出典: ぺんてる
今回のテーマは、商品開発やマーケティングです。
✓ この記事でわかること
- ぺんてるの静音ペン 「カルム」 とは?
- 開発背景は若年層の音ハラへの意識
- 顧客の不の解決
- 商品開発やマーケティングに学べること
おもしろいと思ったペンを取り上げ、開発背景や商品の本質を掘り下げ、商品開発やマーケティングにも学べることを解説していきます。
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
ぺんてるの静音ペン 「カルム」
ご紹介したいのはぺんてるのペンです。名前は 「Calme (カルム) 」 です (公式サイトはこちら) 。
出典: ぺんてる
カルムの特徴はノック音が静かなことです。ペンをノックしてカチカチと出る音を、従来のペンよりも 66% 小さくしました。
カルムの開発背景は、若年層の 「音ハラ」 への意識にありました。
若年層の音ハラへの意識
商品開発やマーケティングで大事なのは、「誰の何の問題を解決するのか」 を明確にすることです。
静音ペンのカルムに当てはめると、「若年層が自分からの音ハラを気にして、使いたい時にペンを使いにくい問題の解決」 です。
ぺんてるの独自調査 「世代別の音ハラへの意識調査」 によれば、20代と30代は他の年代に比べてカフェやコワーキングスペースでの音ハラ (迷惑音よる周囲へのハラスメント) への意識が高いことがわかりました。
出典: ぺんてる
出典: 日経クロストレンド
調査概要
- 調査方法: インターネット調査
- 調査対象: 全国在住の男女1,114名 (20代 223名, 30代 222名, 40代 222名, 50代 223名, 60代以上 224名)
- 調査期間: 2021年7月30日 ~ 8月8日
自分が音ハラの加害者になりたくないという 「生活者が抱えている不」 の解消を狙ったのが、カルムなのです。
「顧客の不」 の解決
不とは、不満、不便、不都合、不安、不快感などの総称です。
不には本人がはっきりと自覚できて表面化し顕在的なものもあれば、潜在的で認識できていない不があります。
また、そのシーンで自分の不に気づいても直後には忘れてしまい、また同じシーンで起こり、解決されないまま残り続ける不もあります。カルムが解決したいと考えた不はまさにこれです。
図書館やコワーキングスペース、カフェなどの周りに人がいて静かな場所では、ペンを使いたいと思っても周囲への音ハラを気にしてペンを使うのに躊躇します。メモを取ったり、ノートや手帳に書き込めず、後から書こうと思ったことを忘れてしまう不便さです。
マーケティングの観点から、カルムの本質は 「潜在的な顧客の不の解消」 と見ました。
学べること
では最後にぺんてるの静音ペン 「カルム」 から、商品開発やマーケティングに学べることを整理してみましょう。
マーケティングで重要なのは、ターゲット顧客を設定することです。加えて 「ターゲット問題」 も決めることも大事です。
一般的にターゲット顧客は複数の問題や課題を抱えています。だからこそ 「誰の」 だけで終わらず、「誰の何の問題を解決するのか」 まではっきりさせます。
問題設定をやった後で、How である 「ではどうやって問題を解くのか」 という解決策に落とし込みます。
カルムに当てはめれば、「若年層が周囲への音ハラを気にして、ペンを使いたくても使えない不便さ」 を自分たちが解決したいターゲット問題として設定しました。
そして解決策が、独自開発のペン構造を採用しノック音が従来よりも 66% 低減した静音ペンというカルム (商品) なのです。
まとめ
今回はぺんてるの静音ペン 「カルム」 を取り上げ、商品開発やマーケティングに学べることを解説しました。
最後にまとめです。
顧客の 「不」 の解決
- 商品開発やマーケティングで大事なのは、「誰の何の問題を解決するのか」 を明確にすること
- 静音ペンのカルムは、「若年層が自分からの音ハラを気にして、使いたい時にペンを使いにくい問題」 の解決を目指した
- マーケティングの観点からのカルムの本質は 「潜在的な顧客の不の解消」
問題設定の後に解決策
- 一般的にターゲット顧客は複数の問題や課題を抱えている。「誰の」 だけで終わらず、「誰の何の問題を解決するのか」 まではっきりさせる
- 問題設定の後に、「ではどうやって問題を解くのか」 の解決策 (How) に落とし込もう
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