投稿日 2023/08/07

"売れ残り" を価値に変える。マザーハウス 「最後の一品店。」 に学ぶ価値の見せ方・伝え方

#マーケティング #価値提案


商品が売れ残っている状況は、なんだか寂しい感じがしないでしょうか?売れ残りの商品は、もはや誰も欲しがっていないように見えてしまうかもしれません。

しかし 「売れ残り」 を別の見方をすれば、「最後の貴重な一品」 に変わります。

今回は、この発想の転換をうまく活用したマザーハウスの新店舗を取り上げます。では、さっそく始めていきましょう。

マザーハウスの 「最後の1品店」 



マザーハウスがラス1の商品を集めた 「最後の一品店。」 を新しくオープンしました。

マザーハウス (東京・台東) は、新しいコンセプトの店舗 「最後の一品店。」 を東京・秋葉原にオープンした。バッグやジュエリー、洋服などの販売店だが、いずれも保有ブランドで残り10点以下になった商品を集めて売る。廃棄処分にしないことで環境などに配慮した取り組みとしてアピールしていく。

 (中略) 

商品数は約340点と既存店よりも多い。週1回ほどで商品を入れ替えるほか、販売でフォーカスするモノやカテゴリーを月ごとに変える予定。そして残り1点となった商品に 「最後の一品」 といったタグをつける。

基本的に残り販売数が10点以下になったり再生産する予定がなかったりする商品を販売する。回収したバッグのレザーを使ったリメーク品 「RINNE (リンネ) 」 をはじめ、製造が難しいレザー商品や地域限定で販売していたバッグ、特定の店の催事用に作ったストールなどを売る。

マザーハウスがユニークなお店 「最後の一品店。」 をオープンした狙いは、どこにあるのでしょうか?

マザーハウスは直営店を約50店舗構える。各店に数少ない商品が点在していると客に届けにくかったり、新商品も登場する中で店頭に並べにくかったりするという課題があった。このため、これらを一カ所に集約して販売することで売り切ることを目指す。

また今回のコンセプト店のように販売手法を変えて客にアプローチすることにより、セールで値下げ販売することを避ける。店内には創業者の山口絵理子社長の思いを記したパネルを設けているほか、商品のコンセプトやその誕生年などを書いたポップを置き、同社の理念などを伝えられるように工夫を凝らした。

マザーハウスの 「ラス1」 の意味合い


ではマザーハウスの事例から学べることを掘り下げていきましょう。

最後の一品からの希少性


マーケティングでは、商品やサービスの価値をいかにお客さんに伝えるかが重要です。

マザーハウスの新店舗は、残り販売数が10点以下になったり再生産する予定がない商品を扱っています。そして残り1点になると目立つように 「最後の一品」 というタグを付けています。

普通は 「売れ残り」 と捉えられる商品を 「最後の一品」 として位置づけることで、来店客にとっての商品の見え方は変わります。商品が他の場所で手に入らないという希少性や限定感を魅力に感じるでしょう。

エコブランディング


廃棄処分を出さない環境への配慮は、マザーハウスのブランドイメージの向上につながります。

エコへの意識の高い人にとって魅力に見え、好感度が高まります。マザーハウスの新店舗 「最後の一品店。」 は、サステナビリティや環境保護を意識した取り組みを通じて、自分たちのブランドとしての立ち位置を明確にしているのです。


マーケティングの役割


マザーハウスの事例からはマーケティングの役割が見えてきます。

未発見の魅力の見出しと言い換え


マーケティングの役割は、お客さんがまだ気づいていない商品の魅力を見出すことです。

マーケティングコミュニケーションでのポイントは、商品の特徴や使い方をお客さんの文脈に沿って言い換え、価値として意味づけすることにあります。お客さんは商品に新しい視点から価値を発見することができます。

新たな視点や価値の提案


マーケティングコミュニケーションを通じて商品の価値を多面的に伝えることで、お客さんにとってより魅力的な商品になります。相手が知らなかった新しい視点や価値を提案することで、お客さんに商品を欲しいと思ってもらえます。

これがマーケティングで目指す状態なのです。


まとめ


今回はマザーハウスの 「最後の一品店。」 の事例を取り上げ、学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

✓ マーケティングの役割

  • マーケティングで大事なのは、お客さんにとっての未発見の商品の魅力を見出し、新たな視点や価値を提案すること

  • 商品の特徴や使い方をお客さんの文脈に合わせて言い換え、お客さんにとっての価値として伝えよう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。