今回のテーマは、イノベーションです。
この記事でわかること
- テレビ番組の企画方法
- イノベーションを生む組織との共通点
- 「Google のプロジェクト管理手法」 からの示唆
この記事でわかるのは、大ヒットしたテレビ番組を企画した放送作家に学ぶ、新しいアイデアを生む方法です。
記事の後半では、そこからつなげてイノベーションを生む組織や方法から、私たちが学べることを掘り下げています。
ぜひ記事を最後まで読んでいただき、お仕事での参考にしてみてください。
テレビ番組の企画方法
Marketing Native の記事を読みました。
『ポツンと一軒家』『アメトーーク!』の放送作家・中野俊成が語る 「時代とともに進化するテレビの面白さと、視聴率を上げるポイント」 (後編) | Marketing Native
興味深いと思ったのは、テレビ番組の企画方法でした。ビジネスパーソンには、アイデアを生む方法として学びがあります。
以下は、記事からの引用です。
――企画の出し方について教えてください。中野さんはどのように企画案を考えているのでしょうか。
既存の番組については3つの軸で考えます。
1つ目はその番組の現状の流れにある企画。2つ目は今の番組内容から発展させて、「こんなこともできるのではないか」 という提案。3つ目は番組のコンセプトからあえて逸脱した企画です。
それぞれ出すタイミングも重要だと思っています。
(引用: 『ポツンと一軒家』『アメトーーク!』の放送作家・中野俊成が語る 「時代とともに進化するテレビの面白さと、視聴率を上げるポイント」 (後編) | Marketing Native)
番組企画の3つの軸
- 既存番組の延長
- 従来と少しずらした発展形
- 発想を変えた新しい内容
この3つの軸を見て思い出したのは、ある本に書かれていたイノベーションを起こす組織でした。
イノベーションを生む 「3階建て組織」
本のタイトルは、御社の新規事業はなぜ失敗するのか? - 企業発イノベーションの科学 です。
興味深いと思ったのは、この本に書かれている 「3階建て組織」 が、テレビ番組企画の3つの軸と同じです。
3階建て組織
- 1階は既存事業
- 2階は市場が存在する分野での製品開発
- 3階は新しい価値を創造するイノベーション部門
ここまで、テレビ番組企画の発想と、イノベーションを生む組織について見てきました。
共通点
- 既存の強化
- 少しズラす応用
- 全く新しい取り組み
この3つから、もう少し着想を広げてみます。Google のプロジェクト管理です。
Google のプロジェクト管理手法
私の前職は Google で、5年5ヶ月の在籍でした。
Google での学びや経験はたくさんあり、その中の1つにプロジェクト管理手法があります。
成長フェーズによって、事業やプロジェクトへのリソース配分 (人員や予算など) を3つに分ける方法です。配分は 70 : 20 : 10 です。
Google のプロジェクト管理 (70 : 20 : 10)
- コアビジネスに 70%
- 成長プロダクトに 20%
- 新規プロジェクトに 10%
この3つは、先ほど見た 「テレビ番組の企画方法」 と 「イノベーションを生む3階建て組織」 への示唆になります。
Google からの示唆
3階建て組織に当てはめると、各階層への人や予算の配分の目安になります。
3階建て組織へのリソース配分
- 1階の既存事業へは70人
- 2階の製品開発へは20人
- 3階のイノベーション部門へは10人
イノベーションを起こす観点では、3階の人たちをどう扱うかが大事です。
ここへのヒントは、「両利きの経営」 から得られます。
両利きの経営
皆さんは、両利きの経営をご存知でしょうか?
両利きの経営では、「深化」 と 「探索」 の両方をバランスよく組織で取り組み、イノベーションにつなげるという考え方をします。深化とは既存事業の強化、探索は新規事業開発です。
両利きの経営 - 「二兎を追う」 戦略が未来を切り拓く という本に、両利きの経営を成功させるポイントが5つ書かれています。
両利きの経営を実現するポイント
- 深化と探索に明確な戦略がある
- 経営層の積極的な関与 (特に探索事業への理解と支援)
- 探索には既存事業の資産を活かす
- 深化と探索は異なる評価指標にする、距離を置き対立を避ける (例: 物理的にオフィスを遠ざける)
- 共通のアイデンティティを持たせる (ビジョンや価値基準などの企業文化)
両利きの経営からの示唆
5つのポイントからは、イノベーション部門をどう位置づけるかへの示唆があります。
先ほどの例を続ければ、100人のうちイノベーション部門の10人をどうマネジメントするかです。
イノベーション部門のマネジメント
- イノベーション部門の意義を明確にする
- トップがイノベーションへの挑戦にコミットする (3階に顔を出す)
- 既存の人や知恵を活かす
- 評価は分ける (1, 2階と3階で)
- 共通の目的を持つ (1, 2, 3階で目的への一体感を生む)
まとめ
今回は、イノベーションについてでした。
異なるフレームや手法をつなげ、色々な着想から考えて見ました。
最後にまとめです。
番組企画の3つの軸
- 既存番組の延長
- 従来と少しずらした発展形
- 発想を変えた新しい内容
3階建て組織
- 1階は既存事業
- 2階は市場が存在する分野での製品開発
- 3階は新しい価値を創造するイノベーション部門
Google のプロジェクト管理 (70 : 20 : 10)
- コアビジネスに 70%
- 成長プロダクトに 20%
- 新規プロジェクトに 10%
3階建て組織へのリソース配分 (Google からの示唆)
- 1階の既存事業へは70人
- 2階の製品開発へは20人
- 3階のイノベーション部門へは10人
イノベーション部門のマネジメント (両利きの経営から)
- イノベーション部門の意義を明確にする
- トップがイノベーションへの挑戦にコミットする (3階に顔を出す)
- 既存の人や知恵を活かす
- 評価は分ける (1, 2階と3階で)
- 共通の目的を持つ (1, 2, 3階で目的への一体感を生む)
御社の新規事業はなぜ失敗するのか? - 企業発イノベーションの科学 (田所雅之)
両利きの経営 - 「二兎を追う」 戦略が未来を切り拓く