投稿日 2021/05/14

書評: いまこそ知りたい DX 戦略 (石角友愛) 。DX の理論と実践から本質が学べる本


今回は書評です。

ご紹介する本は、いまこそ知りたい DX 戦略 - 自社のコアを再定義し、デジタル化する (石角友愛) です。


✓ この記事でわかること
  • 本書の概要
  • 特徴は 「豊富な事例と実績」 
  • DX の本質
  • 読んで思ったこと3つ

この本は DX の本質が書かれていて、DX を実現するための実践方法が事例とともに詳しく紹介されています。読んで DX の理解が深まりました。

ぜひ最後まで読んでいただき、この本も手にとってみてください。

この本に書かれていること


本書の内容を一言で言えば、DX とは何か (本質) 、どうやって DX を実現するかが豊富な事例とともに分かりやすく書かれています

DX の考え方や実現方法が、理論と具体例がセットで説明されます。著者の石角さんが CEO をされているパロアルトインサイトでの100社以上の顧客実績から、説得力のある内容になっています。

以下は本書の内容紹介からの引用です。

なぜ、日本企業の DX が失敗するのか。

そこには大小いくつもの理由がありますが、最大の原因は 「DX とはいったい何を指すのか」 について、経営者や DX 担当者が共通言語を持っていないことにあるのではないでしょうか。

本書では DX の定義から始まり、欧米や日本の数多くの企業の事例を紹介しながら、皆さんの会社の DX を推進するための考え方やフレームワークについてお伝えしていきます。


DX とは何か


この本の内容紹介には 「日本企業の DX が失敗する最大の要因は "DX とはいったい何を指すのか" について、経営者や DX 担当者が共通言語を持っていないことにある」 と書かれています。

では DX とは何でしょうか?

DX とは事業や企業のビジネスモデルのコア領域にデジタル技術を導入し、根本的な変革をすることです。

逆に言えば局所的な IT 導入からのデジタル化は DX ではありません。DX はお茶を濁す程度の片手間でできることではないのです。

ビジネスモデルのコアがデジタル化されるということは、社内の業務オペレーション、社外の取引先とのやりとり、何よりも顧客への提供価値と提供プロセスを変えるほど影響があるわけです。

* * *

読んで思ったこと



ここからは本書を読んで思ったこと、考えさせられたことです。

この記事では3つに絞ってご紹介します。

✓ 読んで思ったこと
  • DX の解像度を高める重要性
  • どこを DX 化するか (自社のコアの見極め) 
  • DX は手段である

では順番にご説明しますね。

DX の解像度を高める重要性


先ほどの 「DX とは何か」 で見たように、自分たちの会社や事業において DX とは何をすることなのかの認識をそろえ、解像度を高める重要性です。

単なる IT 導入ではなく、DX とは会社のコアをデジタル化し、会社全体やビジネスモデルを抜本的に変えることです。事業部内、会社全体で DX 化を進める時に、関係者間での DX の認識をそろえ DX を進めることが大事です。

DX 化するコア領域の見極め


DX とはビジネスモデルのコアをデジタル化するので、オペレーション、顧客への提供価値、収益の仕組みまで広く影響します。

DX の前提として自分たちのビジネスのコアは何か、コアをデジタル化する覚悟はあるかが問われます。DX 化する領域としてビジネスモデルのコアを見極め、DX によって解決される問題を何かを洗い出す必要があります。

DX は手段である


DX によって何を実現したいのかです。

DX とはあくまで手段であるべきで、DX 化自体が目的になる 「手段の目的化」 には注意が必要です。

現状と理想を描き、問題を特定し課題に落とし込み、問題解決のための最適なソリューション手段が DX であれば、はじめて DX が現実的な選択肢になります。逆に言えば、課題が明確でない状態にもかかわらず始めから DX ありきでは、DX は失敗します。


まとめ


今回は いまこそ知りたい DX 戦略 - 自社のコアを再定義し、デジタル化する を取り上げました。


最後にまとめです。

本書の内容
  • DX とは何か (本質) 、どうやって DX を実現するかが事例で分かりやすく書かれている
  • 理論と具体例がセットで説明され、パロアルトインサイトでの100社以上の顧客実績から説得力のある内容

DX の本質
  • DX とは事業や企業のビジネスモデルのコア領域にデジタル技術を導入し、根本的な変革をすること
  • 局所的な IT 導入からのデジタル化は DX ではない。DX は片手間でできることではない
  • DX により、社内外の業務オペレーション、顧客への提供価値と提供プロセスまでを変えるほど影響がある

読んで思ったこと
  • DX の解像度を高め、関係者間での DX の認識をそろえる
  • ビジネスのコアは何か (どこを DX 化するか) の見極めが大事。コアをデジタル化する覚悟はあるか
  • DX は手段である。問題解決の最適手段が DX (課題や目的が明確でない状態での DX ありきは NG)



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。