投稿日 2023/03/28

介護現場の外国人留学生に津軽弁を。弱みを強みに変える方法

#マーケティング #強み #弱み


今回のテーマは弱みを強みに変える方法です。

地方の介護現場の取り組みから学べることを掘り下げていきましょう。

✓ わかること
  • 介護現場で働く外国人学生に、津軽弁を学んでもらう話
  • 方言習得を支援する狙いとは?
  • 外国人留学生にとってのメリット
  • 弱みを強みに変える方法

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

外国人留学生の方言習得を支援


以下は日経新聞の記事からの引用です。

青森県内で外国人介護人材の方言理解を支援する動きが相次いでいる。

弘前大学は津軽弁の人工知能 (AI) 翻訳の開発を進め、八戸学院大学と南部町は余暇活動を通じて習得を後押しする。多様な意思疎通方法を学べ、東南アジアなど多言語を使う母国に戻って起業する際にも役立つ。都市に集中しがちな人材を、方言習熟を売りにして地方に呼ぶ効果も見込む。

方言の習得をどのように行っているかを続けて見てみましょう。

おなかがニヤニヤする――。高齢者が津軽弁でこう言ったときは、「腹が痛い」 という意味だ。外国人にとっては、津軽弁を知らない日本人よりも理解しにくい。

弘前大学の今井雅教授らの研究グループは、介護現場で使う津軽弁を共通語に AI 翻訳するシステムの開発を進める。2021年9 ~ 11月に弘前市内の介護老人保健施設で入居者と施設スタッフの津軽弁の会話約53時間分を集めた。

AI で自動翻訳するための前段階として、津軽弁のわかる学生らに協力してもらい方言と共通語を切り分ける作業を進めている。辞書としてのデータベース化も進め、既に約1万語を登録している。

方言を学んでもらう狙い


留学生に津軽弁の習得支援を積極的にやっているのは、地方に外国人の働き手を呼び込む狙いがあるとのことです。

 「方言を理解できれば意思疎通が深まり、よりきめ細かい介護サービスを提供できる」 。こう指摘するのは八戸学院大学・短期大学部のキャリア支援担当部長の松山政義氏だ。

同短大と南部町は今春から外国人介護人材の育成事業に乗り出した。介護を学びたい留学生を受け入れ、資格取得から住居の手当てなど日々の生活を支援する。

 (中略) 

介護人材は国内各地で不足し、実習生や留学生らが担い手となる例が増えている。受け入れる自治体は、「選ばれる町」 になることが欠かせなくなった。

外国人にとっては暮らしにくいと思われがちな地域の方言。だが、「東京など都市部で留学生を募集する際、不利に思われる方言も工夫次第で PR ポイントになる」 (八戸学院大学の松山氏) という。

留学生にとってのメリット


では立場を変えて、外国人留学生にとっての 「日本で方言を学ぶことの意味合い」 を見ていきましょう。

外国人介護人材にとって、日本語習熟に加えて方言を学ぶことにはメリットもある。

日本の施設で介護サービスを学んだ後、帰国後に介護関連のビジネスへの就労や起業を計画する人も少なくない。青森県七戸町の特別養護老人ホームで働く20代のベトナム人実習生は、日本で介護福祉士の資格を取った後、母国で看護・介護の仕事をする予定だ。

タイ、ベトナム、インドネシアなど多民族が暮らし使用言語も多数ある国から来日する人も多い。共通語と地域の言葉を使い分けながら介護するノウハウを生かす。

注目したいのは、外国人留学生が津軽弁を学ぶメリットは介護現場でコミュニケーションをしやすくなることに加え、帰国後も見据えている点です。

日本のその地域でしか使われていない言語 (津軽弁) を学び、実際の介護現場で使う経験をすることを次のように捉えるわけです。

  • 日本語の標準語 → 自国での母国語
  • 津軽弁 → 民族ごとの地域の言葉

日本での留学中の状況 (方言習得と介護での活用) を帰国後に当てはめると、留学生にとって方言習得の意味合いに深みが出ます。

視座を高めて視野を広げているところがポイントで、日本での知識や経験が外国人留学生が帰国後に自分の国でのビジネスに役立つことが期待できるのです。


学べること


では今回の事例から学べることを掘り下げていきましょう。

方言があることの不利さ


普通に考えると、馴染みのない方言が存在する地方で働くことは外国人留学生にとってはハードルが高く感じられ、選びたくない要因になります。

標準語だけで OK な場所に比べれば、方言があることが不利なポジションを招いているわけです。

弱みを強みに変える方法


こうした状況は弱みですが、「弱みだったことも、工夫次第で強みに変えられる」 というのが今回の内容で一番お伝えしたいことです。

方言という地域独特の言葉を学び、学ぶだけではなく方言を実務で使う経験は、日本語の標準語しかない現場に比べるとそれだけ得られる知見も多く自分の中にノウハウがたまります。

確かに短期的には苦労が多いかもしれません。しかし長い時間軸で見れば、いずれは帰国して自らビジネスを起業したり就労する学生にとっては他では得られない貴重な経験になります。

学びを一般化して捉えると、一見すると不利な状況であっても、事実としてまずは受け入れ、解釈を捉え直し相手にとって意味づけをすれば、魅力的なポイントになります。やり方や見せ方、伝え方次第で弱みは強みになるのです。


まとめ


今回は介護現場で働く外国人留学生への 「津軽弁の習得支援」 を取り上げ、ビジネスに学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

✓ 弱みを強みに変える方法
  • 弱みか強みかは相対的。同じ事象や状況でも解釈や意味合いによって変わる
  • 一見すると不利な状況であっても、事実としてまずは受け入れる。解釈を捉え直し、想定する相手にとって意味づけをつくれば、魅力的なポイントとして強みになる


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多田 翼 (運営者)

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。マーケティングおよびマーケティングリサーチのプロフェッショナル。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

前職の Google ではシニアマネージャーとしてユーザーインサイトや広告効果測定、リサーチ開発に注力し、複数のグローバルのプロジェクトに参画。Google 以前はマーケティングリサーチ会社にて、クライアントのマーケティング支援に取り組むとともに、新規事業の立ち上げや消費者パネルの刷新をリードした。独立後も培った経験と洞察力で、クライアントにソリューションを提供している。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。