投稿日 2021/12/29

紙おむつ使い放題サブスク 「手ぶら登園」 が素敵。提供価値とサブスク成功ポイントを解説


今回のテーマは、サブスクです。

✓ この記事でわかること
  • 保育園向け紙おむつ使い放題サブスク 「手ぶら登園」 とは?
  • 紙おむつの不
  • 「手ぶら登園」 の提供価値
  • サブスクの成功ポイント (手ぶら登園から学べること)

これは素敵だと思ったサブスクサービスを取り上げ、内容や提供価値をご紹介します。マーケティングやサービス開発に学べることとして、サブスクの成功ポイントを解説しています。

よかったらぜひ最後まで読んでみてください。

保育園向けの紙おむつ使い放題サブスク


今回ご紹介したいのは、保育園向けに提供されている 「紙おむつの使い放題のサブスクサービス」 です。

ユニ・チャームとベビージョブの共同サービスで、サービス名は 「手ぶら登園」 です (公式サイトはこちら) 。


保育園でおむつやおしり拭きが使い放題で、料金プランは定額制で年齢ごとに、0歳児が月額3,000円、1歳児が2,800円、2歳児が2,500円です。

おむつをサイズごとに一括管理できる。園児ごとのおむつ管理スペースをとらない (出典: Impress Watch)


 「手ぶら登園」 の提供価値


では、手ぶら登園の提供価値について掘り下げてみましょう。

一言で言えば、提供価値は 「双方の不の解決」 です。双方とは親と保育士です。それぞれ次のような不 (不便さ, 不満, 不都合) があります。

✓ 親にとっての紙おむつに対する不
  • 準備に手間がかかる (毎朝や前日夜に保育園に持っていく紙おむつの準備)
  • 1枚1枚に手書きで名前を書く手間
  • 保育園に送る時に紙おむつがかさばる
  • 園によっては使用済みのおむつを家に持ち帰らなければいけない。持ち帰りが重く、自宅でのゴミの量が増える
  • 保育園で自分の子ども用のストックが無くなっていないかを、いつも気にしないといけない

✓ 保育士の不
  • 園児ごとに紙おむつを管理しなければいけない
  • 管理スペースが必要
  • 別の子のおむつを間違って履かせないように、名前を見て確認する手間と間違わないようにするプレッシャー
  • 各園児のストックがなくなれば、保育園で貸し出した分を持ってきてもらうために親に伝えなければいけない

以上の 「紙おむつへの不」 はずっと存在し続けていました。

ここに第三者としてユニ・チャームとベビージョブがタッグを組み、アイデアと仕組みによって解決をしたわけです。まるで颯爽と現れるホワイトナイトのようにです。


利用者の声


では、実際の利用者は、「手ぶら登園」 をどう評価しているのでしょうか?

公式サイトにあった利用者 (親) の声をご紹介すると、

2歳児ママ
サイズが大きくなるにつれ単価も上がるのに、それが使い放題というのはお財布にも優しい!
1ヶ月に何十枚も必要になると毎回持っていくのは大変だし、それを先生たちも個別管理するのは大変だなと思っていました。
親・園の先生、両者にとって良いサービスだと思います。

1歳児ママ
登園時の荷物がとにかく多くそれだけでうんざりでした。
おむつの残数を気にすることなくなったので、準備の負担もなくとてもストレスフリーな登園になりました。
友人たちにも羨ましがられました。

0歳児ママ
上の子の時からずっと日課だったおむつの名前書き。
おむつに名前を書いて何枚も持っていくというのが大変だったのですが、このサービスを使うことで、そこから開放されました!
共働き世帯の我が家にはとてもありがたかったです。

利用者の声からユーザーメリットを整理すると、

✓  「手ぶら登園」 のユーザーメリット
  • おむつに名前を1枚1枚書くのが大変 → 登園準備が楽になる
  • 朝の準備が大変 → 朝の時間にゆとりが持てる
  • 登園時の荷物が多い → 子どもと手をつないで仲良く登園できる


サブスクの成功ポイント (学べること)


では最後に、「手ぶら登園」 から学べることとして、サブスクサービスの成功条件を見ていきましょう。

一言で表現すれば、サブスクの成功ポイントは、「お金を払ってでもなんとかしたい継続発生する不」 を解決できることです。

ポイントは2つで、「お金を払ってでも」 と 「継続的に発生する不」 です。

お金を払ってでも何とかしたい不


サブスクが解決する問題設定の重要性です。

問題を次のように分解し、問題が解決された時のインパクトがサブスク成功のカギです。

問題のインパクト = 該当人数 × 発生頻度 × 起こった時の深刻度

問題に関わる人数が多く、発生する頻度が高く、そして問題が起こった時の深刻度が根深いほど、「お金を払ってで解決したい問題」 の度合いが強くなります。

継続的に発生する不


サブスクをビジネスとして成功させるためには、お客さんへの価値提供を長く続けることが求められます。

一度買って使ったら解決し、もうその問題は起こらないとサブスクでなくてもよいわけです。

一方で一度解決しても、しばらくすれば元に戻ったり、また同じ問題が起こる場合には、サブスクでの継続提供が良いです。利用頻度や購入頻度が多いものほど、サブスクは適したサービスになるのです。

これを 「手ぶら登園」 に当てはめれば、赤ちゃんや乳幼児の日中のオムツ交換は1日に何度も発生します。使用量は気にしなくていい紙おむつの使い放題のサブスクは、ユーザーメリットがあります。


まとめ


今回は、保育園用の紙おむつの使い放題サブスク 「手ぶら登園」 を取り上げ、サブスクの成功ポイントを見てきました。

最後にまとめです。

サブスクの成功ポイント
  • 「お金を払ってでもなんとかしたい継続的に発生する不」 を解決できること

お金を払ってでも何とかしたい不
  • 問題に関わる人数が多く、発生する頻度が高く、そして問題が起こった時の深刻度が根深いほど、「お金を払ってでも解決したい問題」 の度合いが強い
  • 問題のインパクト = 該当人数 × 発生頻度 × 起こった時の深刻度

継続的に発生する不
  • 継続課金のためにはお客さんへの価値提供を長く続ける必要がある
  • 一度解決しても、しばらくすれば元に戻ったり、同じ問題が起こる場合にはサブスクでの継続提供が良い
  • 利用頻度や購入頻度が多いものほど、サブスクは適している


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。