投稿日 2021/12/18

お店での支払いをなくしたサラダ専門店 CRISP STATION に学ぶ、常識を変えブレイクスルーを起こす発想法


今回は、サラダ専門店の CRISP STATION (クリスプ ステーション) を取り上げ、商品開発やマーケティングへのビジネスに学べることを見ていきます。

✓ この記事でわかること
  • お店での支払いがないサラダ専門店 CRISP STATION とは?
  • 支払いをなくした3つの狙い
  • CRISP STATION の本質とは?
  • ブレイクスルーを起こすために学べること

おもしろいと思ったサラダ専門店を取り上げ、仕事での新しいアイデアや企画を考えたり、商品開発、マーケティングにも学べることを解説していきます。

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

お店での支払いがないサラダ専門店


サラダ専門店 「クリスプ・サラダワークス」 を運営するクリスプが、CRISP STATION (クリスプ ステーション) の第1号店を東京・丸の内にオープンしました (2021年11月) 。


CRISP STATION の最大の特徴は、店内での支払い (レジ会計) がないことです。

CRISP STATION で提供するサラダは8種類で、価格は全て同じ1180円です。来店客は好きなサラダを選び冷蔵庫から取り出し、そのままお店を出ます。

出典: PR TIMES

サラダのパッケージに表示された QRコード をスマホの専用アプリでスキャンし、クレジットカードでサラダ料金を支払います。

CRISP STATION の店内には販売員はいません。商品の補充、店内カメラをチェックしたり、衛生管理や清掃をする従業員がいるだけです。



店頭での支払いをなくした狙い


CRISP STATION がお店での支払いをなくした狙いを掘り下げてみましょう。

狙いは次の3つです。

✓ 店頭での支払いをなくした狙い
  1. 買いものプロセスの効率化
  2. サラダの食事体験価値の最大化
  3. アプリでの支払いによる購買データ収集

それぞれを補足すると、1つ目の 「買いものプロセスの効率化」 は、お店でのレジに並んで会計をするのはお客にも、そして対応する店員にも手間のかかることです。

会計そのものを店内での買いものからなくすことにより、買い物プロセスを効率化しました。

2つ目の 「サラダの食事体験価値の最大化」 は、買う時間を短縮し、その分の時間をサラダを食べる時間に当ててほしいという狙いです。サラダを食べるという体験をより良くすることを目指しています。

3つ目の 「アプリでの支払いによる購買データ収集」 についてです。

購入者の全員が、専用のアプリで QRコード からのクレジットカード支払いとなります。アプリにはユーザー登録情報が入っているので、どういう人がどんなサラダを買ったかのデータが取れます。

収集した購買データを分析し、在庫管理などの店舗運営につなげたり、人気商品の傾向を掘り下げ商品開発やマーケティングに役立てる狙いです。


CRISP STATION の本質


お店での支払いをなくした CRISP STATION の意味合いを、さらに深掘りしてみます。

CRISP STATION の本質は、これまでの店頭での買いもの (売り方) の常識を覆したことです。

来店客がお店でお金を払うのは、必ずあったプロセスでした。小売のビジネスは商品を売って利益を稼ぐ事業で、だからこそ、その場でお金を払ってもらい収益を得ていました。

この当たり前すぎることを、「もっと良い買いもの体験にできないか」 「サラダを食べている時間をより良くするためにはどうすればいいか」 とゼロベースに立ち返って出した結論が、お店でのお金の支払いをなくすことだったのです。


学べること


では最後に、CRISP STATION から学べることを整理しておきましょう。

次のような問いかけからゼロベースで考えてみると、ビジネスでのヒントが得られます。

✓ ゼロベースで考える問いかけ (学べること) 
  • 自分が関わっている業務、あるいは事業全体において、業務プロセスや事業構造はどうなっているか
  • そのプロセスの中で絶対になくせないと思うものは何か
  • 仮にもしなくしたとして、それによって顧客への提供価値を上げられないか
  • どうすれば実際になくすことができるか (できる理由) 
  • なくした時のリスクは何か。そのリスクは許容できるか、どうすればリスクを最小化できるか

以上の問いかけを、業務全体や個人のレベルでの仕事にも当てはめて考えてみると、ブレークスルーにつながります。


まとめ


今回は、お店での支払いをなくしたサラダ専門店 CRISP STATION を取り上げ、常識を変えブレイクスルーを起こす発想法を見てきました。

最後にまとめです。

サラダ専門店 CRISP STATION
  • 最大の特徴は店内での支払い (レジ会計) がないこと
  • 好きなサラダを選んでお店を出て、後から QRコード で専用アプリからサラダ料金を支払う
  • 店頭での支払いをなくした狙いは、① 買いものプロセスの効率化、② サラダの食事体験価値の最大化、③ アプリでの支払いによる購買データ収集

CRISP STATION の本質
  • これまでの店頭での買いもの (売り方) の常識を覆した
  • お店での支払いは小売では当たり前のこと
  • しかし 「もっと良い買いもの体験とは」 「サラダを食べる時間をより良くするためには」 とゼロベースで立ち返って、結論がお店でのお金の支払いをなくすことだった

学べること
  • 業務プロセスや事業全体で絶対になくせないと思うものでも、なくすことにより顧客への提供価値を上げられないかを自分 (たち) に問いかけてみる
  • リスクを冷静に捉え、どうすれば実際になくすことができるかを考えてみよう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。