
今回は、組織論とキャリアについてです。
- 組織を活性化させる理論とは?
- 組織論からビジネスキャリアへの応用
- 相反する2つを取り入れたキャリア形成の方法
こんな疑問に答える内容でブログを書きました。
この記事でわかること
この記事でわかるのは、大きくは2つです。
記事の前半は、組織を活性させる理論をご紹介します。後半では、組織活性理論の本質を個人のビジネスキャリアに応用しています。
組織活性の理論は、マネジメントやリーダーシップの参考になるはずです。後半のキャリアの話も、これからのキャリアをどうつくっていくかでヒントになると思います。
ぜひ最後まで記事を読んでいただき、仕事やキャリアの参考にしてみてください。
組織を活性化させるために
この記事でまずご紹介したいのは、組織を活性化させる理論です。
ザ・会社改造 - 340人からグローバル1万人企業へ という本に書かれていた、「組織活性の循環動態論」 です。
組織活性の循環動態論
この理論は、2つの状態が繰り返し循環させることによって、組織は活性化し発展するというものです。
2つとは、「末端やたら元気」 と 「戦略的束ね」 です。
末端やたら元気
- 本社から離れている組織でも、若手社員まで含めた一人ひとりが、生き生きと仕事をしている
- メンバーが自律し主体的に動く。現場からの提案もどんどん上がってくる
- 分散型組織
戦略的束ね
- 上位が決断する方針や戦略ストーリーを皆が共有し、外部競合に対して束になって攻めていく
- トップから一気通貫に全社のベクトルがそろっている
- 中央集権型組織
行き過ぎることの弊害
ただし、それぞれには行き過ぎると弊害が見られるようになります。具体的には、以下です。
過度な 「末端やたら元気」 の弊害
- 組織内で個人が自由に動くので、全社的なまとまりがなくなる
- 自分たちの組織のスケールに合わせた行動しか取らなくなる (部分最適)
- 組織や事業間の連携が生まれにくい。全社戦略の観点からはバラバラな状態になる (現場のやりたい放題に)
過度な 「戦略的束ね」 の弊害
- トップや上位からの指示に縛られ、現場での裁量がなくなる
- 現場は上を見て判断し行動する。指示待ちになる
- 情報は上からの一方通行になりがち。現場からの情報や提案が上がらなくなる
組織活性の循環動態論と名前に 「循環」 という言葉が入っているのは、末端やたら元気と戦略的束ねが繰り返されるからです。
末端やたら元気
→ 過度な放任の弊害
→ 戦略的束ね
→ 過度な統制の弊害
→ 末端やたら元気
→ …
「組織活性の循環動態論」 の本質
では、この理論の本質は何でしょうか?
「組織活性の循環動態論」 の本質は、2つの相反することを意思を持って振り子のように繰り返し、意図的に組織を常に安定させない状態にすることです。
ものごとには揺れ戻しがあります。一方に行き過ぎると、反動で逆側に振れます。
組織も同様です。俯瞰して大きな視野で見た時に2つの状態の間を行き来し、いつまでも完璧なものにはならず、未完の状況であると捉えるのです。
個人のキャリアへの応用
ここまでご紹介した 「組織活性の循環動態論」 を、個人のキャリアに当てはめてみます。
理論の本質は、2つの相反することを意図的に振り子のように繰り返し発展させていくことでした。この考え方はキャリアにも応用できます。
キャリアの 「デザイン」 と 「ドリフト」
働くひとのためのキャリア・デザイン という本に、キャリア形成に 「デザイン」 と 「ドリフト」 というキャリアへの2つのアプローチが紹介されています。
キャリアのデザインとドリフトは、それぞれ次の意味です。
キャリアの 「デザイン」
- あらかじめ計画したキャリア
- 目標から逆算したプラン
キャリアの 「ドリフト」
- プランにはなかった偶然の機会
- 流れに身を任せるように、目の前の予期していなかった機会に乗ってみる
このように、デザインとドリフトの2つは、相反するアプローチです。
働くひとのためのキャリア・デザイン という本で書かれているのは、キャリア形成においてはデザインもドリフトも両方が大事であることです。
組織論とキャリア論
キャリアのデザインとドリフトの考え方は、この記事の前半でご紹介した 「組織活性の循環動態論」 に通じます。
デザインが 「戦略的束ね」 、ドリフトが 「末端元気」 です。
デザインと戦略的束ね
- あらかじめ計画した戦略的なアプローチ
- 目標から逆算して一気通貫で動く
- しかし、行き過ぎると硬直的で自由度がなくなり、おもしろみが欠けてしまう
ドリフトと末端元気
- 機会や流れに身を委ねる
- 必ずしも目標に向かってはいないが、あえて寄り道をしてみる
- しかし、行き過ぎると糸の切れた凧のようになる。キャリアにおいては、自分の強みと無関係なこと、合わない環境に身を置いてしまう可能性 (時間の浪費につながる)
組織論からキャリア形成へのヒント
組織活性の循環動態論からキャリアへのヒントは、何が得られるでしょうか?
組織に2つの相反する状態を繰り返すように、キャリアでもデザインを重視する時期と、あえて流れに身を任せてドリフトをする時期を行ったり来たりしてみるのです。
デザインもドリフトも過度に行き過ぎると、それぞれに弊害があります。だからこそ大事なのは、俯瞰し長い時間軸で、2つの相反することをどうバランスを取るかです。
組織論からキャリア形成へのヒントを整理すると、次のようになります。
キャリア形成へのヒント
- 2つの相反するデザインとドリフトの両方を取り入れる。ただし、同時期の両立ではなく交互に繰り返す
- 意思を持って意図的に変える。あたかも振り子のように行ったり来たりさせる
- 組織に完成形はない (あえて常に未完と捉える) ように、キャリアも完成形はない。常に模索し、より良くしていく
まとめ
今回は、組織を活性化させる理論のご紹介と、理論の本質を個人のキャリアに応用しました。
最後に今回の記事のまとめです。
「組織活性の循環動態論」 とは、2つの状態が繰り返し循環させることによって、組織は活性化し発展する理論。2つとは、「末端やたら元気」 と 「戦略的束ね」 。
それぞれは行き過ぎると弊害が起こる。固定せず繰り返すことによって組織を発展させていく
組織活性の循環動態論の本質は、2つの相反することを意思を持って意図的に振り子のように繰り返し、組織を常に安定させない状態にすること。いつまでも完璧なものにはならず、未完の状況であると捉える
キャリアのデザインとドリフトの考え方は、組織活性の循環動態論に当てはまる。デザインが戦略的束ね、ドリフトが末端元気。
キャリア形成へのヒントは、
- 2つの相反することの両方を取り入れる (ただし同時期の両立ではない)
- 意思を持って意図的に変える。あたかも振り子のように交互に繰り返す
- 組織に完成形はない (あえて常に未完と捉える) ように、キャリアも完成形はない。常により良くしていく
ザ・会社改造 - 340人からグローバル1万人企業へ (三枝匡)
働くひとのためのキャリア・デザイン (金井壽宏)