投稿日 2021/05/08

新規事業開発では、1 にも 2 にも顧客理解


今回は新規事業開発の話です。

✓ この記事でわかること
  • 新規事業開発でよく起こること (特に大企業で) 
  • 初期フェーズではまずは顧客理解
  • 3C と新規事業開発
  • 顧客視点からの競合の設定方法

この記事で書いているのは、新規事業開発での顧客理解の重要性です。やってしまいがちなアプローチと比較して、顧客理解から始める方法をご紹介しています。

ぜひ最後まで読んでいただき、お仕事での参考になればうれしいです。

新規事業開発でよく起こること


これは特に大企業で起こりがちなことで、新規事業開発の初期フェーズからいきなり綿密な事業計画を作ってしまうことがあります

事業計画と言うほどなので、計画を作るためには詳細の情報や分析を必要とします。

そのためにやることは新規事業の背景情報のために、これまでの社内での検討状況を当時の資料で見返したり、担当者に社内ヒアリングをします。

他には競合の類似商品やサービスの分析です。さらには、まだ開発の初期段階にもかかわらず、参入する市場規模や成長性、獲得できるシェアや売上見込みのシミュレーションまで早くもやってしまいます。

この中ですっぽりと抜け落ちているのが顧客視点です


初期フェーズではまずは顧客理解から


新規事業開発の最初にまずやるべきなのは顧客理解です。

顧客理解のために2つのターゲット設定をします。1つはターゲット顧客、もう1つは 「ターゲット課題」 です。

ターゲット顧客設定から自分たちが想定する顧客像を明確にします。顧客定義です。

次に、その顧客が抱える課題のうち (通常は複数の課題がある) 、自分たちはどの課題に注力するかの 「ターゲット課題」 を明確にします。

新規事業開発は、1 にも 2 にも顧客理解からなのです


3C で見る順番



戦略をつくる時や現状把握で役に立つフレームに 3C があります。3つの C で、Competitor (競合) , Company (自社) , Customer (顧客) です。

ここまでの話を 3C に当てはめると、新規事業開発の初期段階では 3C のうち Customer の優先順位が高く、Company と Competitor は後からでいいです。

社内関係者のヒアリングは、顧客理解をし想定する顧客のことに誰よりも詳しくなった 「顧客の専門家」 になった後です。競合分析の前に、顧客が置かれた状況と顧客課題を理解するのです。


顧客視点からの競合設定


競合設定や競合分析の補足です。

もちろん、競合の分析は大事です。しかし順番があり、まずは顧客理解からです。

顧客理解をすれば自ずと競合の存在が見えてきます。というのは競合とは顧客が決めるものだからです。

競合とは、顧客が何かをしたい、問題を解決したいと思った時に、顧客の頭の中に思い浮かぶ選択肢の候補です。厳密に言えば、選択肢の中で自社商品・サービス以外の候補が競合です。

逆に言えば顧客理解が不十分な状態では、競合はわからないはずです。仮に競合を設定できたとしても、それは自分たち都合の競合です。


まとめ


今回は新規事業開発での顧客理解の重要性についてでした。

最後に記事のまとめです。

新規事業開発でよく起こること (特に大企業で) 
  • 新規事業開発の初期フェーズからいきなり綿密な事業計画が作られる
  • 社内での以前の検討状況を調べたり、担当者に社内ヒアリングをする
  • 競合の類似商品やサービスの分析、市場規模・成長性、シェアや売上見込みのシミュレーション
  • 抜け落ちているのは顧客視点

初期フェーズではまずは顧客理解から
  • 2つのターゲット設定をする (ターゲット顧客とターゲット課題) 
  • ターゲット顧客設定から自分たちが想定する顧客像を定義する
  • 顧客が抱える課題のうち、自分たちはが注力する 「ターゲット課題」 を明確にする

3C と新規事業開発
  • 新規事業開発は 1 にも 2 にも顧客理解から [Customer]
  • 社内関係者のヒアリングは、顧客のことに誰よりも詳しくなった 「顧客の専門家」 になった後で [Company]
  • 競合設定は顧客の頭の中に浮かぶ選択肢。顧客理解をすることによって初めて競合が見えてくる [Competitor]

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。