投稿日 2020/05/08

ヒットするテレビ番組の秘密に学ぶ、成功するマーケティング




今回は、マーケティングです。


この記事でわかること


  • ヒットするテレビ番組の秘密
  • マーケティングへの横展開
  • 「潜在的な "あるある" 」 の本質


ヒット番組に共通する3つのポイントを取り上げ、そこからマーケティングへの応用を掘り下げています。

マーケティングのものの見方や考え方は、ビジネスで汎用的に使えます。ぜひ記事を最後まで読んでいただき、お仕事での参考にしてみてください。


ヒットするテレビ番組の秘密


Marketing Native の記事を読みました。

『ポツンと一軒家』が大当たり!放送作家・中野俊成が語る 「ヒットする番組と失敗する番組の決定的な3つの違い」 | Marketing Native


興味深いと思ったのは、ヒットするテレビ番組の3つの共通点です。




引用: 『ポツンと一軒家』が大当たり!放送作家・中野俊成が語る 「ヒットする番組と失敗する番組の決定的な3つの違い」 | Marketing Native



3つを見て思ったのは、戦略のフレーム 3C だということです。


ヒット番組と 3C


3C とは、Customer (顧客) 、Competitor (競合) 、Company (自社) です。

ヒット番組の3つの共通点を 3C に当てはまると、次のようになります。


ヒット番組と 3C
  • 潜在的な "あるある" を突いている → Customer
  • 総合演出が面白さの勘所をつかんでいる → Company
  • オリジナリティがある → Competitor


では、ヒット番組の3つの共通点を、マーケティングの観点から紐解いてみます。


マーケティングへの横展開


3つの共通点をマーケティングの視点で見ると、次のように表現ができます。


マーケティングへの横展開
  • 顧客インサイトを満たす (心の琴線に触れる)
  • 自分たちが心から良いと思う商品・サービスをつくる
  • 競合にはできない価値を提供する


さらに言い換えると、以下の3つを成立させるということです。


成功するマーケティング
  • マーケットイン
  • プロダクトアウト
  • 競争優位


ではここからは、ヒットするテレビ番組の3つ共通点のうち、1つ目の 「潜在的な "あるある" 」 について掘り下げます。


潜在的な "あるある" を突く


Marketing Native のインタビュー記事でおもしろい表現だと思ったのが、「潜在的な "あるある" 」 でした。

以下は、インタビューの該当箇所からの引用です。

――なぜ『ポツンと一軒家』はこんなにヒットしたと思いますか。

ヒット番組の特徴の1つに 「潜在的な "あるある" を突いた」 という共通点があると思います。

山の中にポツンとある一軒家を見て、「どんな人が住んでいるんだろう」 と多くの人が一瞬でも思ったことがあるのではないでしょうか。さらに山村の過疎化という現実。結果的にそんな 「潜在的な "あるある" 」 を突いていたことが大きいと思います。

――どうすれば「潜在的な“あるある”」を突けるんでしょうか。

僕自身は作り手の目で世の中を見ないように心掛けています。企画にしようという下心は視界を歪めてしまうので。普通の人として社会に接していて、企画を考えるときに自分の感情が動いたものを、今度は企画の目でスクリーミングする感じですね。

そこで思い出せないようなことはきっと大したことじゃないんです。時々メモもしますが、後で見直すと首を傾げるようなことが多いですね。きっと 「企画にしよう」 と下心が働き過ぎているんです (笑)

 (引用: 『ポツンと一軒家』が大当たり!放送作家・中野俊成が語る 「ヒットする番組と失敗する番組の決定的な3つの違い」 | Marketing Native)


つくり手の目線ではなく、普通の人として見ることによって 「潜在的な "あるある" 」 が見つかるというのは興味深いです。

マーケティングの観点で表現をすれば、1人の消費者というレンズで世の中を眺めるわけです。

では、「潜在的な "あるある" 」 の本質は何でしょうか?


潜在的な "あるある" の本質


私が思ったのは、「潜在的な "あるある" 」 とはマーケティングて言うところの消費者インサイトです。

消費者インサイトは 「人を動かす隠れた気持ち」 です。

普段は消費者自身も意識できていませんが、そうだと気づかされれば行動や時には習慣すらも変えるような奥にある心理です。

潜在的な "あるある" も同じです。テレビ視聴者には普段は意識されていなく言語化されてませんが、見せられたり言われて初めてそうだと気づくものです。

奥にあった気持ちがあぶり出され、視聴者はおもしろい・見たいと思うわけです。

見せられる前から気づいているようなものでもなく、見せられてもピンとこないようなものでもない、この2つの間に絶妙にあるのが 「潜在的な "あるある" 」 なのです。


まとめ


今回は、ヒットするテレビ番組の共通点を、戦略やマーケティングの観点で掘り下げました。

最後に今回の記事のまとめです。



ヒットするテレビ番組の3つの共通点





ヒット番組と 3C
  • 潜在的な "あるある" を突いている → Customer
  • 総合演出が面白さの勘所をつかんでいる → Company
  • オリジナリティがある → Competitor


マーケティングでの見立て
  • 顧客インサイトを満たす (心の琴線に触れる) [マーケットイン]
  • 自分たちが心から良いと思う商品・サービスをつくる [プロダクトアウト]
  • 競合にはできない価値を提供する [競争優位]


 「潜在的な "あるある" 」 の本質

潜在的な "あるある" とはマーケティングの消費者インサイト。テレビ視聴者には普段は意識されていないが、見せられて初めてそうだと気づく。奥にあった気持ちがあぶり出され、視聴者はおもしろい・見たいと思う。
見せられる前から気づいているものでもなく、見せられてもピンとこないものでもない、この2つの間に絶妙にある。

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。