自社のブランド力を十分に活用していますか?
今回は、既存のブランド価値を新たな事業展開に活かし、既存事業と新規事業の相乗効果を高める秘訣を探ります。ぜひ一緒にマーケティングを学んでいきましょう。
ニコアンドの新築戸建て
出典: PR TIMES
アダストリアは、自社の主力ブランドである 「ニコアンド」 がプロデュースした新築戸建ての全国展開を始めました。
新築戸建ての名称は 「ニコアンド エディットハウス」 です。家のコンセプトはいくつかあり、「グリーンはたっぷりと」 「ワクワクする余白を忘れずに」 「機能的でスタイリッシュ」 などいずれもユニークです。
たとえば千葉市のモデルハウスでは、吹き抜けや大きい窓を設けることで日光を採り入れやすくしています。
出典: WWD
「ニコアンド エディットハウス」 で注目したいのは、自社のモデルハウスにニコアンドの家具を置いたり、さらにはモデル来場者が気に入った家具を購入できることです。
ニコアンドの従来の家具の事業と新しく始めた新築戸建ての事業の相乗効果を狙っています。
学べること
ではニコアンドの事例から、学べることを掘り下げていきましょう。
ブランド拡張
ご紹介している 「ニコアンド」 の新しい事業である新築戸建て販売では、マーケティングの視点では 「ブランド拡張」 と見ることができます。
ブランド拡張とは、既存のブランドイメージを利用し、別のカテゴリーの新たな商品やサービスにブランドイメージを反映することです。すでに確立しているブランドの認知度や信頼性を新たな商品・サービスに使うことで、始めから競争力がある状態で新しい市場に参入できます。
ニコアンドはこれまではアパレルを主力商品とし、家具やインテリア雑貨などの販売も行ってきました。このブランドイメージを活かして、ニコアンドとして新たに戸建て住宅の市場に進出したのです。
自社商品の利用シーンの提案
ニコアンドの事例からのもう1つの学びは、自社商品が利用されるシーンや状況を自ら再現してお客さんに提案する重要性です。
ニコアンドはもともとは家具やインテリア用の雑貨を扱っていました。家具や雑貨はお客さんの家で利用されますが、そのシチュエーションを自らが再現したわけです。家を丸ごと用意することでニコアンドの商品は部屋の中でどのように置かれ、映えるか、暮らしをどう彩るかの具体的なイメージを示しています。
ニコアンドの家具や雑貨が置かれた家そのものを新たな商品として提案することで、自社ブランドの価値をさらに高めることができるでしょう。
既存事業と新規事業の相乗効果
アプローチを一般化すると、既存と新規の事業でのシナジー効果です。
今回の事例で言えば、お客さんはニコアンドの家具が置かれた住まいの魅力を直接感じることができ、新築戸建てへの購入意欲を、さらには、家具や雑貨の購入の気持ちも高められます。
新築戸建てにニコアンドの家具・雑貨を配置することで、新規事業 (新築戸建て販売) と既存事業 (家具や雑貨の販売) での相乗効果を期待できるのです。
まとめ
今回はニコアンドの事例から、マーケティングに学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
- ブランド拡張は、既存ブランドの認知度や信頼性を他のカテゴリーでの新たな商品やサービスに活用する戦略。新しい市場へ参入を効果的できる
- ブランド体験の一貫性を保ちながら、既存事業と新規事業の相乗効果を起こし、持続的な成功につなげることが重要
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