投稿日 2023/08/08

マーケティング成功の鍵は、顧客インサイト発掘と価値提案。その方法を解説

#マーケティング #顧客インサイト #価値提案


良いマーケティングとは何でしょうか?

商品を売ること?それとも何かもっと大きな意味があるのでしょうか?

今回はマーケティングで大切なことに迫ります。マーケティングが持つ本当の力、価値を生み出す秘訣を一緒に学んでいきましょう。

顧客理解からの価値提案


今回は 「顧客インサイト」 をキーワードに、マーケティングでやること、大切なことを見ていきます。

目指すべきお客さんの理解レベル


マーケティングは一種のストーリーテリングであり、ストーリーの主人公はお客さんです。主人公を設定し、理解することがマーケティングの第一歩となります。

まずはお客さんを深く理解しなければなりません。お客さんの言動や顕在的なニーズだけでなく、置かれた環境や状況、行動、奥にある望みや不満、そして何に価値を見出すかの価値観までです。

中でも重要なのは 「顧客インサイト」 です。顧客インサイトとは 「お客さんを動かす隠れた気持ち」 です。別の表現では 「心のツボ」 や 「心のホットボタン」 と言ったりします。

普段はお客さん自身は意識していないものの、ボタンを押され心の琴線に触れれば態度が変わり、行動につながる奥にある心理です。マーケティングの成功のカギを握るのが顧客インサイトの発掘なのです。

インサイトに響く価値提案


顧客インサイトまでお客さんを理解した上で、お客さんの文脈に合わせて商品やサービスの意味付けを行い、もたらしたい価値を定義します。

心の琴線に触れるストーリーを紡ぎ出し、見出した商品の魅力を価値としてお客さんに提案します。価値提案がお客への響くメッセージとなり、お客さんが商品やサービスに対する認知や興味を高め、選ぶという行動につながるのです。

以上の流れを整理すると、

  • お客さんを決める
  • 顧客インサイトまで理解する
  • インサイトにもとづいて商品の価値を定義する
  • 価値をお客さんに響くメッセージにして提案する
  • 自社商品がお客さんに選ばれる


インサイトの見つけ方


では、顧客インサイトをどうやって見つければいいのでしょうか?

インサイトを発掘するには、「顧客インサイト」 という単語の捉え方を、「お客さんに共通する心理や行動を探す」 という視点になることで見つけやすくなります。

気をつけてほしいのが 「インサイト」 という単語の曖昧さです。英語や和製英語は意味が広くなりがちです。誤解を恐れずに言えば DX ・パーパスと同様、定義の曖昧さゆえに、間違っているものやズレているものも 「インサイト」 と呼べてしまうのです。

そのため、僕は企画するときに 「インサイト」 という単語は使いません。インサイトではなく、「ある程度の人に共通する心理あるいは行動 (共通心理) 」 と置き換えて考えます。

 (中略) 

もしインサイトの発見に悩んでいる場合は、インサイトという単語を忘れ、商品のターゲットに共通する心理や行動を発見する、と置き換えて考えてみてください。『ある程度の 〇〇 に共通する心理や行動』を発見することができれば、その心理を利用することで効果は倍増します。

 (中略) 

さらに言えば、『ある程度の 〇〇 に共通する心理や行動』の 〇〇 の規模が大きいほど、売上効果は大きくなります。30代男性に共通する心理や行動より、男性の多くに共通する心理や行動を発見したほうが効果は出ます。この 〇〇 の中でも、発見できたら効果が最大級になるのが⋯ソーシャルインサイト、「社会に共通する心理や行動」 です。

 "言いたい" と "言ってほしい" の交差点


では次に、見出した顧客インサイトをどうやって伝えていくかを考えてみましょう。

インサイトを言葉にするときに大切なのが、ブランドとして 「言いたいこと」 と、お客さんが 「言ってほしいこと」 の交差点を見つけることです。


別の記事から引用します。

これはコピーに限らず、コミュニケーションの基本形でもあり、話し手が 「言いたいこと」 を伝えるだけでは受け手に見てもらえませんし、受け手の 「言ってほしいこと」 を言うだけでは広告としては機能しないものになってしまいます。

ブランドにとって "言って意味のあること" で、生活者が "言われて心が動くこと" を探す、というのが言葉を考えていく上での大原則なのです。

ここで意外と落とし穴なのが、インサイトを意識するあまり、ブランドの 「言いたいこと」 から離れて、生活者の 「言ってほしいこと」 だけになってしまうパターンです。

その場合、図上では、生活者に寄り添っているように見えるのに、意外にも響いていないことが多いように思います。受け手も無意識に、なぜそのブランドがそんなことを言っているのか、しっかりと "筋" が通っていないと都合のよいことを言っているだけじゃないか、と受け入れてもらえないのだと思います。

以上がマーケティングの基本的な流れと、それを成功させるためのヒントです。

マーケティングはただ商品やサービスを売るだけではなく、ブランドとお客さんとの関係性を構築するための手段です。それはお客さんを理解し、その理解をもとに価値を提供し、そしてお客さんの心を動かす言葉を見つけ出すというプロセスを通じて形成されます。

このプロセスを理解し、実践することで、あなたのマーケティングは次のレベルへと進化するでしょう。

マーケティングはただ商品やサービスを売るだけではなく、商品やサービスとお客さんとの関係性を構築しブランド化することを目指します。

そのためには、

  • お客さんのインサイトまで深く理解する
  • 顧客理解をもとに商品の価値を定義し、ブランドとして 「言いたいこと」 と、お客さんが 「言ってほしいこと」 の重なった部分からメッセージをつくる
  • お客さんの心に響くよう提案し、買うなどの行動につなげる

これが成功するマーケティングのポイントです。


まとめ


今回は 「顧客インサイト」 をキーワードに、マーケティングで大切なことを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

✓ マーケティングの流れ
  • お客さんを決め、顧客インサイト (人を動かす隠れた気持ち (心のホットボタン) ) まで深く理解する
  • 顧客理解にもとづいて商品の価値を定義する
  • 見出した価値をお客さんへの言葉に言い換え、「言いたいこと」 と 「言ってほしいこと」 の交差点でメッセージにして提案する
  • 自社商品がお客さんに選ばれる状況になり、お客さんと良い関係が構築される


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。