2020/05/29

価格戦略を 「課金モデル」 と 「プライシング設計」 で解説




今回は、価格戦略についてです。


この記事でわかること


  • 価格戦略の2つの原則
  • 課金モデルの因数分解
  • プライシング設計 (三段階で) 
  • 戦略に 「クリティカルコア」 と 「10x」 を


この記事では、価格戦略を解説しています。具体的には、課金モデルとプライミング設計をご紹介しています。

価格の決め方は、ビジネスの収益に直結するものです。ぜひ記事を最後まで読んでいただき、お仕事での参考にしてみてください。


価格戦略の2つの原則


まずは価格戦略についてです。

戦略は目的を達成するためにあります。

価格戦略の目的設定を 「持続的な収益を上げる」 とすると、価格戦略は、2つのアプローチがあります。「価格を上げる」 と 「コストを下げる」 です。この2つのどちらか、あるいは両方をやるかを決めるのが、価格戦略です。

では、ここからは価格戦略を 「課金モデル」 と 「プライシング設計」 に分け、それぞれについて解説していきます。


課金モデルの因数分解


まずは課金モデルです。

課金モデルを考えるために、私は4つに因数分解するようにしています。


課金モデルの因数分解

  • 誰から [Who]
  • 何に対して (どの価値に) [What]
  • どうやって [How]
  • どのタイミングで [When]


例えば、課金モデルには、売り切り、従量課金、サブスク、フリーミアム、ダイナミックプライシングがあります。

これらは、因数分解の4つの組み合わせによって設計することができます。

4つ要素から順番に見ていくと、「誰から」 では例えば、フリーミアムは無料の人と有料の人に分けます。

2つ目の 「何に対して」 では、無料の範囲はここまで、有料サービスはここまでと、どの価値に対して課金をするのかを決めます。

3つ目の 「どうやって」 と4つ目の 「どのタイミングで」 は、セットで考えるといいです。例えば、サブスクであれば、定額課金としタイミングは毎月のように設計をします。


価値と支払金額


課金モデルで大事な考え方は、価値と支払金額のバランスです。

新規顧客に対しては 「期待価値」 が支払う金額よりも高いこと、リピート客に対しては 「経験価値」 が次に支払う金額よりにも高いことです。

価値と金額感について、「価値 > 支払金額」 が成り立つかが課金モデルを成立させる大事なポイントです。

それでは次に、プライシング設計について見ていきましょう。


プライシング設計


プライシング設計では、私は三段階を考えるようにしています。


三段階のプライシング設計

  • あげる価格
  • 売れる価格
  • 売りたい価格


1つ目の 「あげる価格」 とは、無料も含めて、時には赤字も覚悟での価格設定です。

位置付けは価値を体験してもらうためです。あえて無料で提供するサンプル商品も含めて、商品やサービスへの入口と位置付けます。

2つ目の 「売れる価格」 とは、単価よりも個数または回数で稼ぐものです。1つ1つでは収益性は高くはありませんが、顧客が買いやすいと思う価格設定です。

3つ目の 「売りたい価格」 は、収益の柱になる商品・サービスへの価格設定です。

名前に 「売りたい」 とあるように、ここでどれだけ収益を稼ぐかです。よく80対20の法則で 「全体の 20% の顧客で 80% を稼いでいる」 言いますが、これに当てはまるのが 「売りたい価格」 からの商品サービスになります。

ここまで、価格戦略、課金モデル、プライシング設計について見てきました。

最後に、価格戦略における着眼点を2つご紹介します。


価格戦略の2つの着眼点


価格戦略への視点に、次の2つを持っておきます。


価格戦略の着眼点

  • 戦略に 「クリティカルコア」 を入れる
  •  「10x」 を考える


以下、それぞれについて順番にご説明します。


[着眼点 1] 戦略に 「クリティカルコア」 を入れる


クリティカルコアとは書籍 ストーリーとしての競争戦略 に出てきます。





戦略の中で肝になる要素で、クリティカルコアとは 「一見すると非合理だが、全体で見れば合理」 というものです。

価格戦略に当てはめると、意図的に無料の部分をつくる、あるいは逆に意志を持って価格を上げる設定することです。

後者の値段を高くするとは、例えばその価格でも買いたいと思ってくれる人を選ぶための位置づけです。

いずれも、一見すると部分だけ見ては非合理ですが、戦略全体の中では合理的になっていれば、価格戦略でのクリティカルコアになります。


[着眼点 2] 「10x」 を考える


2つ目の着眼点です。

ここで言う 「10x」 とは、10倍にできないかです。

価格戦略に当てはめれば、今の価格から10倍にできないかという発想をします。ちなみに 10x という考え方は、私の前職の Google でよく使われていたフレーズです。ムーンショットとも言っていました。

話を戻すと、価格を10倍にするためには、既存のやり方からではできません、全く違うアプローチをすることになります。

価格戦略で言えば、全く新しい顧客を開拓する、既存顧客でも BtoB であれば今までと違う部署の予算を取りにいく、例えば、現場の決済で下りていた商品・サービスだったものを、本部やもっと上の経営レイヤーから予算を取れないかと考えます。

BtoC でも、財布の出どころを考えます。例えば同じ食事でも、食費という心の予算枠なのか、交際費の予算かによって金額感は変わります。


まとめ


今回は価格戦略についてでした。課金モデルとプライシング設計について解説をしました。

いかがだったでしょうか?

最後に、今回の記事のまとめです。


1.
価格戦略は2つのアプローチがある。「価格を上げる」 と 「コストを下げる」 。この2つのどちらか、あるいは両方をやるかを決める。


2.
課金モデルの因数分解
  • 誰から [Who]
  • 何に対して (どの価値に) [What]
  • どうやって [How]
  • どのタイミングで [When]


3.
課金モデルで大事な考え方は、価値と支払金額のバランス。価値と金額感について、「価値 > 支払金額」 が成り立つかが課金モデルを成立させる大事。新規顧客に対しては 「期待価値」 、リピート客に対しては 「経験価値」 。


4.
三段階のプライシング設計
  • あげる価格 (価値を体験してもらう入口)
  • 売れる価格 (顧客が買いやすいと思う価格設定)
  • 売りたい価格 (収益の柱)


5.
価格戦略の着眼点
  • 戦略に 「クリティカルコア」 を入れる。一見すると非合理だが、全体で見れば合理のこと。
  • 「10x」 を考える。今の価格から10倍にできないかを発想する。





ストーリーとしての競争戦略 (楠木建)

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社概要はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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1981年 (昭和56年) 生まれ。名古屋出身、学生時代は京都。現在は東京23区内に在住。気分転換は毎朝の1時間のランニング。