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家事代行サービスで、自宅の浴室を掃除してもらいました。代行サービスから、ビジネスでのアウトソースと競争戦略について考えます。
エントリー内容です。
- 家事代行サービスを使った理由
- アウトソースをする理由として一般化すると
- 差別化と競争戦略の本質
家事代行サービスを使った理由
掃除をしてもらったのは、浴室の床や壁、浴槽、排水口、換気扇です。仕上げに防カビ対策をやってもらいました。丁寧な対応で、浴室全体を新調したようにきれいになりました。
浴室掃除に家事代行サービスを使った理由は、以下です。
- 自分ができない掃除をやってくれる (例: 排水口の深い部分、浴槽の外側や奥)
- 表面の床や壁の掃除は自分でもできるが、プロのほうがきれいにやってくれる
- 浴室掃除に自分の時間とエネルギーを使いたくないから (その時間は別のことに使いたい)
アウトソースをする理由として一般化すると
家事代行サービスは、自分がやろうと思えばできる家事、あるいはできない家事を、別の人にお金を払ってアウトソースをすることです。
今回、浴室掃除の家事代行サービスを使った理由を、ビジネスでのアウトソースに一般化すると次のようになります。
アウトソースをする理由
- 自分にはできないことを対応してもらう
- 自分でもできるが、アウトソースすれば自分の時間ができ、他のことに使える
- 自分でもできるが、アウトソースしたほうが早く、安く済む (自分の人件費や経費に比べるとアウトソースしたほうが安い)
- 自分でもできるが、アウトソースしたほうがうまくできる (品質の良いものができる)
- 自分でもできるが、アウトソースの相手のほうが多様な方法を持っており、柔軟な対応をしてくれる
アウトソース理由と差別化
ところで、経営戦略立案シナリオ という本には、経営戦略においての差別化の軸は大きくは3つに分類できると説明されています。
3つの差別化軸
3つとは、手軽軸、商品軸、密着軸です。以下は、それぞれの説明と、お寿司屋を例に当てはめたものです。
- 手軽軸:利便性や価格で優位。1皿100円の回転寿司
- 商品軸:技術的や品質で優れている。食材にこだわり、目の前で職人が握ってくれる高級寿司店
- 密着軸:顧客が利用しやすいようなオーダーメイドでカスタマイズできる。近所の顔なじみの店主がいる寿司屋
アウトソース理由と差別化軸
先ほどのアウトソースをする理由と3つの差別化軸を見比べると、5つの理由のうち3つの理由にそれぞれ当てはまります。
- 早くて安く済む (手軽軸)
- 品質が高い仕上がりをしてくれる (商品軸)
- 多様な方法で柔軟な対応をしてくれる (密着軸)
差別化とは選ばれる理由
アウトソースをする側ではなく、立場を逆転してアウトソースされる側で見てみます。
自分が仕事を受ける場合、依頼主に対して自分は何が優れているかです。依頼主に比べて、あるいは、依頼主から見て他の依頼候補者の中から自分が選ばれる理由こそが、自分の優位な点です。
依頼主または依頼候補先 (自分にとっては競合) と比べて、3つの差別化軸のうち、どれに当てはまるかです。
- 早くできるから (手軽軸)
- 自分のほうが品質の高いアウトプットを出せるから (商品軸)
- 依頼主のかゆいところに手が届くような、きめ細かい対応ができるから (密着軸)
差別化軸のポイントは、誰と比べて優位なのかです。
同じ能力で自分の対応が変わらなくても、自分と競合とを比べると、比べる相手によっては例えば手軽軸だったものが商品軸に変わります。差別化の内容は相対的なもので、誰と何を比べるかが大事な視点です。
競争戦略の本質
今回は、家事代行サービスで浴槽の掃除を依頼したことをきっかけに、アウトソースと差別化について考えました。
3つの差別化軸をご紹介しました。
- 手軽軸:利便性や価格で優位
- 商品軸:技術的や品質で優れている
- 密着軸:顧客が利用しやすいようなオーダーメイドでカスタマイズできる
差別化とは、誰と競争し、どういう点で自分が優位になるか、その優位な理由によって自分を選んでもらえるかという競争戦略です。
アウトソースをする理由の1つめは、「自分にはできないことを対応してもらう」 でした。自分がアウトソースされる側で言えば、「自分しかできない対応」 です。
理想は、このようにそもそも競争がなく、自分しか選ばれる余地がないオンリーワンの状況をつくることです。競争をしない競争戦略です。