2018/09/26

スタートアップとスモールビジネスの違い。まだ存在しない 「未来の当たり前」 を創りにいくのがスタートアップ


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スタートアップとスモールビジネスについて考えます。

エントリー内容です。

  • スタートアップとスモールビジネスの違い (7つ)
  • 違いは何を意味するか


スタートアップとスモールビジネスの違い


起業の科学 - スタートアップサイエンス という本に、スタートアップとスモールビジネスの違いが書かれています。



違いは、次の7つです。

  1. 成長方法
  2. 市場環境
  3. スケール
  4. 関わるステークホルダー
  5. インセンティブ
  6. 対応可能市場
  7. イノベーション手法

スモールビジネスと比べて、スタートアップはそれぞれ、以下のように異なります。


1. 成長方法

  • スタートアップ:J カーブを描く。成功したら巨額のリターンが短期間で生まれる (ハイリスクハイリターン)
  • スモールビジネス:線形的に成長。そこそこのリターンを着実に得ることができる (ローリスクローリターン)


2. 市場環境

  • スタートアップ:市場が存在することが確認されていない不確実な環境下。創りにいくタイミングが非常に重要
  • スモールビジネス:既に市場が存在することが証明されている。市場環境の変化は少ない


3. スケール

  • スタートアップ:顧客は初期は少人数だが、一気に多くの人に届けることができるようにビジネスを拡大する
  • スモールビジネス:少人数から徐々に顧客を増やす。少数のままで事業が運用できる


4. 関わるステークホルダー

  • スタートアップ:ベンチャーキャピタリストやエンジェル投資家
  • スモールビジネス:自己資金、銀行


5. インセンティブ

  • スタートアップ:上場やバイアウト (買収) によるストックオプション、キャピタルゲイン
  • スモールビジネス:安定的に出せる給料


6. 対応可能市場

  • スタートアップ:労働力の調達・サービスの消費があらゆる場所で行われる
  • スモールビジネス:労働力の調達・サービスの消費が行われる場所は限定される


7. イノベーション手法

  • スタートアップ:既存市場を再定義するような破壊的イノベーション
  • スモールビジネス:既存市場をベースにした持続的イノベーション


違いは何を意味するか


スタートアップとは何でしょうか? 「起業 = スタートアップ」 ではなく、あるいは 「ベンチャー企業 = スタートアップ」 でもありません。

スタートアップとスモールビジネスの違いを一言で言えば、前提の違いです。


前提の違い 1:
スタートアップは市場性の証明が必要


スモールビジネスとして参入する市場は、既にあるものです。

市場が存在しているということは、人々のニーズが確認され、先行する他社が商品やサービスを提供しています。起業をして、自分たちのアイデアで、既存市場に参入することがスモールビジネスです。

一方、スタートアップのアイデアは、自分たちも含めてまだ誰も本当に正しいかどうかがわからないことです。

アイデア自体は他の人も思いついているかもしれませんが、誰も実現していないことです。市場がないところに、自分たちで全く新しい市場を定義し、創り上げるのがスタートアップです。

スタートアップが成功するかどうかは、Product market fit (PMF) という、自分たちのつくるプロダクトやサービスに市場性があるかどうかです。

スモールビジネスは、PMF が既に証明されているところに参入しますが、スタートアップは自分たちで PMF を検証するところからです。市場性があれば、他の誰もやっていないので大きく成功できますが、そもそも PMF がなければ、アイデアは絵に描いた餅です。


前提の違い 2:
タイミングが重要


スタートアップとスモールビジネスの前提のもう一つの違いは、タイミングです。

スモールビジネスは PMF (プロダクトの市場性) があり、市場の変化は少ないので、ビジネスの成功は参入タイミングに左右されません。

スタートアップは、市場が存在するかどうかわからない状況で、自分たちで市場をゼロから創るところからです。不確実な環境下でのビジネスです。起業するタイミングが遅すぎても早すぎても成功しません。

タイミングが遅く、同じアイデアが他社にも実現されていれば、競争をしなければいけません。競争相手が大企業のような、ヒト・モノ・金のリソースが豊富なプレイヤーであれば、リソースに制約があるスタートアップは不利です。

タイミングが早すぎると、画期的なアイデアだったとしても、世の中の技術や人々の認識・理解が追いついておらず、時代を先取りしすぎてプロダクトやサービスが普及しません。

2年後でも2年前でもなく、「なぜ今か?」 に答えを持っておく必要があります。


最後に


スモールビジネスは、今ある市場、つまり 「既にある当たり前」 を自分たちのやり方で取り組みます。Product market fit という市場性がわかっているものです。

一方のスタートアップは、今はまだ存在しない 「未来の当たり前」 を今から創りにいきます。

最初は自分たちにしか見えていない未来の当たり前です。多くの人にも気づかせ、実現すれば世の中を変えられます。

全く新しい市場を創り上げたり、既存の市場を新しいやり方で再定義します。



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書いている人 (多田 翼)

複数のスタートアップ支援に従事。経営や事業戦略のコンサルティング・アドバイザー・メンター、プロダクトマネージャー、マーケター。前職は Google でシニアマーケティングリサーチマネージャー、現在は独立 (詳細は LinkedIn または Facebook をご覧ください) 。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。