✓ この記事でわかること
- 戦略の立案と実行のプロセス (定石として)
- まずは現状把握から
- 戦略立案と実行の進め方 (5つの仮説で)
この記事で書いているのは、コンサルティングの依頼をいただく戦略の仕事からです。
共通した定石のように、戦略を立て実行に移していく考え方とプロセスをご紹介しています。
ぜひ最後まで読んでいただき、お仕事での参考になればうれしいです。
戦略をつくる時の全体像
最初にご紹介したいのは、戦略立案と実行の全体像です。シンプルに考えると次の5つです。
✓ 戦略をつくる時の全体像
- 目的の明確化
- 現状把握
- 戦略立案 (5つの仮説)
- 実行プラン策定
- 実行とフォロー, 振り返り
この5つのプロセスは、私の経験から様々なレイヤーでの戦略に共通します。
大きなものでは3ヶ年の事業戦略、レイヤーを下げたものはマーケティング戦略、プロダクト戦略、営業戦略です。また、今回は詳しくは触れませんが個人のキャリアの観点でも5つは参考になります。
* * *
ではここからは、全体像の5つから2番目と3番目の 「現状把握」 と 「戦略立案」 を詳しく見ていきましょう。まずは現状把握についてです。
現状把握とは事実の直視
現状把握は戦略をつくるための前提です。
現状把握が的確にできていると、次のプロセスである戦略立案に入りやすくなります。逆に言えば現状把握が不十分だと戦略をつくれません。
まずは自分たちの現実にしっかりと目を向けます。もし不都合な真実であったとしても、目を背けたり逃げてはいけません。戦略をつくる事前準備として事実と現実に向き合います。
現状把握の対象は、大きくは外部環境と内部環境です。外部環境は2つに分けることができ、顧客と競合があります。
ては3つの顧客、競合、内部環境の順番に見ていきましょう。
[現状把握 1] 顧客
顧客は、現状把握の段階ではまだ明確にターゲット顧客を絞りきれなくてもいいですが、想定される見込み顧客を理解します。すでに顧客実績があるなら売上や取引実態、商品サービスの利用状況を掘り下げます。
ポイントになるのは、利用シーンと提供価値です。価値という、なぜ自分たちは顧客から選ばれているのかの 「選ばれる理由」 を把握します。
[現状把握 2] 競合
次に競合の設定です。
意識したいのは、競合かどうかを決めるのはあくまで顧客だということです。
競合とは顧客の頭の中にあります。利用シーンにおいて顧客の頭の中に浮かぶ選択肢の中で、自社以外の全て全ての選択肢が競合です。
競合設定は顧客目線で行うと良いです。
[現状把握 3] 内部環境
現状把握では外部環境だけではなく、内部にも目を向けます。
社内の環境はともすると灯台下暗しです。普段から目にしているので、無自覚に現状を受け入れています。
ただし目に見えていることは表面的な事象にすぎません。現状把握では事象の背後にある構造要因、さらに奥にある本質に迫ります。
組織ごとの関係はどうなっているのか、バリューチェーンの流れ、業務オペレーションでボトルネックはどこにあるか、具体的にそれは何かです。視野を広く持ち社内環境を理解し、現状把握とします。
戦略立案と仮説
戦略とは、実行をするまではあくまで仮説です。
戦略をつくる時には仮説をいくつかの要素に分けてつくっていくといいです。具体的には、次の5つの仮説に分解して、戦略の要素を解像度を高く言語化と構造化をします。
✓ 戦略立案と5つの仮説
- 誰の [顧客仮説]
- 何の問題と課題に対して [課題仮説]
- 問題解決方法は何か [ソリューション仮説]
- それによって顧客がいる価値は何か [価値仮説]
- 価値提供からの収益化 [収益モデル仮説]
仮説検証の進め方
戦略の立案と実行とは、別の表現をすれば仮説立案と検証です。
戦略をつくる段階から仮説検証を積極的に進めるといいです。仮説として設定した顧客のところに足を運び、直接の対話や観察から仮説を検証します。
まずは顧客仮説と課題仮説の検証からです。自分たちがイメージした顧客は本当に実在するのか (顧客仮説の検証) 、彼ら彼女らはこちらが想定した問題や課題を抱えているのか (課題仮説の検証) です。
顧客設定と課題設定ができれば、次は定義した問題を自分たちはどう解決するかのソリューションです。ソリューションを具現化したものが商品やサービスです。
商品・サービスを使ってのユーザー体験から価値が提供されます。価値提供によってどう収益化するか、具体的には課金モデルと価格設定です。
以上の流れで仮説を立て検証を繰り返しながら戦略を磨いていきます。
まとめ
今回は戦略のつくり方でした。
最後に記事のまとめです。
戦略をつくる時の全体像
- 目的の明確化
- 現状把握
- 戦略立案 (5つの仮説)
- 実行プラン策定
- 実行とフォロー, 振り返り
現状把握は戦略立案の前提
- 現状把握の対象は外部環境と内部環境
- 外部環境は顧客と競合。顧客像と顧客課題を理解する。顧客目線で競合を設定する (顧客の頭の中に浮かぶ選択肢)
- 自社内の状況把握。目に見える事象だけではなく背後の構造要因から本質に迫る (例: 組織ごとの関係、バリューチェーンの流れ、業務オペレーションのボトルネック)
戦略立案と5つの仮説
- 誰の [顧客仮説]
- 何の問題と課題に対して [課題仮説]
- 問題解決方法は何か [ソリューション仮説]
- それによって顧客がいる価値は何か [価値仮説]
- 価値提供からの収益化 [収益モデル仮説]