ブランドはどのようにつくられるのでしょうか?
人はなぜ、一部の商品やサービス、企業に特別な愛着を持つのでしょうか?
これらの疑問を解明するヒントが、「ファミマこども食堂」 の活動に隠されています。その秘密を解き明かし、ビジネスに役立つ学びをぜひ一緒に見ていきましょう。
ファミマこども食堂
出典: 朝日新聞デジタル
ご紹介したいのは、ファミリーマートのユニークな取り組みである 「ファミマこども食堂」 です。
ファミリーマートは3年ぶりに、地域の子どもたちと交流するイベントを再開した。レジなどの店内業務を体験し、「イートイン」 コーナーのある店舗では一緒に食事をとる。
(中略)
「各地域に置く (ファミマ本部の) 営業所から交流イベントの再開を待ち望んでいる声が多かった」 (サステナビリティ推進部の大橋結実子マネジャー) なか、5月24日夕方に 「ファミリーマート世田谷瀬田四丁目店」 (東京・世田谷) で 「ファミマこども食堂」 を開催。近くに住む3 ~ 7歳の子どもとその保護者が計8人が参加した。
店舗では商品陳列やカウンターでのレジ打ちを体験した。その後、イートインコーナーでおにぎりやファミチキ、スイーツを食べ、店舗スタッフらと会話を楽しんだ。参加者からは 「みんなと仲良く話せて良かった」 などの声が聞かれた。
出典: Pouch
出典: 讀賣新聞オンライン
学べること
では 「ファミマこども食堂」 から学べることを掘り下げていきましょう。
ブランド体験の早期化
ファミマこども食堂は、ブランディングの観点で学びがあります。
ブランドとは 「お客さんからの好ましい感情が伴った商品やサービス、または企業」 です。好ましい感情とは、好き、共感、満足、誇り、憧れ、応援したい気持ちです。
ファミマこども食堂は子どもたちに普段はできないファミマの体験をしてもらうことで、「ブランド体験の早期化」 ができています。
早期化の意味は、子どもたちを対象にファミマについての理解と感情的なつながりを、年齢の早いタイミングからやっていることです。
子どもたちは、店内で食事をしたり、商品陳列やレジ操作などの店員の役割もこなします。お客さんとしてだけでなく、売り手である店員の立場からもファミマを体験するわけです。ファミマがどのように運営され、商品が提供されているかを実体験できます。
体験と感情を結ぶ - ブランドのつくり方
体験が楽しかったり、新鮮な気づきがあったりすると、人の記憶に残るものです。良い感情と結びついた記憶は、価値イメージを形成します。
これがブランドが構築されるプロセスです。ブランドができる流れは、「体験 → 好ましい感情移入 → 価値イメージの形成 → ブランド化」 です。
ファミマに当てはめれば、ファミマは 「ファミマこども食堂」 での売り手と買い手の両方の体験、楽しいなどの感情の結びつきから、他のコンビニやお店と比べてファミマは子どもたちにとって特別な存在になることでしょう。
良い体験がベースとなり望ましい感情が伴うことで、ファミマというブランドが子どもたちの心の中でつくられるのです。
ファミマの 「ブランド体験の早期化」 という取り組みは、子どもたちのファミマへのロイヤルティ (愛着感や忠誠心) を育むだけではなく、将来的に子どもたちが自分で行く店や買う物を決めるようになった時にファミマを優先的に選ぶことにつながります。
まとめ
今回は 「ファミマこども食堂」 を取り上げ、ブランディングに学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
- ブランドとは 「お客さんからの好ましい感情が伴った商品やサービス、または企業」 。好ましい感情とは、好き、共感、満足、誇り、憧れ、応援したい気持ち
- 楽しい体験や新鮮な気づきが人の記憶に残り、良い感情と結びつく。他と比べて特別な存在に感じられ、頭や心の中でブランドが形成される。ブランドができる流れは 「体験 → 好ましい感情移入 → 価値イメージの形成 → ブランド化」
- ブランド体験は商品やサービスへのロイヤルティを育み、自身が購買行動を決定する際の優先度を高める。結果として自社商品が選ばれやすい状況になる
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