投稿日 2020/05/25

サービスやプロダクト開発の進め方 (磨くべき仮説の順番と検証方法を解説)




今回は、サービスやプロダクト開発についてです。


この記事でわかること


  • サービスプロダクト企画の相談
  • いきなりサブスク前提は NG
  • サービス開発の進め方、磨くべき仮説の順番


この記事でわかるのは、サービスやプロダクト開発の進め方です。これは仕事で受ける相談の1つで、それぞれの相談には共通点があるので、一般化しています。

ぜひ記事を最後まで読んでいただき、お仕事での参考にしてみてください。


サービスやプロダクト開発の相談


時々受ける相談内容で、サービスやプロダクトの企画があります。

その時にあるのが、最初からモノやサービスのサブスクありきの前提で企画がつくられようとしています。

ビジネスモデルを考えるのは確かに大事ですが、順番があります。サブスクのような、収益モデルをどうつくっていくかは、ビジネスモデルの構成要素の中では、後に考えていくのが正解です

では、どのような順番でサービスやプロダクトの企画を作り、開発を進めていくといいのでしょうか?


最初は 「顧客仮説」 から


私が相談に対して答えるのは、開発の初期アイデア段階では 「まずは顧客仮説を磨きましょう」 と言います。

顧客仮説を因数分解すると、次のようになります。


顧客仮説の分解
  • 顧客像 (具体的にどんな人か)
  • 不満 (現在的な不満、自覚していない不満)
  • 不満に今はどう対処しているかの解決手段 (自分たちの競合に当たる)
  • 好きなこと・こだわり (サービスやプロダクトに関してやや広めに見る)
  • 好き・こだわりの理由、奥にある気持ち
  • 好きを満たすためにどうしているか


以上から、顧客と、自分たちが解決する問題は何かを定義します

ここで注意が必要なのは、いずれも初期段階では仮説に過ぎないということです。仮説は、本当に正しいのかの検証が必要です。

では、検証の方法にはどのようものがあるでしょうか?


仮説の検証方法


仮説は立てただけでは、まだ道半ばです。1つずつ検証して、何が正しいのか、何が想定と違っていたのかを見極めます。

検証仮説の優先順位の判断は、不確かの度合いが高く、かつサービスやプロダクト設計にインパクトの大きなものという二軸から、検証する仮説を選びます。

検証仮説の優先度が決まれば、市場性の調査方法も決まっていきます。

例えば以下のような方法で、市場性を見ます。


市場調査の方法
  • ユーザーインタビュー (直接の対話)
  • 観察調査 (現場の視察)
  • アンケート
  • デスクリサーチ
  • 専門家へのインタビュー


調査手法は、あくまで目的によります。ここで言う目的とは、何の仮説をどのように検証するかです。


ビジネスモデルをつくる順番


この記事の最初で、ビジネスモデルの要素には検証する順番があると言いました。

順番はそのままサービス開発の進め方です。磨くべき仮説の順番とも言えます。

では、どのような順番で開発を進めると良いのでしょうか?


磨くべき仮説の順番
  • 顧客設定 (顧客像, 問題定義, 競合設定)
  • 解決策 (リソースと実現能力, ソリューション)
  • 提供価値 (ソリューションから顧客が得られる本質的な価値)
  • 収益モデル


収益モデルは後、提供価値が先


このように、収益モデル、例えばサブスクをにするかどうかというのは最後です。

課金や収益の仕組みは、顧客への提供価値を明確にし、実現できる見込みになってからです。何よりも明らかにするのは、想定する顧客が実際に存在し、具体的にどんな人たちなのかです。

そこから、自分たちが定義した顧客課題が、顧客にとっても本当に解決したい問題であること。そして解決された時の価値が、お金を払ってでも得たいものかどうか。さらに言えば1回きりではなく、継続的にお金を払い続けたいかです。

こうしたことを1つずつ検証し、磨き込んでいき、最後に収益モデルを構築します。

最初からモノやサービスのサブスクありきの前提で企画を立てるのではなく、サブスクかどうかは最後です。

本質的に課金方法や仕組みは、提供者側の話です。

顧客にとって大事なのは、どれだけ価値があるか、サービスやプロダクトがお金を払ってでも欲しい、使い続けたいと思えるかどうかです。


まとめ


今回はサービスやプロダクト開発の企画進め方についてご説明しました。

いかがだったでしょうか?

考え方や進め方は、マーケティングの要素も入っているので、お仕事に何か参考になった、意味のあった内容と思ってもらえれば嬉しいです。


1.
ビジネスモデルを考えるのは確かに大事だが、順番がある。サブスクのような収益モデルをどうつくっていくかは、ビジネスモデルを構成する要素の中では、後に考えていくのが正解。


2.
開発の初期アイデア段階では、まずは顧客仮説を磨く。顧客と、自分たちが解決する問題は何かを定義する。
顧客仮説の分解
  • 顧客像 (具体的にどんな人か)
  • 不満 (現在的な不満、自覚していない不満)
  • 不満に今はどう対処しているかの解決手段 (自分たちの競合に当たる)
  • 好きなこと・こだわり (サービスやプロダクトに関してやや広めに見る)
  • 好き・こだわりの理由、奥にある気持ち
  • 好きを満たすためにどうしているか


3.
仮説を洗い出した後は、1つずつ仮説を検証していく。検証仮説の優先順位の判断は、不確かの度合いが高く、かつサービスやプロダクト設計にインパクトの大きなものという二軸から。
仮説の検証方法から、市場性の調査方法も決まる。


4.
ビジネスモデルをつくる順番 (磨くべき仮説の順番)
  • 顧客設定 (顧客像, 問題定義, 競合設定)
  • 解決策 (リソースと実現能力, ソリューション)
  • 提供価値 (ソリューションから顧客が得られる本質的な価値)
  • 収益モデル

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。