投稿日 2021/12/28

THE NORTH FACE MOUNTAIN の見せ方に学ぶ、商品メリットと価値を相手時点で伝える方法


今回は、マーケティングでの提供価値の伝え方についてです。

✓ この記事でわかること
  • THE NORTH FACE MOUNTAIN (EC サイト) がおもしろい
  • 一般的な EC サイトとの比較
  • THE NORTH FACE MOUNTAIN の見せ方や訴求のうまさ
  • マーケティングに学べること

おもしろいと思った EC サイト 「THE NORTH FACE MOUNTAIN」 をご紹介します。商品訴求のうまさを掘り下げ、マーケティングを学べることを解説しています。

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

THE NORTH FACE の EC サイト


今回ご紹介したいのは、アウトドアのアパレルブランド 「THE NORTH FACE」 の EC サイトです。

サイト内にある 「THE NORTH FACE MOUNTAIN」 がおもしろいと思い、ここから学べることを見ていきましょう (サイトはこちら) 。

まずは、日経新聞の記事からの引用です。

アウトドア大手のゴールドウインが電子商取引 (EC) サイトを進化させている。このほど主要ブランド 「ザ・ノース・フェイス」 の新しい EC サイトを立ち上げた。商品情報だけでなく、利用場面に関連する記事などを駆使してブランドの世界観を表現し、既存サイトとは異なる形で商品を訴求する。付加価値を高めたサイトを通じて売り上げ拡大をねらう。

新たな EC サイト 「THE NORTH FACE MOUNTAIN (ザ・ノース・フェイス マウンテン) 」 は同ブランドの旗艦サイトと位置づける。ジャケットやクライミングパンツなど登山に特化した高機能商品を 40 アイテム以上取り扱う。

アイテムごとに、想定する着用環境やその環境下での素材の機能性など詳しい商品説明を入れているのが既存サイトとの違いだ。着用イメージを明確にするため、過酷な登山の場面での着用写真や映像を載せた。既存サイトではモデル着用写真は少なかった。

登山の専門家による商品解説も加えた。厳しい環境での登山などで使われるからこそ、サイトでも店舗と同じように使用感や商品にまつわるエピソードを詳細に伝えることで、安心して購入できるようにした。

THE NORTH FACE MOUNTAIN の特徴は、THE NORTH FACE の着用環境や着こなしを、実際の利用者の声から紹介していることです。写真や映像を入れながら、記事によってはドキュメンタリーのように伝えています。



一般的な EC サイトでの商品紹介


ではマーケティングの視点で、THE NORTH FACE MOUNTAIN について掘り下げてみましょう。

一般的な EC サイトでの商品の見せ方は、カテゴリーごとの分類で商品が羅列されています。訪問者にとっては、どういう利用シーンで、具体的にどう使えるか、自分にとってどんな価値があるかは、訪問者自身で翻訳をする必要があります。

商品羅列であっても、もしそのジャンルに詳しければ商品をサイトで見るだけで理解できますが、馴染みがなければ簡単ではありません。


見せ方や訴求のうまさ


THE NORTH FACE MOUNTAIN がうまいと思うのは、登山のような非日常の環境下でノースフェイスの服がどのように適しているのか、どう組み合わせて着たかの 「利用シーン」 を明確にして、具体的な使い方の説明がされていることです。

利用シーンや用途を利用者の声から紹介することで、EC 訪問者 (購入見込み客) が自分ごと化できる訴求をしています。利用シーンと使い方途から、自分はどのように使えそうか、自分のニーズに合うか、価値があるかがイメージしやすいわけです


学べること


では最後に THE NORTH FACE MOUNTAIN から、マーケティングに学べることを整理してみましょう。

学びを一言で言えば、「利用シーンと使い方から商品・サービスの体験価値を伝えよう」 です。

THE NORTH FACE MOUNTAIN では登山という利用シーンにおいて、具体的なノースフェイスの着こなしと使い方を、実際の利用者 (ノースフェイスユーザー) の声から伝えています。

これによりサイト訪問者は、具体的な利用用途におけるノースフェイス商品の自分にとっての価値をイメージできます。「自分にとっての価値」 がポイントで、単なる商品の羅列では自分が得られるであろう価値を一から全て商品情報から自分で変換する必要があります。

一方、利用シーンと使い方まで見せてくれれば、商品に期待できる自分の体験価値を具体的に頭の中で描けます。これが 「自分にとっての価値」 と表現した意図です。

イメージしやすい利用シーンを具体的に設定し、その状況での使い方から 「こんな役に立つ」 「こういう楽しさがある」 「メリットはこうです」 をお客の言葉で訴求するといいです


まとめ


今回はアパレルの THE NORTH FACE MOUNTAIN という EC サイトから、商品メリットと価値を相手時点で伝える方法を見てきました。

最後にまとめです。

商品の羅列紹介の不
  • 単なる商品の羅列では、自分にとっての価値や意味合いは、お客が自分で翻訳をする必要がある
  • そのジャンルに詳しければ商品をサイトで見るだけで理解できるが、馴染みがなければ簡単ではない

商品メリットや価値の見せ方
  • 利用シーンと使い方を見せることで、相手はイメージしやすく自分ごと化できる
  • 具体的な使い方まで落とし込み、「こんな役に立つ」 「こういう楽しさがある」 「メリットはこうです」 と体験価値をお客の言葉で伝えよう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。