投稿日 2023/08/09

海外高級寿司店の 「OMAKASE」 ブーム。言葉の力が生み出す魔法

#マーケティング #言語化 #価値認識


海外で人々を魅了する高級寿司店での 「OMAKASE (おまかせ) 」 というスタイル。

今回は、言語化をマーケティングの観点で捉え、魅力的なキャッチコピーをつくるポイントを掘り下げます。

言葉の力がどのようにビジネスに影響を与えているのでしょうか?一緒にその魔法を解き明かしていきましょう。

OMAKASE が海外で人気


出典: 朝日新聞

海外で高級寿司店が人気を呼んでいます。中でも 「OMAKASE (おまかせ) 」 の高級店が注目を集めています。

米国で客単価が10万円を超える高級すし店が増えている。人気のカギを握るのが、あらかじめ決められたメニューが提供される 「OMAKASE (おまかせ) 」 というシステム。

 (中略) 

2022年12月上旬の金曜午後8時すぎ。中国・深圳出身のシンシアさん (27) はニューヨーク・マンハッタンにあるすし店 「icca (一花) 」 を1人で訪れた。8人席のカウンターに座り、すし職人の鈴木一成さん (33) と向き合う。全員が席に着いた午後8時半、一斉に 「おまかせ」 の提供が始まった。

icca には、食事のメニューは2種類のおまかせしかなく、アラカルトの料理はない。価格は400ドルと210ドル。シンシアさんは400ドル (約5万4千円) を選んだ。アワビや毛ガニ、十勝ハーブ牛などを使った一品料理のあと10貫の握り、そしてデザートへと続く。魚介類はすべて日本から輸入されたもの。開店してまだ約1年だが、10月にはミシュランの一つ星を獲得した。

OMAKASE は中国でも人気のようです。

中国ですし市場が盛り上がりを見せている。職人にメニューを委ねて日本からの輸入食材などを使ったつまみやすしを楽しむ 「OMAKASE(オマカセ) 」 と呼ばれる高級店がにぎわい、日本の回転ずし大手が内陸部に進出する。10兆円近くに成長する見通しの中国の日本料理レストラン市場を巡り、企業間競争が激しくなりそうだ。

 「北海道産と淡路島産の2種類のウニの香りや食感の違いを楽しめた」 。北京市の 「胡同 (フートン) 」 と呼ばれる古い街並みにある 「鮨然 (イー ラァン) 」 は予約の取りにくい高級店だ。航空便で輸入した高級な食材などを使ったおまかせコースの値段は1人約2000元 (約3万9000円) に達する。

控えめな入り口に踏み入れると、8人がけのカウンターの奥から職人があいさつする。予約を受けるのは、午後6時と午後8時半の2回だけ。職人と会話をしながら料理を楽しむスタイルだ。中国の紹興酒 (しょうこうしゅ) に漬けたシャコなど日本と中国の食文化の融合も楽しめる。

 (中略) 

すし職人にメニューを委ねて、魚介類など食材の鮮度や技巧を凝らしたつまみやすしのコースを 「OMAKASE (オマカセ) 」 と呼び、中国では人気が高まる。ビジネスや観光で日本のすし屋を体験したことがある消費者の多い上海市や北京市などで増え、近年、全国に広がった。

学べること


では、海外でのお寿司の盛り上がりから 「OMAKASE」 という提供スタイルに焦点を当てて、マーケティングの観点で学べることを掘り下げていきましょう。

言語化の効果


海外のお寿司業界で 「OMAKASE (おまかせ) 」 という言葉が広がることで、価値の共通認識化が起こっています。

潜在的に存在し多くの人々が体験していた価値を言葉にすることで、売り手も買い手もあらためて価値として再認識します。

言語化によって、消費者は寿司職人の技術や食材選びに対するこだわりを知ることができ、その価値を高く評価するようになります。その結果、高級寿司店が人気を集めることにもつながっています。

また 「OMAKASE」 という言葉は日本の文化を象徴し、海外ではキャッチーで覚えやすいため、マーケティングコミュニケーションにおいても有効です。

マーケティングと言語化


言語化はマーケティングにおいても欠かせない要素です。言葉にすることで価値を明確にでき、生活者やお客さんが共通の価値イメージを持てます。

海外のお寿司店が 「OMAKASE」 という言葉を用いることで、お客さんに対して他の飲食店にはない独自の価値提案を行い、市場での競争力を高められます。言語化からのマーケティングは、さまざまな業界やサービスにおいても有効です。

言語化のポイント


では、言語化によって魅力的なキャッチコピーをつくるためのポイントを考えてみましょう。

3つあります。

  • 独自性と差異化
    魅力的なキャッチコピーは、競合他社との差異化が明確になっていることが重要です。
    他社と同じようなコピーでは、お客さんには響きません。ターゲット市場のニーズや期待、お客さんの行動と心理までを理解し、顧客理解にもとづいての独自の価値提案を伝えます

  • シンプルで明確なメッセージ
    人は一瞬で理解できる言葉やフレーズに惹かれるため、簡潔でわかりやすい表現で商品やサービスの特徴や魅力を的確に伝えることが大事です

  • 感情に訴えかける
    キャッチコピーは相手の感情に訴えかけることで記憶に残りやすくなります。喜び、安心、驚きなどの感情を引き出す言葉を使い、また、ストーリー性や共感性を持たせることで、心をつかむコピーになります


まとめ


今回は、海外での高級寿司店のトレンドとして 「OMAKASE」 を取り上げ、学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

  • 言語化はマーケティングにも重要な要素。価値を明確にし、お客さんが共通の価値認識を持つことにつながる

  • 言語化による魅力的なキャッチコピーをつくるには、
    ① 独自性と差異化
    ② シンプルで明確なメッセージ
    ③ 感情に訴えかける


マーケティングレターのご紹介


マーケティングのニュースレターを配信しています。


気になる商品や新サービスを取り上げ、開発背景やヒット理由を掘り下げることでマーケティングや戦略を学べるレターです。

マーケティングのことがおもしろいと思えて、すぐに活かせる学びを毎週お届けします。

レターの文字数はこのブログの 3 ~ 4 倍くらいで、その分だけ深く掘り下げています。ブログの内容をいいなと思っていただいた方にはレターもきっとおもしろく読めると思います (過去のレターもこちらから見られます) 。

こちらから無料登録をしていただくとマーケティングレターが週1回で届きます。もし違うなと感じたらすぐ解約いただいて OK です。ぜひレターも登録して読んでみてください!

最新記事

Podcast

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。