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歴史から学ぶ、ビジネスへの示唆です。徳川家康から、環境に応じて戦略を最適化させることの重要性を考えます。
エントリー内容です。
- 世の中のルールを変えた徳川家康
- 現代のビジネスへの示唆
- 環境に応じて戦略を最適化させる
世の中のルールを変えた徳川家康
徳川家康は、「馬上をもって得た天下を、馬上をもって治めるべきではない」 という言葉を残しました。
意味は、戦国時代から天下統一を果たしたやり方は、江戸幕府を開き平和になった世の中には適用すべきではないということです。
家康は、下剋上の時代を終わらせるまでは、知略に長けた戦国の武将でした。江戸幕府の将軍になってからは、参勤交代を導入し、身分制度や朱子学を取り入れました。家を長男に継がせる長子相続を徹底させました。江戸幕府が260年続く基礎をつくり上げました。
家康は、戦いに勝つためのやり方と、勝った後に平和を維持するための治め方を根本的に変えたのです。
現代のビジネスへの示唆
徳川家康からは現代のビジネスへの示唆があります。環境の変化を見極め、自分にとっての意味合いを見い出し、変化に応じて主体的に戦略を変えることの重要性です。
いくつか、具体例で考えてみます。
市場の変化で戦略を変える
例えば、競合他社とのシェア争いが激しい市場での戦略と、自社が高いシェアを取れた市場での戦略は、同じものにすべきではないということです。戦国時代のルールと、天下統一後の江戸幕府のルールを変えたようにです。
市場の成長度に応じて、競争ルールや戦略はフェーズによって変わります。今の市場環境がプロダクトライフサイクル (導入 - 成長 - 成熟 - 衰退) のどの段階かによって、投資や事業戦略は変えるべきです。
市場の魅力度と自社のシェア状況を合わせれば、プロダクトポートフォリオマネジメント (PPM) として捉えることができます。PPM とは、横軸に自社のシェア (競合に対して自社の強さ) 、縦軸に市場の成長度 (市場の魅力度) となるマトリクスから、自社の事業や商品・サービスの状態を相対的に視覚化する方法です。
ターゲットとする顧客によって戦略を変える
家康からの示唆は、顧客が誰なのかによってアプローチを変えるべきと見ることができます。
例えば、イノベーター理論です。市場には様々な志向の消費者がいます。新しいものを積極的に試したい人、まわりで流行りだしたら自分も使ってみようとする人、自分が少数派になってようやく重い腰を上げる人などです。
イノベーター理論では、消費者を5つのグループに分けます。新しいものに飛びつくような人から順番に、イノベーター、アーリーアダプター、アーリーマジョリティ、レイトマジョリティ、ラガードです。
イノベーター理論はキャズム理論とも呼ばれ、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの間には、溝があると考えます。
溝とは、アーリーアダプターとアーリーマジョリティでは、新しいことへの姿勢が異なることです。従って、アーリーアダプターへのアプローチと、アーリーマジョリティへのアプローチでは、同じことをやっても機能しません。
なお、キャズム理論については、別のエントリーでご紹介しています。興味のある方は、ぜひご覧ください。
ターゲットとする顧客によって戦略を変えることは、新規顧客と既存顧客 (リピート客) でマーケティングの方法を変えるべきことにも当てはまります。
また、商品やサービスへのロイヤリティの違いでも同様です。認知、興味、比較検討、購入、リピート、愛着と、どのフェーズの顧客かによってアプローチは変わります。
環境に応じて戦略を最適化させる
徳川家康の言葉である、「馬上をもって得た天下を、馬上をもって治めるべきではない」 が問いかけるのは、環境の変化を主体的に把握すること、捉えた変化の意味合いを抽出し、環境に応じて戦略を最適化させることの重要性です。
家康のように環境の変化 (戦国時代から江戸時代) を自らの手で成し遂げることもあれば、環境の変化が自分たちの意図せぬタイミングや方向に起こることもあります。多くの場合は後者です。
これまでの自分たちの成功体験があるのは、今までの環境下においてです。環境という前提が変われば、むしろ成功が足かせになることもあり得ます。いかに環境の変化に気づき、自分たちの戦略を判断し、迅速に実行できるかです。
「感知 - 判断 - 実行」 のプロセスは、人間の振る舞いそのものでもあり、企業などの組織にも当てはまります。プロセスの間で止まらずに、3つが一気通貫で連動するかです。