今回は戦略についてです。創発的戦略を取り上げます。
✓ この記事でわかること
- 意図的戦略と創発的戦略
- 創発的戦略の例は何がある?
- Google の検索広告が好例
この記事で書いているのは戦略の2つ、意図的戦略と創発的戦略についてです。
特に後者の創発的戦略について Google のビジネスを例に紐解いています。
ぜひ最後まで読んでいただき、お仕事での参考になればうれしいです。
意図的戦略と創発的戦略
最初に2つの戦略、意図的戦略と創発的戦略を取り上げます。この2つはどのような違いがあるのでしょうか?
意図的戦略はあらかじめ計画されてつくられた戦略です。これは戦略の一般的なイメージです。
一方の創発的戦略とは、最初は明確な戦略はなかったがやってみてたらうまくいきそうだとわかり、後から戦略になったものです。
戦略と実行で整理をすると、意図的戦略は 「戦略 → 実行」 です。創発的戦略での順番は 「実行 → 戦略 → 実行」 と、最初に戦略がない中での実行があります。その後に戦略がつくられ、戦略の実行に移します。
* * *
ではここからは創発的戦略について見ていきましょう。
Google の検索サービス
創発的戦略の具体的な例は何かを考えた時に、Google の検索広告がそれにあたります。
Google が創業当時にやっていた検索サービスは収益を生んでいませんでした。
Google の検索の仕組みはページランクと呼ばれます。ページランクは優れた論文は他の論文に引用される構造をヒントに、Web ページの世界への横展開です。品質の高い Web ページほど他の Web ページにリンクがされていると見立てたわけです。
Google は Web ページをロボットに巡回させて自動的に情報収集と整理をし、品質の高いページが検索結果の上位に表示されるようにしました。
検索広告という機会発見
初期の時点では検索サービスは収益を生み出してはいませんでした。
検索サービス自体を有料とする選択肢もあったはずですが、Google はそれをしませんでした。
代わりにやったのは、検索結果ページに検索キーワードと関連性が高い情報が出る枠を用意しました。この枠を有料で企業に販売し、つまり検索に広告という仕組みを取り入れたのです。
この枠 (広告欄) に価値があるのは、そのキーワードで調べた人にはそれだけニーズがあるので、その人をピンポイントで狙って宣伝ができるからです。検索結果に表示される機会がお金は払ってでも欲しいビジネスニーズを見つけました。
やってみたら見事に当たり、今現在でも検索広告は Google に収益をもたらしています。
検索広告を創発的戦略として紐解くと
Google の検索サービスと広告の話を、創発的戦略の観点から掘り下げてみましょう。
検索サービスを開発した時点では、広告から収益化できる戦略や計画はありませんでした。検索サービスはユーザーを獲得できていましたが収益化できず、ビジネスとしてはむしろ苦しい状況だったわけです。
後から検索連動型広告が生まれました。
創発的戦略の流れは 「実行 → 戦略 → 実行」 です。これに Google の検索広告を当てはめると、次のようになります。
✓ Google 検索広告の創発的戦略
- 検索サービスの仕組みを開発し提供した
- 検索結果ページに有料表示枠 (広告の仕組み) をつくってみた
- 検索した人に宣伝する機会はお金を払ってでも欲しいビジネスニーズだとわかった
- 検索広告のビジネス化
- 事業戦略がつくれられ、本格的に実行された
- 今でも検索広告は Google の収益を支えている
まとめ
今回は戦略の中でも創発的戦略を取り上げました。
最後にまとめです。
意図的戦略と創発的戦略
- 意図的戦略はあらかじめ計画されてつくられた戦略 (戦略 → 実行)
- 創発的戦略は最初は明確な戦略はなかったが、やってみてたらうまくいきそうだとわかり、後から戦略になったもの (実行 → 戦略 → 実行)
Google の検索広告と創発的戦略
- Google が創業当時にやっていた検索サービスは、当初は全く収益を生んでいなかった
- 検索した人に宣伝する機会はお金を払ってでも欲しいビジネスニーズだとわかった
- 後から、検索結果ページに検索キーワードと関連性が高い情報が出る枠を用意し広告枠として有料で販売した
- 今でも検索広告は Google の収益を支えている