出典: ゼブラ
今回のテーマは ｢カスタマーサクセス (お客さんの成功を実現させること) ｣ です。
｢目的の手段化｣ がカスタマーサクセス実現の秘訣という話です。
おもしろいと思ったボールペンの事例から、マーケティングに学べることを掘り下げていきましょう。
✓ わかること
- ペン先が筆のようにしなるビモア
- ビモアが目指すカスタマーサクセスとは？
- ｢目的の手段化｣ がカスタマーサクセスを実現する秘訣
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
ビモア
ご紹介したいのはゼブラのボールペンです。名前は ｢ビモア｣ といいます。
筆のようにしなるペン
ビモアの特徴は毛筆のようにペン先がしなることです。筆圧を強くかけると図のようにペンが筆のようにしなります。
出典: ITmedia
美文字の練習動画がセットに
ビモアは美しい文字を書けるようにするペンです。
興味深いのは、ビモアにはきれいな文字を書くための練習教材がセットになっていることです。文字の専門家が監修する動画が用意されています。
出典: ITmedia
動画のプログラムは、1日3分の7日間で筆圧のコントロールがビモアを使って身につくように考案されたオリジナルの練習方法です。専用の練習帳も付いています。
先生による練習ポイントの解説があり、3つのステップの練習で筆圧のかけ方と力の抜き方を学べます。毎日のステップに合わせて応援もしてくれます。
学べること
では、ビモアの事例から学べることを掘り下げていきましょう。
カスタマーサクセス
ビモアがおもしろいと思うのは商品を売るだけで終わっていないことです。メーカーであるゼブラが関与している範囲として買ってもらった商品を使ってもらうだけではなく、利用者が美しい文字を書けることを支援しています。
それも説明書や紙のパンフレットなどの簡易的なものではなく、専門の先生が監修する動画教材をつくり本格的なプログラムを提供しています。文具メーカーであるゼブラがここまで力を入れているわけです。
お客さんの成功を実現するという ｢カスタマーサクセス｣ があります。
お客さんに貢献する ｢目的の手段化｣ を
ではどうすればカスタマーサクセスを実現できるかを考えてみましょう。
結論から先に言うと ｢目的の手段化｣ です。よく使われる言葉の ｢手段の目的化｣ とはあえて逆の表現をしました。
意味を補足すると、｢目的の手段化｣ は売り手の目的をお客さんにとっての手段と捉えることです。
ビモアの事例に当てはめてご説明すると、売り手であるゼブラは自社商品を1つでも多く売りたいと考えます。ビジネスなので至極当然のことです。
しかし立場をお客さんに変えると、お客さんがビモアを買うことは目的ではないはずです。
お客さんの目的はきれいな文字を自分も書けるようになること、美しい字で書いたメモを渡したり、手書きの住所や氏名入力を整った文字で書きたいという望みを叶えることです。さらに奥には美しい文字を書くことで自分をよりよく見せたい、満足感や達成感、優越感を感じたいという本音もあるでしょう。
以上が買い手である利用者の目的であり、お客さんにとっての成功、つまりカスタマーサクセスなのです。
学びを一般化すると、自社商品を ｢お客さんにとっての手段｣ と捉え直し、｢手段の先にある本当の目的｣ を理解し、お客さんと一緒になって成功を実現していく重要性です。
まとめ
今回はゼブラのボールペン ｢ビモア｣ を取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
✓ ｢目的の手段化｣ によるカスタマーサクセス
- 売り手は自社商品を1つでも多く売りたいと考える
- 一方、お客さんが商品を買うこと自体は目的ではない。商品を使ったり保有することでの価値を得ることが目的
- 自社商品を ｢お客さんにとっての手段｣ と捉え直し、手段の先にある本当の目的や成功をお客さんと一緒になって実現させる。ここにカスタマーサクセスのポイントがある
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