出典: TENTIAL
今回は、ここまで 「ターゲット利用シーン」 を明確にしようという話です。
おもしろいと思った 「寝る時専用の靴下」 から、マーケティングに学べることを掘り下げていきましょう。
✓ わかること
- 寒い日の睡眠専用の靴下
- 普通の靴下を履いて寝ると睡眠の質は低下する?
- マーケティングを学べること
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
寒い冬の睡眠専用の靴下
ご紹介したいのは寝る時の専用の靴下です。
商品名は 「BAKUNE SLEEP SOCKS」 。眠りのために開発されたスリープソックスです。
出典: TENTIAL
BAKUNE SLEEP SOCKS の特徴
スタートアップの TENTIAL (テンシャル) が開発し販売する靴下です。TENTIAL は睡眠用の衣料品販売などを手がけています。
BAKUNE SLEEP SOCKS の商品特徴は特殊な紡績加工で蓄熱効果を高め、足先はメッシュの編み方を工夫し通気性を確保していることです。血行促進や疲労感の解消を期待できる靴下です。
販売価格は3300円で、男性向けと女性向けの両方があります。
靴下を履いて寝ることの問題と解決
いきなりですが、冬の寒い日の夜は靴下を履いたまま寝ていましたか?
わりと一般的なことのようです。
グンゼの調査によると、20 ~ 34歳の男女のうち、それぞれ過半数の人が寒い日は靴下を履いて就寝することがあると回答した。
テンシャルは、睡眠時の着用に特化した靴下を開発することで、冬に足先の冷えに悩む客を取り込む狙い。睡眠中の靴下については、グンゼが靴下から足先だけを出せる商品を販売しているが、まだ珍しい。
しかし、睡眠時の靴下着用は普通にやっているだけではうまく機能していないようなのです。興味深いと思ったので詳しくご紹介します。
もっとも靴下を履いて寝ると足の裏の発汗が促されて冷えが助長されかねない。一方、温まり過ぎると入眠時に必要な体温の低下が妨げられる恐れがある。
このため 「睡眠時に履く靴下の開発や販売に取り組もうとするメーカーは少なかった」 (テンシャルの担当者) 。
寝る時専用の靴下 「BAKUNE SLEEP SOCKS」 の狙いはここにあります。寝る時に履く靴下がともすると睡眠の質を妨げてしまうことへの問題解決です。
今回、テンシャルは靴下の着用による蒸れを解消するために、二通りの生地の編み方を採用。足先以外は保温を優先した通常の編み方にした。足先についてはメッシュを採用した。
これにより通常の靴下の約1.6倍の通気性を確保。汗をかいても足が蒸れず快適な状態を維持できるという。
ありそうでなかった睡眠専用の靴下
BAKUNE SLEEP SOCKS はありそうでなかった靴下です。
先ほどの引用した記事にあったように睡眠時に特化した靴下の開発に取り組むメーカーは少なかったとのことです。
季節が冬場の寒い時期にさらに1日の中で夜に寝る時という利用シーンをここまで絞ったからこそ、BAKUNE SLEEP SOCKS はありそうでなかったユニークな靴下になったわけです。一般的な靴下に比べて明確にポジションをとっています。
学べること
では BAKUNE SLEEP SOCKS から学べることを掘り下げていきましょう。
何を解決するのか
BAKUNE SLEEP SOCKS の着眼点が良いのは、一定数の人がやっている行為の中にある解決されないままの問題にフォーカスしていることです。それも多くの人は気づいておらず、言われて初めて 「なんとかしたい」 と思える問題です。
今回の事例では問題とは 「寒い日の夜に、靴下を履いたまま寝ることによる睡眠の質の低下」 です。この問題だけに絞り、設定した問題を解決するために作られたのが BAKUNE SLEEP SOCKS なのです。
ターゲット利用シーンを明確にしよう
マーケティングの視点で捉えると、BAKUNE SLEEP SOCKS がやったことは 「ターゲット利用シーン」 の明確化です。
誰が、どういう状況で、なんのために使うかの解像度を高め、寒い日の睡眠時というターゲット利用シーンを絞りました。逆に言えばそれ以外の利用シーンは捨てたわけです。
狙わない利用用途を自分たちが 「やらないこと」 を決めるからこそやることが明確になります。商品開発、マーケティングから販売まで一貫性のある活動ができるのです。
まとめ
今回は冬の寒い日の睡眠専用の靴下 「BAKUNE SLEEP SOCKS」 を取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
✓ ターゲット利用シーンを明確にする重要性
- 自社商品は何の問題を解決するのか。誰が、どういう状況で、なんのために使うかの解像度を高めよう
- 狙わない利用用途という自分たちが 「やらないこと」 を決めるからこそ、やることが明確になる
- ターゲット顧客だけではなく、さらに 「ターゲット利用シーン」 まで絞ることで、商品開発、マーケティングから販売まで一貫性のある活動ができる
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