楠木建) です。





この本は、楠木建さんが14人の経営者それぞれとの対談内容が書かれています。「好き嫌い」 というテーマで経営や戦略の本質に迫ろうとする、興味深く読める本です。

以下は、元日本マクドナルド CEO の原田泳幸さんとの対談から、原田さんの発言の引用です。

仕事であれば、まず嫌いなのは企画を立てるのに理屈から入ること。普通はそうかもしれませんが、私は反対です。社員にはよく、「リサーチで企画するな」 と話します。たとえば新商品の開発となると、多くの人はまずリサーチをし、お客様の声を聞くところから始めます。

しかし、そんなやり方はありえないと思っています。お客様というのは、おっしゃることと行動が全然違います。おっしゃるとおりにやったとしても、成功できるものではありません。

たとえば 「何が欲しいですか?」 と顧客調査をすれば、必ず 「オーガニック、ダイエット、サラダ」 といったキーワードが出てきますが、それがヒットに直結するかといえば違うでしょう。むしろ真逆のコンセプトの 「クォーターパウンダー」 みたいなものが売れたりします。

リサーチというのは顧客の体験や過去の検証であって、将来を予見するインサイトではありません。お客様がまだ自覚しておらず、言葉にならないところにビジネスチャンスがあるわけです。

自分が信じるものを企画して提供し、実際のところ信じたように動いているかどうかを検証するためにリサーチはある。リサーチはあくまでナビゲーションの道具の1つにすぎません。リサーチにナビゲートそのものを委ね、リサーチで企画を立てるようでは駄目ですよ。

 (引用: 「好き嫌い」 と経営 (楠木建) )

 「リサーチで企画するな」 へのポイントは、次の通りです


リサーチで企画するな
  • リサーチでわかるのは顧客の体験や過去の検証
  • 本人が自覚できていない奥にある気持ち (インサイト) 、未来への答えは直接得られない
  • 企画とは自分が信じられるものから
  • リサーチは、信じたことがそうなのかを検証するため


企画のプロダクトアウトとマーケットイン


企画を 「自分が信じるもの」 からという考え方は、マーケティングでいうプロダクトアウトの発想です。

自分の内側から生まれる思いやビジョンを企画という形に落とし込み、実行につなげていきます。

マーケティングには逆からのアプローチがあります。マーケットインです。

 「リサーチで企画するな」 に当てはめると、実際のところでどう動いているかをリサーチで検証する部分が、マーケットインの考え方になります。

ここまでの内容を整理すると、企画はまずは自分が信じる内側から生み出します。その後に少しずつ他者の視点を入れていきます。自分の中からのアウトプットと、他者からのインプットを織り交ぜながら、企画に仕上げていくアプローチです。

最終的に、自分が信じるものと企画内容で想定している相手 (例えばターゲット顧客) が望むものの二つを両立させていくのです。


リサーチを否定しているわけではない


ここからは私の解釈ですが、「リサーチで企画するな」 とはリサーチ自体を否定しているとは思いません。

言わんとしているのは、企画のスターティングポイントをリサーチから大勢の平均的な他人の声に委ねるなと解釈します。

基点になるのは自分の信じるもので、その後にリサーチから強化していきます。時には反証をして、企画内容を磨いて実行につなげるというやり方です。リサーチはあくまでナビゲーションの道具の1つにすぎません。


信じる目、批判する目


対談で原田さんが言っている、自分の信じることを企画に落とし込んで進めていくやり方は、仕事にオーナーシップを持ち主体的に進める意味で大事です。

ただし、ここには注意点があります。

自分の内側からの信念を信じる一方で、それに囚われすぎないことが大事です。

片目で信じ、もう一方の目では建設的な批判的精神を持っておきます。なぜなら、企画は実行するまではあくまで仮説だからです。この段階では真実かどうかは分かりません。

信じる気持ちだけしかないと、どうなるでしょうか?

企画立案を進め、その後の実行プロセスで目の前の起こる事象に対して、素直な目で見られなくなります。囚われすぎてるあまり、自分でも気づかないバイアスがかかってしまいます。

 「信じる」 と 「疑う」 。一見すると相反しますが、自分の内側からの信念や想いから仕事を進める時の、大切なポイントです。

マーケティングで言えば、プロダクトアウトだけでもマーケットインだけでもなく、両方を取り入れ、かつ順番をどちらを先にするかです。

ここに唯一の正解はありません。ビジネスパーソンとしての価値観やセンスが色濃く出るでしょう。


まとめ


今回は、仕事での企画方法についてでした。マーケティングの考え方も取り入れながら掘り下げました。

いかがだったでしょうか?

最後に今回の記事のまとめです。


 「リサーチで企画するな」
  • リサーチでわかるのは顧客の体験や過去の検証
  • 本人が自覚できていない奥にある気持ち (インサイト) 、未来への答えは直接得られない
  • 企画とは自分が信じられるものから
  • リサーチは、信じたことがそうなのかを検証するため


リサーチの役割
 「リサーチで企画するな」 とはリサーチ自体を否定しているわけではない。企画のスターティングポイントをリサーチから大勢の平均的な他人の声に委ねるなと解釈する。
企画はまずは自分が信じる内側から生み出す。その後に少しずつ他者の視点を入れ磨いていく。


信じる目、批判する目
自分の内側からの信念を信じる一方で、それに囚われすぎないことが大事。「信じる」 と 「疑う」 の2つの目を持っておく。企画立案と実行で起こる事象に対して、自分の想いに囚われすぎることなく素直な目で見る。





 「好き嫌い」 と経営 (楠木建)

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書いている人 (多田 翼)

ベンチャーから一部上場企業の経営・事業戦略を支援。マーケティング、コンサルティング・アドバイザー・メンター、プロダクトマネジメント。前職は Google でシニアマーケティングリサーチマネージャー、現在は独立 (詳細は LinkedIn または Facebook をご覧ください) 。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。