投稿日 2023/08/20

冷食サブスク 「ラクリッチ」 に学ぶ、バラエティ性と選ばない出会いから、お客さんの心をつかむ方法

#マーケティング #サブスク #提供価値


サブスクリプションサービス、あなたはどのようなサービスを利用していますか?

サブスクは売り手には魅力的なビジネスモデルですが、長期的なお客さんの維持は簡単ではありません。利用者に飽きられず、期待を超える価値を提供し続ける...。これはどうやって実現すればいいのでしょうか?

今回は冷凍食品のサブスクの事例から、この問いを掘り下げていきます。

冷凍サブスク 「ラクリッチ」 


出典: PR TIMES

ご紹介したいのは、大丸松坂屋百貨店の冷凍食品サブスクの事例です。

大丸松坂屋百貨店はこのほど、同社初となる冷凍食品のサブスクリプション (定額課金) サービスを始めた。毎月6 ~ 10種類ほどが自宅に届き、バイヤーが厳選したぜいたくなメニューを味わうことができる。

 (中略) 

新サービスの名称は 「ラクリッチ」 で、送料込みで月額6500円、9000円、1万2000円の3コースがあり、有名店とコラボした独自メニューも用意した。5月時点で25ブランド、50種類以上の商品をそろえる。そのうち7品がオリジナルとなる。今後も継続的に商品数を増やしていく計画だ。

オリジナル商品は東京都内の高級イタリア料理店 「リストランテホンダ」 と共同開発した 「ポルチーニとエリンギのクリームソース・ニョッキ」 などを用意。ほかに 「西洋銀座」 の 「黒毛和牛のビーフシチュー」 、「日本料理 鈴なり」 の 「さばの西京焼」 などのメニューをそろえた。

注目したいのは、冷食サブスクのこだわりとして 「選ばないことによる出会い」 を挙げていることです。

今回のサブスクでは、「選ばないことによる出会い」 も意識した。

毎月メニューの半分程度は事前に分かるが、残りは届くまでのお楽しみとしている。「高級食材からなじみ深いメニューまで、色々なものが詰め合わせになっている。ハレの日はもちろん、日常の食卓にもう一品欲しいという時に利用してもらいたい」 (朝倉氏 (引用者注: 商品開発に携わった大丸松坂屋の朝倉宏二氏) ) という。

学べること


では、大丸松坂屋の冷食サブスク 「ラクリッチ」 の事例から、学べることを掘り下げていきましょう。

 「いつも同じ」 への飽きやマンネリ


サブスクリプションサービスは利用者と継続的な関係を築くことが大事です。

提供される商品やサービスが変わらず常に同じだと新鮮さが失われ、マンネリ感を感じたり、飽きてしまうお客さんがでてしまうでしょう。お客さんは何か別の新しいものを求め始め、自社のサブスクをやめてしまうかもしれません。

商品のバラエティ性


利用者の飽きやマンネリを起こさないために、ご紹介した冷食サブスク 「ラクリッチ」 から学べるのは、商品やサービスのバラエティ性を増やす重要性です。

多様な商品ラインナップは、お客さんの興味や新しい発見を生み出します。異なるニーズや好みを持つお客さんを引きつけ、サービスの魅力を広げることにもつながります。

選ばないことからの出会い


ただし、商品のバラエティ性は重要ですが、単純に商品数を増やすだけでは十分ではありません。

というのは、選択肢が多すぎるとお客さんは選ぶのに負担を感じ、次第にサブスクを利用することが億劫になるからです。

そこで参考になるのはラクリッチが取っている 「選ばないことからの出会い」 です。サービス提供者があらかじめ選択し、定期的に新商品として提供することで、多すぎる中から決められないという 「選択疲れ」 を起こすことなく、お客さんは新たなメニューに出会えます。

サブスクモデルでは、このような 「出会い」 を通じて、お客さんに対する新鮮さや楽しさを維持しながら、価値を提供できます。お客さんは長期的にサブスクサービスを利用し続ける可能性が高まるでしょう。

お客さんの期待を上回る価値をもたらし続けることで、サービスの持続的な利用を実現し、信頼関係と顧客満足が向上するのです。


まとめ


今回は、大丸松坂屋百貨店の冷凍食品サブスク 「ラクリッチ」 を取り上げ、学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

  • サブスクリプションサービスでは常に同じ中身だとお客さんは飽きてしまい、他の選択肢を探し始め離脱の可能性が高まる

  • マンネリ感を避けるにはサービスにバラエティ性を入れることで新鮮さを保てる

  • ただし、単に商品の種類を増やすのではなく、「選ばなくてもいい出会い」 を提供し、お客さんの選択疲れが起こらないようにするといい


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。